水のないプールのレビュー・感想・評価
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0212 狂気と演技下手は紙一重
1982年公開
たけしもそうなんだけどセリフはごもって聞きとれない。
そもそも棒読み。
目線の動きが俳優とは段違い。
けれど一歩間違うと空恐ろしい。
面白みのない人生を一つの光を得て生き生きとする。
描きたいことはわかります。
60点
ザ・昭和!繰り返す夜這い・・・
実際にあった犯罪を基に製作された映画が大好きなアブないオヤジです。
公開当時はこの映画の事を知りませんでした。何年か後に雑誌の記事で興味をもって、レンタルビデオを借りて見ました。
その衝撃的な内容、エネルギーみたいなものに圧倒されて、大好きな作品として、今に至ります。
今回、中古のDVDを見つけて、即購入。久しぶりの鑑賞です。
沢田研二さん、赤塚不二夫さん、タモリさん、原田芳雄さんと、豪華で異色なゲスト出演者にビックリ!
そして、あのピンクレディのミーさんが襲われるところから始まるってんだから、ワクワクしたんですが・・・ちょっと自分の記憶していたものとは、違ってました。
いかにも、昭和な風景が画面の中で表現されていきます。40年で、こんなに変わったんだってところに驚き。まだ、自動改札になってなかったんだ・・・。
何より、内田裕也さんがカッコいい。全編とおして、崩れていく様が、また良いです。ホンッと魅入っちゃいました。
そして、女優さんたちが皆さん綺麗。惜しげ無く裸身をさらけ出してくれる姿に感謝感激でした。
ただね、後半は音の無い暴行シーンが延々と繰り返されて・・・
こんなだったかな?って想いもチラホラ。歳取ることによって考え方も変わるし、まぁ、その時の状況によって感じ方も変わるから仕方ないかな。
戻る気なくなった裕也
「タクシードライバー」のトラヴィスは俺的には普通の自分に戻りたかったんだと思う。出征する前の自分に。
好きな女を振り向かせる事も大統領暗殺も少女を救出する事も、それが果たせたら戻れると思ったんだ。
けれど、少女の親から礼を言われても女を見返す事が出来ても雨の夜にタクシー飛ばす自分しか居ない。
朝は来ない事を真正面からぶちまけたから「タクシードライバー」は名作なんだと思っている。
本作の主人公も所帯を持つ前の自分に戻れたら、どんなに身軽かと毎日あがいているわけだが、ひとたび快楽の道を知るやそれが本道だったかのように没入していく。
最初の犯行に成功した時から、もうどこへも戻る気なくなったんだよな。
自らプールの栓を抜いて泳げなくしてしまったんだ。泳ぐ気があったかどうかは定かじゃない。この不器用な中年男がうまく泳げるとも思えない。
本作がやたらと気分に流されて、もうひとつ感が拭えないのは主人公の内面に焦点を当てるのか、性犯罪をエロ描写で見せたいだけなのかハッキリしなかったからじゃないかな。
俺は後者に特化したほうが良かったように思う。
無気力に生きていた中年男が、エロごとで生命力を取り戻す、危ないファンタジー!?
若松孝二監督、内田栄一脚本により 1982年製作(103分)日本映画。配給:東映セントラルフィルム、劇場公開日:1982年2月20日。
前情報無しで見たので、エロさと際どい表現にビックリ。1981年に仙台で実際に起きた連続暴行事件が元ネタとか。ただ、内田栄一脚本で観念的でもあり、本当のところ何を描いているのかは、良く分からないところもあった。
主人公内田裕也は、今は無い職業、地下鉄の切符切りで妻子もいるが、無気力な生活を送っている。そんな彼が公園で青姦を見て刺激を受けたのか、クロロホルムを使って女性を襲うことを思いつく。テストのためにかカエルをクロロホルムで眠らせ、カエルの股間を撫ぜる裕也、キモくて危なすぎる表現だ。
水のないプールに、主人公を連れていき裸になる若い女性浅岡朱美、裕也は相手にしないが、彼女は何度も登場し、いつも水無しプールでシャボン玉を吹いている。さっぱり分からないが、彼女は中年男を危ないファンタジーの世界に誘い込むキューピットのイメージなのか?!
