野獣の青春のレビュー・感想・評価
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鈴木清順監督・宍戸錠主演の優れもののハードボイルド映画。川地民夫と渡辺美佐子の演技も印象深い。
鈴木清順 監督による1963年製作(91分)の日本映画。配給:日活。
出だしのシーンでエー白黒映画だったけ!と思ったら、グラスに入れられた花にだけ赤色が入る。そしてカラー映画となる。凄く効果的とは思わないが、まあ清順監督作を印象づけられた。
大藪春彦原作らしい元警察官のハードボイルド的主人公を宍戸錠が好演。母親がパンパンだったことを言うと、カミソリでそいつを切り刻むという川地民夫(渾名がすだれの秀)の病的な怖さが結構はまっていたし、ストーリー及び演出がそれを上手く活かしていた。
キャバレー店内を経営者側がマジックミラー通して見れて、スイッチ一つで音をOnOFFできるというのも、洒落ていた。映画はOFFから入ったので、アレiPadの音設定がおかしくなったかと一瞬思ってしまったが。
対決している組長2人(小林昭二と信欽三)のキャラクター設定も、個性的というか、かなりぶっ飛んでいて見ている人間を飽きさせない。
殺された親友の妻役渡辺美佐子が、実は主犯でとんでもない女という展開は、彼女の見事な表情変貌の演技もあって、実に印象的であった。彼女、こんな凄い女優だったんだと驚かされた。川地民夫を絡ませて、具体的映像無しで、彼女に友人の敵討ちを暗示する演出も洒落ていた。
監督鈴木清順、脚色池田一朗 、山崎忠昭、原作大藪春彦、企画久保圭之介、撮影永塚一栄、美術横尾嘉良、音楽奥村一、録音中村敏夫、照明大西美津男、編集鈴木晄、スチル斎藤誠一。
出演
宍戸錠水野錠次、木島一郎竹下公一、渡辺美佐子竹下くみ子、鈴木瑞穂広川刑事、小林昭二野本達夫、川地民夫野本秀夫、江角英明三波五郎、金子信雄小沢惣一、香月美奈子三浦佐和子、柳瀬志郎石崎健、三木正三武島哲次、上野山功一久野正男、河野弘本間清、山口吉弘乾太郎、信欣三小野寺、郷えい治武智茂、星ナオミ桂子、木浦佑三峰岸武郎、黒田剛森川時男、青木富夫松井輝三、玉村駿太郎前田彰一、清水将夫石山洋介、平田大三郎柴田勝、緑川宏辻三次郎、山田禅二藤田社長、花村彰則大島部長刑事、久松洪介山口刑事、高緒弘志野村。
ジョーの"ラストマン・スタンディング"
ウォルター・ヒルは黒澤明の「用心棒」では無く鈴木清順の本作にオマージュを捧げたように思われる個人的な感想!?
突拍子もなく雑でメチャクチャな演出描写がありながら脚本がシッカリしているのか、物語の展開に凝った演出が伺える初期清順作品としては珍しい面白さ。
世渡り上手な宍戸錠の全く動じない態度に無理がありながら周りのギャングの為体、川地民生のサイコチックなキャラが活きてくる。
ラストの電話口で動機を語りながら終わる場面に、この時代の斬新さを感じる。
椿の赤
3度ほど観ているが。見る度に良くなる。当時の東京の風景にハードボイルド的なロケーションを無理に構築するミスマッチ度が時間を重ねるほど新鮮に映る。ストーリーの迷宮にもがくような宍戸錠の捨て鉢な佇まい、虚無的表情が清順ワールドなのかも。キャストも捨て駒なしで魅了される。赤い椿が目にしみた。
珍しいハードボイルドの秀作
宍戸錠が活躍するカッコイイ映画でした。
ハードボイルドものはいいものがありそうで中々ないので貴重な映画だと思います。
内容はかなり不雑で前に何があったかとか、今、何しに来てるんだとか思い出しながら見てないとロスト・イン・ストーリーになりそうでした。
面白かったです。
景色と車がとてもかっこよかった
宍戸錠が風来坊の殺し屋みたいな感じで、黒沢の『用心棒』的な活躍をするかと思ったら実は元刑事で潜入スパイみたいなものだったという非常に入り組んだ話で、登場人物が多くてちゃんと把握できなかった。構成が下手だと思う。人間主体ではなく、謎のための謎になっていた。宍戸錠の作戦もずさんだった。
最大の見せ場の殴り込みがぐずぐずだったが、自宅に車で突っ込んで大爆発するのは迫力があった。
風景と車と映像がとても美しくて、当時の人々の暮らしぶりにもロマンを感じた。
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