宮本武蔵(1961)のレビュー・感想・評価
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1961年当時の観客のもどかしさを正確に追体験
何の予備知識も無しで観たのですか、中村錦之助さん版宮本武蔵シリーズの第一作でした。
未だ宮本武蔵でも何でもない郷士出身の破落戸が、関ケ原の合戦で敗残の落武者になった後、中るを幸いにして暴れ廻る。
そこを沢庵和尚に、二度も取り押さえられ、、、という孫悟空とお釈迦様のエピソードみたいな話しが展開。
最後は、沢庵に連れられ姫路城の殿様の前に引きずり出されて、唐突に謁見。
直ぐに天守閣の開かずの間に幽閉される。
否応なしに与えられた数多の書物の読破を強要され、遂に覚醒、、、していくのか?
みたいなところで終わってしまいました。
第1作の製作発表の際に「一年一作、五部完結」をキャッチコピーにして、現実にその通りに製作されたみたい。
映画としてはあまり例をみない、始めから非常に計画的な五連作シリーズなんだけれど、今回の特集では第一作しか上映しない訳で、欲求不満も甚だしいです。
知らないで観ちゃった身になって欲しい。
そういう意味では、1961年当時の観客のもどかしさを、正確に追体験出来ているのかもしれません。
追体験したくないけど。
三國連太郎さんが沢庵和尚の役。
オープニングの香盤から考えると、あんなに大きい役だとは思えなかったです。
けだもの武蔵(たけぞう)の改心
"宮本武蔵(中村(萬屋)錦之介版)" 五部作第1作。
時代劇専門チャンネルで鑑賞(4Kデジタルリマスター版・録画)。
原作は未読です。
文庫本で全8巻に及ぶ物語を五部作で映画化したシリーズの1作目。同じ原作の三船敏郎版三部作の1作目で扱われている範囲とほぼ同じストーリーが展開されました。
中村錦之介が「けだもの期」の新免武蔵を好演。沢庵和尚によって杉の木に吊るされるシーン、実際に吊るされて声を張り上げて悪態をつく演技の荒々しさが絶品でした。
沢庵和尚役の三國連太郎やお杉役の浪花千栄子も存在感が抜群。三船版の八千草薫には少し劣る感じだけど、入江若葉の儚げさも武蔵とのコントラストが素晴らしかったです。
沢庵和尚に「真の強さ」を諭された武蔵が姫路城天守での幽閉を経て覚醒し、次回へ続くラストシーンが印象的。覚醒を表現する中村錦之介の目力の強さに圧倒されました。
シリーズ第1弾
内田吐夢監督と中村錦之助のコンビで描く、宮本武蔵シリーズの第1弾。
宮本武蔵誕生に多大な影響を及ぼす沢庵和尚役には三國連太郎。
流石に巨匠内田吐夢監督らしく、全編で重厚な人間ドラマが展開される。
関ケ原の戦いで、豊臣側の落ち武者となってしまった武蔵(たけぞう)と又八。
又八を救う木暮実千代の妖艶さ。娘役の丘さとみは純情な生娘とゆう、「この母親にしてかい?」とゆう設定。有名な吉川英治による原作があるが、読んだのは遥か昔に前半のほんの一部分だったので、原作通りだったかは解らない。
中盤で登場する沢庵和尚役の三國連太郎が、有名な木に吊された武蔵(たけぞう)に人間の何たるかを諭す場面は、錦之助VS三國のがっぷり組み合った演技合戦となっており見応え満点。
但し、当然の様に吊されているだけに、錦之助の大立ち回りは期待が出来す、息の入り込む余地が無い程に重苦しい展開の為に爽快感を味わえないのは致し方ないところ。
入江若葉演じるお通さんとの約束を交わし、今武蔵(たけぞう)は生まれ変わらんとする。
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