劇場公開日 1964年1月15日

「加山雄三がサークの映画のようだ」乱れる ニックルさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0加山雄三がサークの映画のようだ

2020年3月24日
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成瀬の映画の中でもダグラス•サークに接近した作風のように思う。加山雄三と高峰秀子、この2人の善良さを中心にしたメロドラマということになるのだろうか。

だが、微笑んで観ているといきなり画面に成瀬巳喜男が立ち上がってくる。加山雄三が積年の気持ちを高峰秀子に伝えるというシーン。限定された照明の中で、部屋の敷居の境界線を利用して俳優の気持ちを表現したかに見える演出。浮かび上がるような胸上のアップカット。男と女という観念が突如画面の上で再定義されていく感じがまさに。
さすがに今の感覚で観ていると高峰秀子はカマトト過ぎるような気もするが...恐らく彼女にとっては加山雄三との恋は初恋だったのだろう。そう考えると得心がいく。初恋に乱れるということを描いた映画だったのだ。
加山雄三の死はさすがに取ってつけだと思うけど。

それにしても、この年代の映画にしてスーパーマーケットと小売店という世界観をやっていたんだなという所も新鮮だった。

ニックル