一人暮らしの若い女性を、次々とクロロホルムで眠らせエッチをする裕也(多すぎて、少々飽いてしまった)。ただ、フルーツパーラーの美しい店員中村れい子は最初の相手でもあり、何度も彼女の家に忍び込む。惜しげもなく全身を晒している中村だが、若松監督の力量なのか、彼女の裸体映像が実に美しくエロチックで、何処か芸術的でもあり驚かされた。
彼女のもとから去る前には、美味しそうな朝食も用意し、洗濯までしてあげる内田裕也。女性を襲った帰り道では意気揚々で、無気力だったのが一転し髪を短く整え、体まで鍛えるという大変化。中村れい子の方も、夜中の訪問を実は楽しみにしている様でもあり、意識戻っているのに眠っているフリをする。なんだか心も通じ合っている様にも見える、奇妙奇天烈な二人。
最後、彼女の家で、彼女の友人も来ている中、裕也はクロロホルムを嗅いで寝むってしまい警察に通報されてしまった。ただ嫌でなかったしと、れい子は告訴を取り下げる。まさに中年男のファンタジーで、コレぞ内田栄一脚本と思ってしまった。
元ピンクレディのMieが強姦されかかる女性役で出演。音楽は元スパイダースで沢田研二等へのずっと楽曲提供していた大野克夫。内田裕也、若松監督、内田栄一という組み合わせのせいか、タモリ、沢田研二、赤塚不二夫が友情出演していた。
監督若松孝二、脚本内田栄一、製作若松孝二 、浅岡弘行 、清水一夫、撮影袴一喜、美術細石照美、音楽大野克夫、録音杉崎喬、照明磯貝一、編集中島照雄
出演
内田裕也男、未唯mieじゅん未、中村れい子ねりか、藤田弓子澄江、紗貴めぐみ木蔭の女、浅岡朱美みく、殿山泰司薬局店主、安岡力也子分、常田富士男刑事、赤塚不二夫警官、黒田征太郎酔っ払い、タモリカメラ店主、沢田研二やくざ、原田芳雄社長。
内田裕也ならではの「さわやかさ」
今でいう社蓄的人生。昭和の時代の一億総なんとか、みたいな、職場でも家庭でも飼い慣らされ感しかない日常を送る鉄道会社につとめる男。しっかりしてそうな妻と、男女二人の子ども。つまらない仕事つまらない同僚疲れて帰る家たまに家族サービスのお出かけ全てがステレオタイプの毎日。
土砂降りの雨の夜、チンピラに襲われている若い女最初は見て見ぬふりだが、やはりと思い直して助けてやる。
女は感謝して、雨の中助けてくれた男を自宅に連れて行きタオルを貸してやる。そこでは紳士的に振る舞い、しかしそこから彼の人生は大きく変化する。
内田裕也のたんたんとした様子が良い。
チンピラがレイプする様子を見て女を純粋に助けようというより、なんか違う世界、自由な世界があるのかなと思ったんだろう。彼は彼なりの価値観と世界観を徐々に構築しながらおかしなクロロホルムレイプを展開していくのだ。つまらない社会に所有される自分が夢の世界のようなクロロホルム世界で女たちを所有していく。
最初の試みのあと、
モノラルな雰囲気
2023
75本目
なんとも、独特な雰囲気。
とにかく静かにストーリーは流れていく。
時代背景、駅、カルチャー…
ある意味、懐かしく、鮮度もある。
ストーリー的には性的なインパクトが強い。
ただ”エロい”俗語ではなく、エロティシズムアート的な見せ方をしている。
秋の夜長にぴったりな作品。
決して、電車など公共機関での視聴はオススメしません笑
隠微な犯罪の世界
内田裕也扮する地下鉄職員内田は雨の日に襲われていた女性を助けた。ただ切符を切るだけの生活に嫌気がさし警備会社に行こうかとも考えていた。
昔の映画だから改札での入挟シーンから始まった。見たところ子供ふたりの平均的な4人家族の父親だが、何故かクロロホルムを薬局で購入したりして怪しい動きをし始めた。さらには喫茶店の女性の後を追い始めたらもうアウトだな。独身男性ならともかく妻帯者だからね。男性なら誰でも女性を求めるだろうが、節度なり理性を捨てては困るな。でもまんまと成功したら病みつきだね。でも食事作ったり洗濯はないだろう。如何にも病的だ。
ヤクザな沢田研二や右翼めいた原田芳雄、妻役に藤田弓子、警官役に赤塚不二夫、カメラ屋にタモリ、襲われていたミーなど豪華な脇役俳優陣だったのにテーマが隠微な犯罪の世界なので違和感があったね。内田裕也に皆誘われたのかな。水のないプールとは何か分からなかったよ。
面白かった
