「三國連太郎氏演じる鬼沢鉄平、完全に本作の主役でしたね。 意気軒高とバブルの波に乗るが、最後は黒幕たちの捨て駒になる男の栄枯盛衰、悲哀が滲み出ていました。」マルサの女2 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
三國連太郎氏演じる鬼沢鉄平、完全に本作の主役でしたね。 意気軒高とバブルの波に乗るが、最後は黒幕たちの捨て駒になる男の栄枯盛衰、悲哀が滲み出ていました。
2月21日(金)からTOHOシネマズ日比谷さんで開催されている「日本映画専門チャンネル presents 伊丹十三 4K映画祭」(監督作品を毎週1作品、計10作品上映)も早いもので4週目。本日は『マルサの女2』(1988)。
『マルサの女2』(1988/127分)
前作『マルサの女』(1987)から1年後の公開。
伊丹監督曰く「前作はマルサの入門」と語るように本作では、バブル最盛期で狂乱する東京で、汚職政治家、地上げ屋、新興宗教、建設業者、商社、銀行の魑魅魍魎が跋扈する悪くてセコイ奴らのオールスターをリアルに、かつコミカルに描いています。
中でも彼らが冒頭で高級タラバガニを下品に食べるシーンが、彼らの本質や性格を一発で表現、食のシーンにこだわる監督の真骨頂、お見事です。
本作では『悪い奴ほどよく眠る』のように最終的には諸悪の根源を絶つことができず、スカッとカタルシスを感じることはできませんが、その後リクルート事件(1988)やサリン事件(1994)が発生、本作と現実が地続きのように感じますね。
前作に引き続き国税局査察部(マルサ)のメンバーも魅力的ですが、若き東大出身大蔵省キャリア官僚を演じた益岡徹氏の若々しい演技も良いですね。
特に三國連太郎氏演じる鬼沢鉄平、完全に本作の主役でしたね。
意気軒高とバブルの波に乗るが、最後は黒幕たちの捨て駒になる男の栄枯盛衰、悲哀が滲み出ていました。
この当時の三國氏は『利休』(1989)『息子』(1991)『ひかりごけ』(1992)『夏の庭 The Friends』(1994)など名作に出演、円熟味を増した演技でまさに怪優でしたね。
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