劇場公開日 1963年1月13日

「貴重な経験」雪之丞変化(1963) 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0貴重な経験

2017年6月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

印象欄に「美しい」「カッコイイ」の項目を加えて欲しいです。

市川崑監督作品なので、見慣れた
「金田一シリーズ」や「細雪」の様に早いテンポで、
アップの画面が切り替わって行くのか?と思いきや、
シネマスコープの横長画面を最大限に活かし
一切の無駄の無い画面。
初期の「必殺シリーズ」が、これを参考にしたと思われる、
主要人物にのみ、ライトの当たったタイトな絵作りは、
緊張感が半端無いっす。

観賞後に町山智弘氏の解説動画で知ったのですが、
シネマスコープの正しい使い方として、
海外では「アラビアのロレンス」と並んで評価が高いとの事で、
さもありなんと思いました。
同時に無駄を一切排したタイトな画面作りは、
お金の無い若手映画人には物凄く参考になるんじゃ無いかと思います。
途中、ちょっとしたチープな特撮もクスリと笑えます。

役者陣に目を向けると、
主役の長谷川一夫氏は当時50代で大柄故、
玉三郎さまの女形を想像すると流石に飲み込み辛いけど、
その分、若き日の若尾文子様の麗しいお姿と
山本富士子様の蓮っ葉なのにそこが色っぽい
ドS女子ぶりをご堪能下さい。(笑)

この時代の映画を観ることはほぼ無いので、
午前十時の映画祭ならではの本当に貴重な経験でした。

星のナターシャ