・破天荒なイメージが強い内田裕也が鬱屈を抱えた陰気な中年を演じるのがピタッとはまっているっていうのが、まず何とも言えない魅力を感じて、始終サスペンスがあって良かった。
・時代のアイテムが良かった。切符を切る仕事、クロロホルム、しゃぼん玉、ジンジャエールという言葉を久しぶりに聞いた。手作りのマスクも良かったし、一軒家の女性の部屋の間取りとか、昭和の感じも良かった。
・実際に窓からクロロホルムを注射器で噴射したらどれぐらいの感じになるんだろうと興味深かった。よく、ハンカチに湿らせた程度では眠らないらしいし、耐性ができるとかどうとかあったような気がしたので。また、カエルを人形ケースを遣って実験してるのが良かった。
・内田裕也が一軒家のウェイトレスの家から事に及んだ翌朝に、吉野家でさわやかな朝だねぇといったのが良かった。やっぱりやめときゃ良かったとかって思うのかなと思ったけど、そんな事なかった。あそこであぁ普通の人じゃなくて本物だったんだと思えた。自分の存在に気づいてほしいと思われる朝食の準備とかが余計に狂気じみてて良かった。最終的にポラロイドカメラで撮影してたのを職場で観てるのも凄い。時代なんだけど既婚者っていうのも。
・これをしたから金を得られるから計画を立ててっていう利益を得ようとかそういう意図のない今感じる閉塞感をどうすればいいのか、あぁこれだ、っていう感情の赴くままの行動っていうのは理解できないけど何かわかるなぁって思えてよかった。映画ならではの喜びという感じがした。
・水のないプールとそこにいつもいるしゃぼん玉を吹いている女の存在がありえなぁーって思ったけど、その組み合わせが本筋と関係ないのかあったのかと考えさせられた。
・最終的にウェイトレスの女が起訴を取り下げると警察に申し出た時、そんな事あるのかと思ったけど、改めて考えると変な人ばかりの映画だったんだからあるか、と思った。他の人に起訴されなかったのかなとか、細かい事を考えているのが馬鹿馬鹿しくなる傑作だった。当面、頭から離れなさそう。
日本版 「タクシー・ドライバー」!?
実際に1980年に宮城県仙台市で発生した仙台クロロホルム連続暴行魔事件をモチーフとした作品であるが、内田裕也演じる地下鉄駅員はかの「タクシー・ドライバー」のトラヴィスそのもの。
劇中のセリフにも「これは政治だ!」、「街の見回りを行っている・・・・」等、「タクシー・ドライバー」を想起させるような言動が数多く用いられている。
おそらく若松孝二監督の映画作りの原点は“怒り”であり、反体制の視点から描く手法が数多く見受けられるので相通じるものがあるのだろう・・・・・・!
若き日のロックンローラー内田裕也を始め、豪華共演陣にも目を惹かれる一品!!
クロロホルムの買い方のテクニックまで詳細にしちゃヤバかろう
単純で女の裸がたっぷり登場する割にエロ度は低い。おいおい、そりゃヤバいだろうなどと冷静になっていたことや、死姦と同じだろうと感じられると、裸が単なる物体にしか思えなくなるからです。
クロロホルムの最初の実験台はMIE。しかし、窓から注射針で吹き込んで、どれくらい眠っているのかを確かめるだけ。最後までMIEや同居人の水のないプールで戯れる女に手を出さない内田。痴漢から救って、いつまでも“いいおじさん”でいたかったのだろうか。
特異な犯行として、レイプが終わると、洗濯や食事の用意までする性癖。徐々にエスカレートはするものの、タモリが店主のカメラ屋からポラロイドカメラを買って撮りまくる習慣が身についただけだ。相手はとにかく失神しているので、色気もくそもないためか、自己満足の世界に浸っているのだ。
案外豪華なキャストと特別出演の面々。それでもチョイ役ばかりで、結局は暴れん坊の内田裕也のはまり役ぶりが目立った作品だった。全体的に静かなシーンが多くて抑揚がない。観客も同時にクロロホルムを嗅がせられるような効果を狙ったものなら文句もないが・・・
【2007年9月金沢映画祭青いオトコまつりにて】
Fuckin!"Yuya Uchida"
永遠と内田裕也の変態行為を見せ付けられる。
神代辰巳との「鳴呼!女たち 猥歌」もそうだが、若松孝二とのタッグもまた危険な匂いしかしない、ド変態極まりない作品になってしまった!?
