「あんな、好きやねん、でも、いくわ」萌の朱雀 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
あんな、好きやねん、でも、いくわ
大人の判断を不意に求められる少女。伏し目がちなあどけない表情。頭を撫でてあげたくなる。後半はそんな尾野真千子の独壇場で、完成度の高いアイドル映画といっても過言ではない。死を待つような祖母の姿。過疎の村とダブって映る。懐かしい風景は夏の何処かで匂った原風景。失われていく何かと残される何か。この映画で西吉野は、尾野真千子という才を産み残したという現実までもが重なってくる。
台詞が極端に少なく、時に短い。現実はそういうもの。警察からの電話を受けた時の演出は見事にリアル。人間関係図や父の仕事の話は、いくらなんでももう少し説明した方が良かったのでは?とも思うのだが、これも作り手の意図だろう。父がトンネルに最後に見た光は何か、甥は何を感じて駆け出したか?尾野真千子の魅力に隠れてしまいそうだが、これも重要なテーマを投げかけている。
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