「とある無宿渡世の若者たち」股旅 K・Mさんの映画レビュー(感想・評価)
とある無宿渡世の若者たち
武士でも戦士でも英雄でも無く、そこら辺を彷徨っていたであろうチンピラの若い衆3人の、伝聞にすらならない生き様を泥と共に描いた作品。
面構えも佇まいも喋り口調も70年代的だが、それが長野の風景と相まって市川崑流〈時代劇〉の魅力を醸し出している。
それは観る人を選ぶので、傑作か駄作か一概にジャッジできない。
ただ、この手触りが好ましい者には何とも魅力的である。
時間に値する学びも感動もここには存在しないが、我々の如き小市民もまた誰かに何かを与えられるような物語を生きている訳では無い。それでも「ただ、死にたくないから生きる」者たちにスポットを当てられるのも映画なのだと思う。
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