マルサの女のレビュー・感想・評価
全34件中、21~34件目を表示
徹底した取材が迫真の出来を支える。
昔むかしに劇場で観た作品でした。
そのごく一部分とはいえ。普段は人の目に触れない(人の目に触れては困る?)税務職員の姿を描いた作品として、当時は税務部門で働いていた私も、興味深く観た記憶があります。
今回は、その記憶を踏まえての再観でした。
本作の特徴は…何と言っても、その徹底した取材ぶりでしょう。
続作となる『ミンボーの女』や『マルタイの女』『スーパーの女』の素地が本作で出来上がったのだと思います。
前記のように「税務職員の活躍ぶり」という素材と併せて…。
その高い写実性がとても印象に残る一本でした。評論子には。
そして、その写実性は、もちろん徹底した取材の賜物でしょう。
最初の頃に本作を観た際には気づかなかったのですが…。
最近に完成試写会を観る機会があった映画『じんじん』。
その企画・主演だった大地康雄さんは、本作にも出演していたのですね。
その「マルサのジャック・ニコルソン」という作品中でのニックネームには笑わせてもらいました。
でも…案外に言い得て妙かも(笑)。
おぉ、伊集院もなかなかイイ男にうつってんじゃないのという台詞の返し...
おぉ、伊集院もなかなかイイ男にうつってんじゃないのという台詞の返しで【なにしろマルサのジャックニコルソンですから】と言ったら後ろで笑い声がして、その音量がマイクにのるかのらないかなのが良い。リアル。
頭の部分しか似てないけどね。
公開から35年以上たつのに、テレビ番組などでお金の話しになるといまだにこの映画音楽が使われているのすごい。
バブル狂騒が産んだ傑作、怪作。
再々…見。
儲け方そっちのけで隠し方と暴き方だけに手際良く迫る執拗とスピード感。
喜劇であり且つ人の業を優しく肯定する悲劇でもある。
誰もが知りたい金を貯める秘策の身も蓋も無さの滑稽と凄み。
伊丹十三の早逝が悔やまれる。
87年、バブル狂騒が産んだ傑作、怪作。
濃密。
バブル期
悪い奴らもボロ儲けしていた時代。国税局調査官を“マルサ”と呼ぶことも初めて知った。最初に観た時には権藤の女が尻にティッシュをくっつけていたシーンがもっとも印象的だった。変なところでリアルにしてるんだなぁ・・・と。変なアングルと極端な演出、そして監督夫人を寝癖のついただらしないキャリアウーマンに仕立てたことが面白さを増してある。
晴れてマルサの女になった板倉。税務署と国税局の雰囲気の違いに尻ゴミするかというところで、彼女なりに能力発揮。この微妙な心理状態を演ずるのがすごい。また、色んな隠し場所の面白さ。「特定関係人(2号)」という隠語も参考になった。芦田伸介の「蜷川だ」、大地康雄が「マルサのジャック・ニコルスン」も笑えた。
ガサ入れの直前はドキドキもの。久しぶりに観たけど、面白い映画ですなぁ。赤穂浪士討ち入りの瞬間と同じ感覚になる。
脱税をテーマにした斬新で奇抜な娯楽映画の、俳優を生かした伊丹監督の優れた演出技量
映画の題材に誰もが発想しないであろう脱税をテーマにして、またもや伊丹十三監督が斬新で奇抜な映画を作ってくれた。この人の才能には底知れぬものを感じる。企画から制作までの取材能力の高さと、それを娯楽作品に仕上げる脚本力と演出技量の素晴らしさ。出演する俳優の全てといっていい程、主演の宮本信子、山崎努、そして津川雅彦から脇役、端役までも的確な演技を導き、その俳優の良さを映像に映し出している。こんな映画監督は、日本にはいない。各俳優の個性と演技が理想的なレベルで合致した心地良さを味わいながら、本編の物語を楽しむことが出来る。
1987年 2月9日 郡山東宝
伊丹十三、さすがでした。
国税庁査察部が、脱税を繰り返すラブホテル経営者に迫る物語。
邦画私的ランキング1位の作品です。
国税の査察にフューチャーした斬新さ、新鮮さ。それを活かしきったストーリー展開。
BGMもテンポ良く世界観にぴったりで物語を盛り上げます。
主人公と経営者の因縁も、経営者のお金に関する妄執も、エンターテイメント映画の完成度を損なわないレベルに抑えられ、良いアクセントになっています。
それだけに、ラストの経営者の息子のシーンは、個人的には蛇足に感じました。しかし、、映画全体の評価を下げる程ではなかったと思います。
脱税とのスリリングな対決!
"マルサの女" シリーズ第1作。
第11回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作。
レンタルDVDで鑑賞。
おかっぱ頭には常に寝癖、顔はソバカスだらけ。一見うだつの上がらない外見でも、不正を見抜く観察眼と摘発までの証拠固めの手腕は超一流な(金田一耕助に通ずるものがある)板倉を、伊丹十三監督の奥様・宮本信子が好演していました。
仕事への情熱は人一倍で、心の底から仕事が大好きなんだと感じました。仕事は出来る反面、息子のダイちゃんの世話は母親に任せっぱなしの様子。そのことで悩む姿も見せ、単なる仕事人間では無いキャラクター造形が巧みだと思いました。
権藤も単なる悪人じゃないところがミソ。内縁関係の女(岡田茉莉子)がいながら特殊関係人(愛人のこと)も複数人いたりと、女性関係は爛れていますが、裏社会と繋がってまで脱税を働いているその理由とは、一人息子への愛情故でした。
息子に何不自由無い生活をさせてやりたい。自分が死んだ後も困らないように、財産を遺してやりたい。なんと云う親心なのか、と…。とても人間味があるなと思いました。
子供のことで悩みを抱えている共通点から、敵対関係を超えた友情で結ばれる権藤と板倉のやり取りが沁みました。
権藤と喧嘩して家を飛び出した太郎を、ガサ入れの最中にも関わらず必死に追い掛けて慰める板倉の優しさと来たら…
脱税の手口の巧妙さに恐れ入ると共に、そこかしこに漂うバブル期の匂いを興味深く感じながら、摘発までの攻防がスリリングで終始引きつけられっぱなしでした。
[余談]
クライマックスにて、銀行支店長に吼える花村統括官(津川雅彦)が痛快だし、脱税に関わっていた議員からの圧力の電話をいなしてかわす査察部管理課長(小林桂樹)も絶品でした。
[以降の鑑賞記録]
2023/05/13:TOHOシネマズ西宮OS(午前十時の映画祭13・4K)
※修正(2023/03/01)
マルサの仕事
本当にあんな風に調べるのか分からないけど、本当っぽく見えた。
脱税する程稼ぎが無いよと思って見てたけど、お惣菜屋さんが余り物をタダで持って帰って家で食べたのも脱税行為だって、目からウロコ。
どうやって金を作るか、コップにまだ半分なのに飲んじゃう、これ最悪。いっぱいになって少し飲むのもダメ。
いっぱいになって溢れてこぼれ落ちた所を舐めて我慢する。
お金がない自分に納得。
全34件中、21~34件目を表示