「最も微妙な遊戯」処刑遊戯 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
最も微妙な遊戯
遊戯シリーズ3作目。1979年の作品。
全ては行きつけのバーで出会ったピアニストの女と過ごした夜から始まった。
帰路、何者かに拉致。廃屋で目を覚まし、身体の不自由を手解き、敵と交戦。負傷しながらも脱出する…。
実はこれは、ある特務機関が鳴海を試すテスト。
鳴海に殺しの“命令”が次々下る…。
ターゲットは同業の殺し屋やスパイ容疑の大使館員。
殺しのテクニック、駆け引き。
お馴染みの身体を鍛えるトレーニング。
銃撃アクション・シーンは長回し多用で、臨場感ある凝った見せ方。
惚れられた男、惚れた女。その末路。
蠢く陰謀と掌握する黒幕。
きっちり“処刑”。
今回も一見定番スタイルだが…、大きな違いが。
前2作でスパイス程度にあったコミカル要素が一切ナシ。
特に鳴海が、前2作では序盤はちょっと頼りなさげでも最後はカッコ良く決めるのがお決まりだったが、今回は一貫して無口でハードな男に。
それに伴い、作品もシリーズ中最もシリアス。
これは松田優作の意向だとか。
まあ確かに、最もハードボイルドな作風。
が、このテイスト・チェンジは吉と出たのか、凶と出たのか。
これまではカッコ良さの中にコミカル要素をまぶし、ちょうどいい感じのエンタメ・ハードボイルドになっていた。
コミカル要素を削ぎ落とし残ったのは、とにかく延々と暗い。
メインヒロイン(りりィ)は魅力薄。
敵も印象薄。
印象に残ったのは、
時計屋の可愛い女の子、森下愛子。
終始顔色が悪い鳴海。
そんな彼が時計屋の女の子に、最後の最後に唯一言った渾身のギャグ。
「最も危険が危ないよ」
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