「続編的な映画を夢見ても叶わないことが残念」マルサの女2 Mみやこさんの映画レビュー(感想・評価)
続編的な映画を夢見ても叶わないことが残念
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テレビで観たことがあるけれど、初めて劇場で観ました。
改めて名作だと思いました。
コメディ映画としては、前作の「マルサの女」の方が完成度は高いとは思う。
この映画では、途中で主役の宮本信子さんが長時間消えてしまうし、伊丹十三監督の軽妙さが途中で薄くなってしまうのが不思議。
クライマックスも、主人公視点ではスカッとしたものがなく、消化不良で終わってしまう。
しかし、フィクションとは言え、バブル経済の最盛期に、バブルのカラクリや裏側や闇を突っ込んで描いている。また、オウム真理教の事件よりもかなり前に、宗教法人の擬似権力性と金の問題と暴力を結びつけて描いている。
現代的視点で観れば、その2つの点だけでも、映画のテーマや構造的には非常に優れていると思います。
中途半端な終わり方を考えても、伊丹十三監督は、後日に「マルサの女3」的な映画を製作して、この映画で描いた色々な社会的問題を、映画として全て回収するつもりだったように感じました。
何故にそれをしなかったのかは分からないし、結局、それを夢見ても叶わないことが非常に残念だけれども。
と言うわけで、コメディ映画として期待して観ると少し肩透かしになるけれど、時代の鏡としての視点で観ると、非常に良く出来ている名作だと思います。
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