敗れざるもののレビュー・感想・評価
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石原裕次郎が、お抱え運転手役とは珍しい
1=時期的に考えて、この映画は「愛と死をみつめて」の2番煎じ
2=主役は石原裕次郎(運転手)となってるが、
実質的には、小倉一郎(脳腫瘍の少年)だな
3=短命と知っても、父・母・姉に悟られない様に普段通りに生活した
この少年の生き方は立派
4=最後の場面:車庫のシャッター閉鎖でENDとなるのは印象深い
少年と運転手
脳腫瘍を患った上流階級の息子・俊夫とお抱え運転手・橋本の交流を描いた感動作。
石原裕次郎主演の1964年の作品。
石原裕次郎と言うとアクションのイメージだが、「陽のあたる坂道」「あじさいの歌」など優れた感動作も多い。本作はその系統。
また、石原裕次郎と言うと兄貴分や親分肌だが、本作では運転手。俊夫に対して敬語で喋ったりと、何だか新鮮。
とは言え、無骨な雰囲気が漂う。
劇中では台詞でしか語られていないが、昔は悪く相当荒れていた。喧嘩は日常茶飯事、酒の席で事故で相手を死なせてしまった事もあり、親兄弟を散々泣かせてきた。
今もその時の雰囲気が滲み、同僚の女中からは陰口を叩かれる。
しかし、俊夫だけは「橋本君!橋本君!」と慕う。
橋本はこれまで誰にも好かれてこなかっただろう。初めて慕ってくれる俊夫に、橋本は心を開く。
そんな時、俊夫が脳腫瘍を患っている事が発覚する。さらに橋本は、俊夫の脳腫瘍が悪性で治る見込みが無い事も知ってしまう。
橋本は激しいショックを受けるが、いつもと変わらず接する。
すると、俊夫も自分の症状について知ってしまっていた。その事を、橋本だけに打ち明ける。
死に疑問を持ち、数回に渡る大手術を受けながら、大好きな天体観測を支えに必死に生きる俊夫。
橋本は最期の時まで俊夫の傍を離れない事を誓う。
やがて俊夫の病状は悪化し、遂にその時が…。
二人の交流と、橋本が最後に見せる涙は、結構胸打たれる。
なかなかの好編だった。
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