「上方の喜劇王藤原寛美、その芸達者の笑いと人情のスパイスが加わってこそ、本作は最高の娯楽作品になったのだと思います」明治侠客伝 三代目襲名 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
上方の喜劇王藤原寛美、その芸達者の笑いと人情のスパイスが加わってこそ、本作は最高の娯楽作品になったのだと思います
やくざ映画
日本映画の一ジャンルとして、なくてはならない存在です
その中でもやはり東映のやくざ映画が飛び抜けています
1963年の人生劇場 飛車角に始まり、1965年9月公開の本作、同年10月の高倉健主演の昭和残侠伝はジャンルとして確立した中の一つの頂点と言えると思います
日本人の心の琴線に触れる要素がこれでもかと散りばめられています
料理でいえば、幕の内弁当?いや豪勢なお節料理でしょう!
心服する器の大きい親分
目の覚めるぐらい立派な大親分
卑怯で外道なライバル
意地らしくも可憐な女心をみせる美しいヒロイン
こらえてこらえて最後には意地と筋を通す主人公
言ってみればこのパターンに過ぎないのかも知れません
しかし何度観ても痺れるのは日本人の心の成り立ちに深く結びついている筋書きなのでしょう
本作も突き詰めればパターン通りです
しかしその満足感のレベルが著しく高いのです
鶴田浩二、藤純子、嵐寛寿郎、丹波哲郎
悪役ぶりが素晴らしい安部徹
どれもこれも配役がピタリとはまっています
そこに上方の喜劇王、藤山寛美がコメディリリーフだけでなく、見事な演技の冴えをみせて大いに盛り上げています
この時期、彼は松竹新喜劇を莫大な借金で首になり、東映の岡田社長の世話で映画出演を始めた頃だったのです
この芸達者の笑いと人情のスパイスが加わってこそ、本作は最高の娯楽作品になったのだと思います
コメントする