「鬼気迫る錦之助」宮本武蔵 二刀流開眼(1963) ぶっちさんの映画レビュー(感想・評価)
鬼気迫る錦之助
全五部作のうちの一作(第三部)なので、これだけを評するのは如何かということだが、まあ面白いのは面白い。派手さはさほどないけどね。
最強のライバル佐々木小次郎がシリーズ初登場らしい。まだ若い高倉健である。やたらとふてぶてしく、不遜極まりない。つまり、いかにもといった感じの仇役である。
ただし、太刀捌きは下手だ。これでは武蔵には勝てない。
しかし偽小次郎の又八は本物にひれ伏す。木村功のほうが格上だろうに、よく引き受けたものだ。
錦之助の武蔵はストイックな求道者の雰囲気がとてもよく出ていて、鬼気迫るものを感じる。
江原 真二郎の吉岡兄も最初からオドオドして、これもいい。
ただ、副題の「二刀流開眼」に合う決定的なシーンはないし、そこに至る経過も描写がない。あれ、使えてるじゃん、て感じ。
ならぱ副題はいらなかったのではないか。「宮本武蔵第三部」で良かったのではないか。でもまあなんか、副題は付けないといけなかったんなでしょうな。
お通さんも、べつに出てくる必要はなさそうだったが、まあシリーズ物だから顔見せかな。
それでも、もうこんな重厚な時代劇はこれから観られない。それだけでもありがたいと思う。
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