待ち伏せのレビュー・感想・評価
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スター競演見応え有り!
騙し騙され巨悪に振り回され、黒幕への敵討を果たしてあげる?義理人情西部劇風群像時代劇!
三船敏郎、勝新太郎、浅丘ルリ子の狭間でしっかり存在感を出す裕次郎と錦之助は流石!
予想以上に面白い映画です。
できればラストシーンで案の定用心棒が名前を聞かれた時「三十郎、もうすぐです四十郎ですが」と捨て台詞残して欲しかったです。
松竹だけ除け者?!
映画スター豪華共演のサスペンス時代劇。
三船敏郎(東宝)、勝新太郎(大映)、中村錦之助(東映)、石原裕次郎、浅丘ルリ子(ともに日活)と、当時の各映画会社の看板役者が勢揃い。
本作公開の翌年、大映が破綻。悪名高き五社協定も消滅するが、前年の『風林火山』とともに五社協定体制の瓦解を予感させる布陣。
正体不明の浪人(三船)が謎の密命を帯びて訪れる隔離されたような峠の茶屋を舞台に、結末の見えない人間模様が絡み合う。
勝新演じる玄哲が黒幕だと何となく読めてしまうが、当時の彼は大映のトップスター。「まさか勝が」という観客の予想を逆手にとったキャスティングだろうか。
大映時代、『悪名』や『座頭市』などの人気シリーズで勝が扮した主人公は、アウトローであっても悪党ではない。彼は本作で正真正銘のヴィランの凄味を見せつけてくれるが、こんな役こそ彼の本領ではと感じてしまう怪演ぶり。
五社協定などなく、勝の大向こうを張れる存在感の俳優ともっと早くに競演できていれば、彼の役者としての新境地も拓けていたのにと考えるとやはり残念。
権威主義なくせに小心者で、鼻持ちならない性格の役人伊吹を演じた中村錦之助(萬屋錦之介)も東映の花形俳優。
よくこんな役引き受けたなと思うが、裏方からも「錦ちゃん」と慕われた温和な人柄ゆえの応演なのかも。若山富三郎だったら絶対断ってたのでは。
見終わって釈然としない後味が残るのは、浪人が玄哲を逃がそうとする動機に説得力がないのもさることながら、同年に先行して公開された『座頭市と用心棒』同様、またもや三船と勝新との決着が着かなかったから。ひょっとして第三弾計画してた?!
茶店の娘お雪役の北川(喜多川)美佳はタレント三船美佳の母親(つまり三船の…)。
この映画、よく見れば茶店の場面で主要人物が誰も死なない。
Wヒロインのどちらかに悲劇性を担わせれば、もっと起伏のある作品に仕上がっていたのにと思うと、その点も残念。
三船の用心棒シリーズや、『雄呂血』(1925)などの名作時代劇を意識したカットもみられるが、全体的にマカロニ・ウエスタンの影響が色濃い印象。
佐藤勝の音楽もそれっぽい。
「からす様」と呼ばれる謎の幕府要人(八代目市川中車)が浪人に斃されるラストシーンは『続・荒野の用心棒』(1966)?!
BS日テレにて観賞。
ゴージャスメンバー
ストーリーが散漫
面白くなかったというのが見終わっての印象だった。初見は今から50年前だった。三船プロも石原プロもいい映画を提供していたが、この映画は失敗作だった。スターを揃えたのはよいが、映画は脚本で決まるというセオリーを無視しては面白い作品にはならない。4人も脚本家が雁首揃えているが、役割分担はどのようになっていたのかそっちのほうが興味深い。「用心棒」、「椿三十郎」のキャラクターを、東宝か黒澤プロの了解を得たのかどうかは知らないが、流用したのは明らかだ。浅丘ルリ子に「忘れてしまった」と名を名乗らないのは同一人物であることを示している。用心棒のキャラクターに頼らざるを得なかった三船プロのつらさが感じられて痛い。黒澤明と三船敏郎、仲たがいしたのは双方にとって実にもったいないことであったと思う。この二人が仲たがいせずに協力し合っていたらもっと素晴らしい映画があと数本はできたはずなのだ。プライドの高すぎる男と酒癖の悪い男とではうまくいかなかったのであろうか。さて、なぜ面白くないのかは、勝新太郎を殺すために、御用金強奪という犯罪をでっち上げ、三船敏郎に殺させるというわけのわからない設定にしたからだ。そのメインのストーリーが判明するまでに、暴力夫の土屋嘉男にいたぶられる浅丘ルリ子の話、禁制の薬を作っている勝新太郎を匿っている有島一郎の話、太鼓集団の絡み、中村錦之助の絡みなど、勿体付けるだけで本筋とは関係のない話が多すぎストーリーが散漫になってしまったからである。市川中車も勝新太郎を殺したいのであれば、その一点に絞って、殺人部隊と勝新太郎一味との壮絶な戦い、例えば「十兵衛殺人剣」のような合戦をストレートに描いたほうがおもしろかったと思う。「御用金」という五社英雄の映画が前年に作られたが、この両作品共々面白い話ではなかった。御用金は鬼門ということか。
主役級が5人も集まった贅沢な映画
当たりが出ないくじ引きみたいな作品。
わーい。
なるほど、ハリウッド的な映画をあくまでも邦画としてやりたかったんですね。これでもかといわんばかりに、80年代生まれの自分にも分かる大スターを取り揃え、サスペンスとコメディの要素を取り揃え、派手なアクションで締めくくる。えー、そうですね。あんまりというかまあ面白くないです。こう全体的に空回りしており、役者の演技はバラバラでストーリーにダイナミズムがなく、絵柄に代わり映えがなく、予定調和的であるくせに様式美に欠けています。ストーリーテリングがおざなりで把握がしづらくそのために映像と台詞が妙に説明的になっており、キャラクターが曖昧で好感の持ちにくい馬鹿が多いです。
とりわけあれなのが石原のお坊ちゃまで、スター性はともかくとして演技が浮きまくっていますし、そもそも物語り上の必要性が少なくなるほど看板というのは二つも三つも掲げるものでは無いのだなと理解させてくれます。後半見事にフェードアウトしますが・・・誰しも荒馬を乗りこなせるものではないということが分かりやすい映画で、個々のシーン。演技は光るものを魅せますがどうにもこうにもいってないという映画。
さらに終盤は飽きてしまったのか、放り投げるかのように終わり。
本来であればここまで不出来な映画は、もっと評価が低くても良いのですが、そこはスター辛いながらも見れることには観れるので、一応2点。
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