「無気力に生きていた中年男が、エロごとで生命力を取り戻す、危ないファンタジー!?」水のないプール Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
無気力に生きていた中年男が、エロごとで生命力を取り戻す、危ないファンタジー!?
若松孝二監督、内田栄一脚本により 1982年製作(103分)日本映画。配給:東映セントラルフィルム、劇場公開日:1982年2月20日。
前情報無しで見たので、エロさと際どい表現にビックリ。1981年に仙台で実際に起きた連続暴行事件が元ネタとか。ただ、内田栄一脚本で観念的でもあり、本当のところ何を描いているのかは、良く分からないところもあった。
主人公内田裕也は、今は無い職業、地下鉄の切符切りで妻子もいるが、無気力な生活を送っている。そんな彼が公園で青姦を見て刺激を受けたのか、クロロホルムを使って女性を襲うことを思いつく。テストのためにかカエルをクロロホルムで眠らせ、カエルの股間を撫ぜる裕也、キモくて危なすぎる表現だ。
水のないプールに、主人公を連れていき裸になる若い女性浅岡朱美、裕也は相手にしないが、彼女は何度も登場し、いつも水無しプールでシャボン玉を吹いている。さっぱり分からないが、彼女は中年男を危ないファンタジーの世界に誘い込むキューピットのイメージなのか?!
一人暮らしの若い女性を、次々とクロロホルムで眠らせエッチをする裕也(多すぎて、少々飽いてしまった)。ただ、フルーツパーラーの美しい店員中村れい子は最初の相手でもあり、何度も彼女の家に忍び込む。惜しげもなく全身を晒している中村だが、若松監督の力量なのか、彼女の裸体映像が実に美しくエロチックで、何処か芸術的でもあり驚かされた。
彼女のもとから去る前には、美味しそうな朝食も用意し、洗濯までしてあげる内田裕也。女性を襲った帰り道では意気揚々で、無気力だったのが一転し髪を短く整え、体まで鍛えるという大変化。中村れい子の方も、夜中の訪問を実は楽しみにしている様でもあり、意識戻っているのに眠っているフリをする。なんだか心も通じ合っている様にも見える、奇妙奇天烈な二人。
最後、彼女の家で、彼女の友人も来ている中、裕也はクロロホルムを嗅いで寝むってしまい警察に通報されてしまった。ただ嫌でなかったしと、れい子は告訴を取り下げる。まさに中年男のファンタジーで、コレぞ内田栄一脚本と思ってしまった。
元ピンクレディのMieが強姦されかかる女性役で出演。音楽は元スパイダースで沢田研二等へのずっと楽曲提供していた大野克夫。内田裕也、若松監督、内田栄一という組み合わせのせいか、タモリ、沢田研二、赤塚不二夫が友情出演していた。
監督若松孝二、脚本内田栄一、製作若松孝二 、浅岡弘行 、清水一夫、撮影袴一喜、美術細石照美、音楽大野克夫、録音杉崎喬、照明磯貝一、編集中島照雄
出演
内田裕也男、未唯mieじゅん未、中村れい子ねりか、藤田弓子澄江、紗貴めぐみ木蔭の女、浅岡朱美みく、殿山泰司薬局店主、安岡力也子分、常田富士男刑事、赤塚不二夫警官、黒田征太郎酔っ払い、タモリカメラ店主、沢田研二やくざ、原田芳雄社長。