劇場公開日 1970年3月21日

「ストーリーが散漫」待ち伏せ hjktkujさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ストーリーが散漫

2022年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

面白くなかったというのが見終わっての印象だった。初見は今から50年前だった。三船プロも石原プロもいい映画を提供していたが、この映画は失敗作だった。スターを揃えたのはよいが、映画は脚本で決まるというセオリーを無視しては面白い作品にはならない。4人も脚本家が雁首揃えているが、役割分担はどのようになっていたのかそっちのほうが興味深い。「用心棒」、「椿三十郎」のキャラクターを、東宝か黒澤プロの了解を得たのかどうかは知らないが、流用したのは明らかだ。浅丘ルリ子に「忘れてしまった」と名を名乗らないのは同一人物であることを示している。用心棒のキャラクターに頼らざるを得なかった三船プロのつらさが感じられて痛い。黒澤明と三船敏郎、仲たがいしたのは双方にとって実にもったいないことであったと思う。この二人が仲たがいせずに協力し合っていたらもっと素晴らしい映画があと数本はできたはずなのだ。プライドの高すぎる男と酒癖の悪い男とではうまくいかなかったのであろうか。さて、なぜ面白くないのかは、勝新太郎を殺すために、御用金強奪という犯罪をでっち上げ、三船敏郎に殺させるというわけのわからない設定にしたからだ。そのメインのストーリーが判明するまでに、暴力夫の土屋嘉男にいたぶられる浅丘ルリ子の話、禁制の薬を作っている勝新太郎を匿っている有島一郎の話、太鼓集団の絡み、中村錦之助の絡みなど、勿体付けるだけで本筋とは関係のない話が多すぎストーリーが散漫になってしまったからである。市川中車も勝新太郎を殺したいのであれば、その一点に絞って、殺人部隊と勝新太郎一味との壮絶な戦い、例えば「十兵衛殺人剣」のような合戦をストレートに描いたほうがおもしろかったと思う。「御用金」という五社英雄の映画が前年に作られたが、この両作品共々面白い話ではなかった。御用金は鬼門ということか。

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hjktkuj