劇場公開日 1951年11月23日

「【原作者の林芙美子は、原節子の起用に対し”美しすぎる。全く原作のイメージと異なる・・”と反対したが、”遣る瀬泣き男”じゃなかった、成瀬己喜男が主役に起用し、原節子の第二期黄金時代を彩った作品。】」めし NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【原作者の林芙美子は、原節子の起用に対し”美しすぎる。全く原作のイメージと異なる・・”と反対したが、”遣る瀬泣き男”じゃなかった、成瀬己喜男が主役に起用し、原節子の第二期黄金時代を彩った作品。】

2021年3月6日
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鑑賞方法:VOD

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■感想

・確かに、林芙美子の懸念は分かる。
が、それ以上に、
 ”一年365日、同じ朝、夜が来る・・”
 と呟く、三千代(原節子)の積り積もった専業主婦の鬱積した気持ちと、奔放な従妹の里子(島崎雪子)の姿との生き方との対比が、鑑賞側に伝わってくる。
 三千代の夫、岡本初之輔(上原謙)は、証券会社で働く実直な男なのであるが、三千代への言葉は、”おい、めしまだか・・””腹が減った・・”である。
ー 時代的に、当時の男は、そんなことは言わないのであろうが、
 ”もうちょっと妻に対する感謝の言葉を言えよ!”
 と昭和後期生まれの男は思ってしまったのである。ー

・そして、不満が募った三千代は、里子とともに東京の実家に暫く戻るのであるが・・。
里子に対して、正しき言葉を投げつける信三(小林桂樹!)の姿が小気味よく・・。

・けれど、一人の生活になり、初めて妻の有難さに気付いた岡本は、出張と称して三千代を迎えに来る。
ー 二人で、カフェに入った際に、最初に妻のグラスにビールを注ぐ岡本の姿が印象的である。-

◆そして、原節子さんは今作と「麦秋」により、昭和24年に続いて、昭和26年に2度目の毎日映画コンクール女優演技賞を受賞した。
 キネマ旬報のベストテンで、「麦秋」が一位、今作が二位を獲得した。
 「麦秋」を観たいものである。

<暫く前に、石井妙子著の「原節子の真実」というドキュメンタリー作品を読んだ。
 それまで、私は原節子さんと言えば、小津安二郎監督作の、数作しか鑑賞していなかった。
 これから、機会があればこの大女優さんの他の監督作品を少しづつ、観たいと思っている。>

NOBU