ピンク映画時代の若松孝二は女と見ればすぐにレイプの印象が?この頃もイケイケに内田裕也って危険な男とナチュラルにレイプ、そんな野蛮さが抜け落ちたら変態だけが残った。
あの内田裕也が家族サービスをしている場面は演出といえど笑える反面、寒気がする。
最低最悪で下衆な行為をしているのに何でか滲み出る優しさと哀愁漂う表情に、男としての渋味すら醸し出す魅力が溢れる内田裕也って、天然記念物!??
内田裕也の行動全てから、目が離せない。
「子宮の記憶」
「子宮が覚えている」。ある漫画に登場したフレーズ。女はたとえ意識が無い中でレイプされても、その事実を子宮が覚えている、というのだ。本作を観てこのフレーズを思い出した。
窓の隙間からクロロホルムを室内に注入し、深夜女性宅に忍び込んで暴行を働く主人公。この全編無表情な主人公を演じる内田裕也がとても不気味だ。家庭もあり、駅員としての仕事もある普通の男が、あることをきっかけに犯罪に目覚めていく。しかし、一連のこの行為が何故か性的なエロさを感じさせない。女性を犯し、裸体の写真を撮るという変質的な行為が、この男の場合、単純な性欲からきているのではないからだ。意識の無い裸の女性たちを、整えられた食卓に着かせ、華やかな晩餐風景を作り出す様は、子供の人形遊びのようだ。遊び相手のいない子供が、1人でする“ごっご遊び”。これは誰からも注目されない平凡な男が築く王国ごっこなのだ。
本作には主要な女性が4人登場する。まず、主人公に頻繁に犯される被害者女性。彼女こそ「子宮の記憶」の持ち主。朝目覚めるといつのまにか全裸で寝ている。やがては知らない間に、朝食の用意がしてあったり、食器の片づけや洗濯がしてある。確実に侵入者がいることを分かっていながら、いつしかその誰とは分からない男を待つ女。彼女の子宮が男を捉える。それは快楽だけではい、どこかに男の“愛”を感じたに違いないのだ。
複雑な心理状態を見せる被害者女性と反して、男の妻のなんと単純で無邪気なことか。彼女は口やかましい典型的な“おかあちゃん”だ。夫が夜な夜な犯罪に身をやつしているなど思いもしない。犯罪どころか浮気すらできないと思っている。素直に正直に生きて来た彼女が、夫の犯罪を知った時にどれほどのショックを受けるかと思うと、少し心が痛んだ。
さて、主人公がこのような犯罪を行うきっかけとなった女性の存在理由が私にはいまひとつ解らない。不良に暴行されそうになっている彼女を助けた主人公は、彼女から信頼され家へ上り込む。暑い夏の夜、窓を開けたまま眠る彼女を盗み見て、部屋へ侵入できることを発見する。最初男は、単に部屋へ侵入するだけだった。彼女の寝顔を見るだけで、彼女を犯すことはしなかった。何故か?彼女に純愛のような気持ちを抱いていたからか?それならば何故、1~2度彼女の部屋へ侵入するだけで終わるのか?イエジー・スコリモフスキ監督の『アンナと過ごした4日間』のように執拗に侵入し、彼女の寝顔を見たり、身の回りの物に触ったり(体には触れずに)といった描写が何故なかったのか(後半は全く出番が無い)?むしろ何度もその体を犯し、その後に家事をしてやっていた「子宮の女」の方に愛情があったのではないか?この女性が単に一連の事件のきっかけを作っただけの存在だとしたら、人気絶頂のアイドルであるMIE(ピンクレディー解散直後の)を起用する必要があっただろうか?
最後にMIE演じる女性のルームメイトである謎の女の存在がある。彼女こそ実は本作で一番のキー・ポイントだと思っている。何故なら彼女が男を「水のないプール」に誘うからだ。彼女と会ったことで男の中の“何か”が目覚めたのだ。男の行為がエスカレートする度に描写される水のないプールのシーン、そこには必ずこの女の存在がある。まるで男を悪夢の世界へ誘う夢先案内人であるかのように・・・。
「水のないプール」は何を暗示しているのか?水のないプール→役にたたないもの→無意味な存在→現実では生きられない男。彼を夢の王国に導いた女は、天使か悪魔か?プールサイドでシャボン玉を吹く女、水のないプールの底に寝そべる男。舌を出す不敵な男のアップを最後に物語は終わる。この深遠なラストシーンにショックを受けると共に、妙に胸がざわついた。
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