宮本武蔵 二刀流開眼(1963)のレビュー・感想・評価
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【宿敵・佐々木小次郎華麗に登場。そして、演じた俳優さんにビックリ!前半の柳生一門の統領、石舟斎との芍薬の茎の切り口で相手の腕を見抜くシーンなど見所タップリの第三弾。】
■チビッ子弟子、城太郎と共に“剣聖”柳生石舟斎(薄田研二)の屋敷へ向かい、石舟斎による芍薬の切り口を見て、その腕の確かさを確信するも、4高弟と向き合っただけで、その地を去る武蔵。
一方、長剣三尺の剣士・佐々木小次郎(高倉健)の剣さばきを目の当たりにした吉岡清十郎(江原真二郎)は彼を吉岡道場へと招く。が、小次郎は武蔵の腕の方が遥かに上と見抜き忠告するが、武蔵との対決を決意した清十郎を止められず、二人は五条大橋で武蔵と対峙する。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭、第二作のラストで宮本武蔵が叫ぶシーンから始まる。きっと私と同じで“何を叫んでいるのか、分からない!”と言う抗議が殺到したのであろう。
このシーンでは台詞がハッキリわかる。そんなことを叫んでいたんだね。
・今作は、前半は宮本武蔵と、柳生石舟斎との合わずの戦いが面白い。何故か、お通(入江若葉)が、石舟斎に仕えている設定など、突っ込みたくなるが、芍薬の茎の二つの切り口の件や、お通の笛の根を聞いて宮本武蔵が去る所なども、ナカナカである。
因みに、吉岡清十郎の弟、伝七郎も石舟斎との手合わせ願いに来ていたが、彼は茎の切り口に気付かず”大した事はないな・・。”などと、武蔵も隣に入っている露天風呂で、デカい口を叩いているのである・・。
■だが、今作で圧倒的な華を持って登場するのは、ナント高倉健さん演じる長剣三尺の剣士・佐々木小次郎であろう。
船上での吉岡の門弟たちとの遣り取りの際の、小次郎の不敵な台詞の数々が、大変に格好良いのと、高倉健さん自身が当時の日本人男性の中では、一際長身だった事と、若きイケメンがイメージにピッタリなのである。
ナイスキャスティングである。
・あとはねえ、意外と吉岡清十郎が二代目のプレッシャー故か、器が小さいというか、嫌がる朱実(丘さとみ)を手籠めにするシーンなどを見ると”お前は、トットと切られて良し!”と内心思うが、五条大橋での宮本武蔵との対決のシーンでも、秒殺で弱っちいのである。なんだよー!
しかも、棒きれでの一撃のみで、腕の骨を粉砕される始末である。それを見ていた小次郎から、命を助けるために腕を切り下ろされて退場である。
ここで、今後の流れが軽ーく読めるのだが、流石内田吐夢監督、五部作を飽きずに見せる構成が分かっていらっしゃるのである。
<今作は、前半は宮本武蔵、中盤からは佐々木小次郎に焦点を当てた作品構成が宜しき作品である。
特に、前半の、武蔵と柳生石舟斎との”芍薬の茎の二つの切り口の件”での合わずの戦いは、好みでありました。>
鬼気迫る錦之助
全五部作のうちの一作(第三部)なので、これだけを評するのは如何かということだが、まあ面白いのは面白い。派手さはさほどないけどね。
最強のライバル佐々木小次郎がシリーズ初登場らしい。まだ若い高倉健である。やたらとふてぶてしく、不遜極まりない。つまり、いかにもといった感じの仇役である。
ただし、太刀捌きは下手だ。これでは武蔵には勝てない。
しかし偽小次郎の又八は本物にひれ伏す。木村功のほうが格上だろうに、よく引き受けたものだ。
錦之助の武蔵はストイックな求道者の雰囲気がとてもよく出ていて、鬼気迫るものを感じる。
江原 真二郎の吉岡兄も最初からオドオドして、これもいい。
ただ、副題の「二刀流開眼」に合う決定的なシーンはないし、そこに至る経過も描写がない。あれ、使えてるじゃん、て感じ。
ならぱ副題はいらなかったのではないか。「宮本武蔵第三部」で良かったのではないか。でもまあなんか、副題は付けないといけなかったんなでしょうな。
お通さんも、べつに出てくる必要はなさそうだったが、まあシリーズ物だから顔見せかな。
それでも、もうこんな重厚な時代劇はこれから観られない。それだけでもありがたいと思う。
宮本武蔵・視覚化の決定版③
若き高倉健の佐々木小次郎役が見ものです
内田吐夢監督、プロフェッショナルに徹しています
第一作にやりたいことはやってますので、第二作同様仕事としてきっちりこなしている作品です
それ以上でもそれ以下でもありません
特に本作は後半の第四作、第五作への橋渡しの物語で宮本武蔵のシリーズを通底する、剣の道と人間を高める道との矛盾というテーマ性は冒頭の前作のラストシーンの紹介のみで、他には影も形もありません
タイトルの二刀流開眼は前半の柳生四高弟との闘いで早くも開眼してしまいます
前半の柳生編は、どちらかというと長めのプロローグです
佐々木小次郎が登場する、中盤より次回作一乗寺の闘いの前振りの物語が本編の扱いとなります
若き高倉健が佐々木小次郎役です
キャライメージが後のザ・高倉健ではないのが見ものです
本作の翌年1964年公開の日本侠客伝によって、私達の知る高倉健となるわけです
しかし、お通さんなんであなたそこにいるの?
独特の話方が素敵なので出番が多いのは歓迎ですけど
城太郎少年は、お通さんの姿に驚いて逃げた武蔵に柳生屋敷に置いてけぼりをくらいます
次回作一乗寺の決闘で、宮本武蔵と京都で再会する事になります
洛北の蓮台寺野は、京都市北区の旭丘中学校の辺りかと思われます
大徳寺から徒歩10分ほど
普通の住宅街です
シリーズ折り返しの第3弾。ライバルが登場
シリーズ折り返しの第3弾。遂に宿敵のライバルが登場。
般若坂の戦いで人の死の無常を知る武蔵。
己の剣に磨きを懸ける為に、柳生石舟斉を訪ねるが…。
サブタイトルに《二刀流開眼》と在るが、実際には“いつの間にか使っていた…”と言う、お茶目な状態(笑)其処に至るまでの物語が無いから「あれれ…」と言った感じ。
ある問題から石舟斉とは会えず、因縁有る吉岡との約束を優先する。その一方で…。
ここまでが前半。後半遂に高倉健演じる佐々木小次郎が登場。
初めの登場場面から見せ場が有る。
船の廻りを回り込む長廻しの後に、細かいショットで小次郎の強さを表現する、鮮やかな編集が素晴らしい。
この辺りから、完全に主役は小次郎に交代したと言って良い位に、この後武蔵の影は薄くなる。
エンディングに向かって、第1・第2弾の武蔵に関わった登場人物達が、駆け込み的に絡み合いながら登場する忙しさ。
そして遂に吉岡道場との全面対決をいざ迎える事となる。
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