劇場公開日 1961年7月30日

「観ての通り1933年RKO版の元祖キングコングの見事な翻案です」モスラ(1961) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0観ての通り1933年RKO版の元祖キングコングの見事な翻案です

2020年1月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

南海の小島で原住民が崇める巨大生物を見世物として持ち帰るが、暴れだし大騒動となる
この物語の骨格を巧みに翻案してあります

日米合作で全世界同時公開という当時としても現代に於いては考えもできない程のスケールの製作公開規模です
当時、東宝特撮が世界の注目を集める強力なコンテンツ力を持っていたことが伺えます
つまり世界最高峰の特撮スタジオである証明です

米国側のパートナーはコロンビア
RKOは既に倒産しておりキングコングの版権をどこが持っていたのか定かではありません
コロンビアであったのかも知れません
でなければ、全世界同時公開ですから、絶対キングコングが原案だとどこかから指摘されたはずです

本作の日米合作の時にキングコングの版権を東宝は買っていたのか、やはり後から指摘をうけてライセンスを買ったものかは分かりません
いずれにしても東宝はキングコングのライセンスを莫大な金額であっても買っています
だから、それならいっそのことキングコングそのものを作ろうとなったのか、東宝でキングコング登場作品が本作の後に2作製作されたという流れのようです

ザ・ピーナッツのモスラの歌はとにかく最高でこれがもしなければ本作がここまでヒットしなかったかも知れません

特撮は芸の細かい演出が多く見応えがあります
今回改めて発見したのは、吹き飛ばされたジープが橋と共に川を跨ぐ太い水道管にぶつかっていくのですが、ぶつかってからそこから水が激しく吹き出し始めるめていることです
あまりのことに口があんぐりしました

クライマックスのニューカークシティ編は日米合作の契約事項であったにも関わらず、予算とスケジュール超過で日本側が勝手にカットして日本編で完結させようとしたことでクレームが当然つき、急遽追加したものとのことです
なのでクォリティーが一段落ちるのは惜しいです
これをもっと最初から最大の見せ場として、予算も時間も全力を傾けて撮影していれば、このあとの東宝特撮の世界展開も違ったものになっていたであろうと思います
重ね重ね惜しいことをしたものです

改めてみてシン・ゴジラに大きな影響を与えていることが分かりました
モスラの形態変化、防衛隊の多摩川での特車(戦車)部隊の防衛線形成、米軍の介入(原子熱線砲)
これらは皆本作から由来してそれぞれ反映されています

キングコングこそは、ありとあらゆる怪獣映画の始祖です
このジャンルで儲けさせて貰っているのですから、キチンとライセンスも払って原作の優れた翻案を製作したということは素晴らしいことだったと思います

あき240
kazzさんのコメント
2021年12月22日

興業師が怪獣を連れ帰るのではなく、小美人を連れ帰り、それを守護神が取り返しに来る…というアイデアが、キングコングの翻案として秀逸ですよね。

kazz