「エネルギッシュな伊丹十三監督の演出と実力派俳優たちの演技に圧倒される力作」マルサの女 Jettさんの映画レビュー(感想・評価)
エネルギッシュな伊丹十三監督の演出と実力派俳優たちの演技に圧倒される力作
私の青春真っ盛りでもあるバブル時代の真っ只中に製作された作品で当時の風俗がリアルに描き込まれており、久しぶりに観ていてとても懐かしかったです
例えば携帯電話がショルダーバッグみたいにバカでかかったり、所構わず職場とかでも平気でタバコぷかぷかとか(ホントにそうだったんですよね)、さらにこの時代ぐらいまでの映画に多い性描写がまあまあ出てきますので、特に家族でお茶の間で見たり、初々しいカップルで自宅鑑賞す観る作品ではないです(苦笑)
脱税する側と摘発する側の“真剣勝負”を時にユーモラスに時に緊張感いっぱいに描く見応え満点の傑作
口紅にハンコ隠したり、本棚が回転して奥に秘密部屋があるとかあらゆる脱税テクニックが描かれ、それを暴く痛快さが小気味いい
宮本信子さんがいつも寝癖がついていて化粧っ気のない主役の“亮子(りょうこ)ちゃん”を演じ、常に一生懸命に脱税者達と攻防を繰り広げるのが見ていて楽しかった
亮子ちゃんを軸に前半分は税務職員時代を描き、後半分はマルサに配属されてからをテンポよく描く脚本が秀逸、スピード感があってホントすごく面白い
そんな傑作を彩るキャストも見応えがありました
宮本さんもいいけど、対立する山崎努さんのヴィランぶりが素晴らしい、特に亮子ちゃんとの最後のやりとりは名シーンだと思います
その他、マルサでのボス小林桂樹さんがめちゃくちゃシブいし、直属上司の津川雅彦さんが“亮子ちゃん、亮子ちゃん”言って最高に楽しい、など役者さん達の演技も楽しめる80年代を代表する傑作だと思います
コメントする