宮本武蔵 二刀流開眼(1963)のレビュー・感想・評価
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鬼気迫る錦之助
全五部作のうちの一作(第三部)なので、これだけを評するのは如何かということだが、まあ面白いのは面白い。派手さはさほどないけどね。
最強のライバル佐々木小次郎がシリーズ初登場らしい。まだ若い高倉健である。やたらとふてぶてしく、不遜極まりない。つまり、いかにもといった感じの仇役である。
ただし、太刀捌きは下手だ。これでは武蔵には勝てない。
しかし偽小次郎の又八は本物にひれ伏す。木村功のほうが格上だろうに、よく引き受けたものだ。
錦之助の武蔵はストイックな求道者の雰囲気がとてもよく出ていて、鬼気迫るものを感じる。
江原 真二郎の吉岡兄も最初からオドオドして、これもいい。
ただ、副題の「二刀流開眼」に合う決定的なシーンはないし、そこに至る経過も描写がない。あれ、使えてるじゃん、て感じ。
ならぱ副題はいらなかったのではないか。「宮本武蔵第三部」で良かったのではないか。でもまあなんか、副題は付けないといけなかったんなでしょうな。
お通さんも、べつに出てくる必要はなさそうだったが、まあシリーズ物だから顔見せかな。
それでも、もうこんな重厚な時代劇はこれから観られない。それだけでもありがたいと思う。
宮本武蔵・視覚化の決定版③
若き高倉健の佐々木小次郎役が見ものです
内田吐夢監督、プロフェッショナルに徹しています
第一作にやりたいことはやってますので、第二作同様仕事としてきっちりこなしている作品です
それ以上でもそれ以下でもありません
特に本作は後半の第四作、第五作への橋渡しの物語で宮本武蔵のシリーズを通底する、剣の道と人間を高める道との矛盾というテーマ性は冒頭の前作のラストシーンの紹介のみで、他には影も形もありません
タイトルの二刀流開眼は前半の柳生四高弟との闘いで早くも開眼してしまいます
前半の柳生編は、どちらかというと長めのプロローグです
佐々木小次郎が登場する、中盤より次回作一乗寺の闘いの前振りの物語が本編の扱いとなります
若き高倉健が佐々木小次郎役です
キャライメージが後のザ・高倉健ではないのが見ものです
本作の翌年1964年公開の日本侠客伝によって、私達の知る高倉健となるわけです
しかし、お通さんなんであなたそこにいるの?
独特の話方が素敵なので出番が多いのは歓迎ですけど
城太郎少年は、お通さんの姿に驚いて逃げた武蔵に柳生屋敷に置いてけぼりをくらいます
次回作一乗寺の決闘で、宮本武蔵と京都で再会する事になります
洛北の蓮台寺野は、京都市北区の旭丘中学校の辺りかと思われます
大徳寺から徒歩10分ほど
普通の住宅街です
シリーズ折り返しの第3弾。ライバルが登場
シリーズ折り返しの第3弾。遂に宿敵のライバルが登場。
般若坂の戦いで人の死の無常を知る武蔵。
己の剣に磨きを懸ける為に、柳生石舟斉を訪ねるが…。
サブタイトルに《二刀流開眼》と在るが、実際には“いつの間にか使っていた…”と言う、お茶目な状態(笑)其処に至るまでの物語が無いから「あれれ…」と言った感じ。
ある問題から石舟斉とは会えず、因縁有る吉岡との約束を優先する。その一方で…。
ここまでが前半。後半遂に高倉健演じる佐々木小次郎が登場。
初めの登場場面から見せ場が有る。
船の廻りを回り込む長廻しの後に、細かいショットで小次郎の強さを表現する、鮮やかな編集が素晴らしい。
この辺りから、完全に主役は小次郎に交代したと言って良い位に、この後武蔵の影は薄くなる。
エンディングに向かって、第1・第2弾の武蔵に関わった登場人物達が、駆け込み的に絡み合いながら登場する忙しさ。
そして遂に吉岡道場との全面対決をいざ迎える事となる。
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