劇場公開日 1951年11月23日

「諦めに近い男女間・夫婦間の機微が細やかに…」めし KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0諦めに近い男女間・夫婦間の機微が細やかに…

2023年8月13日
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鑑賞方法:DVD/BD

ここのところ、
少しまとめて溝口映画を観ていたところ、
ある方から、
「俺に出来ないシャシンは溝口の祇園の姉妹と
成瀬の浮雲だ」との小津監督の言葉を
教えて頂いたことから、「浮雲」を含む
成瀬巳喜男作品の幾つかを観ることにした。

この作品、まだまだ封建的な、男は仕事、
女は家事との認識が支配する時代の話で、
基本的には良くあるホームドラマの延長線
にあるかの内容だ。
妻の日常など理解するすべのない夫が、
先ずは、彼女の上京を機に、
彼女の不在による日常生活の労苦を
思い知らされる展開なども描かれる。

その後、実家の母親からの
「あなたの夫は、頼もしい、大人しい、堅い」
との発言や、
また、路上で仕事をせざるを得ない
戦争で夫を亡くした子連れの友人を
目撃したことも描かれたので、
次第に二人はお互いの理解が進み、
よりを戻すことになるのだろうとの結末は
容易に想像させられた。

それでも、
二人のお互いの無理解は
その後も繰り返すであろうことも想像出来、
決して肯定的ではない諦めに近い
男女というか夫婦間の機微を
細やかに描いたこの作品、
身につまされるようでもあり、
己への心配がつのった。

KENZO一級建築士事務所
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