麻雀放浪記のレビュー・感想・評価
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友情も情けも無い世界
劇場で観て以来2回目だね。真田広之扮する17歳の坊や哲は昔の知人に出会いチンチロリンしに掘っ立て小屋に入った。
ギャンブルはたまにはいいが負けて全くムダな時間過ごすと後悔するもんだね。それに恐い連中もいるかもしれないし、負けが込んでもきついし。友情も情けも無い世界だからね。悪い事ばっかり覚えるしさ。
公開時はまだギャンブルを知らず
予告編の歌がやけに耳に残っている程度だった。
花をめしぃ~ませぇ~めしませ花ぁあを~♪これが頭に残ってる。
その後地上波でも放送されるがその時も麻雀、ギャンブルを知らず、出目徳を転がすシーン見て何やってんだコイツ等は?位にしか思ってなかった。
後年やっとまともに観る気になってくる…
仲間と共に麻雀をし始めたからだ。
下手の横好きで負けるから、イカサマ技はムリだけど打ち方は真似したくなってしまう。
まぁ他の連中も同じもん見たりしてるから思惑は見透かされてしまうのだけど…。
金を賭けてるのは社会的に問題あるけど、賭けるモノに合わせて真剣になるのは当然。
作中の登場人物も当然、勝っていくためにあの手この手を仕掛けてくる。そこも面白いが当時は人間と向き合って色々やる時代だ。
男も女も生々しい人間的繋がりを求めて生きている。
しかしながら形勢不利と見れば、あっさりと手のひら返されるドライな感じもある。
生きるだけでもかなり真剣でないと生き残れない感じが伝わってくる。
今の時代とはちょっとスタート地点が違っているけど、何をするにもちょいと真剣にならねばいかんと思えた作品だった。
今の時代を生ぬるいとは言えないが弱ければ死ぬ世界が近付いて来ている様に感じる。
思ってたのと違った
終戦直後の東京を舞台に主人公の賭け麻雀人生を描く『アカギ』みたいな作品と思ったら、博打打ちたちの矜持や人生模様を描いた群像劇だった。
特に後半は主人公の影が薄く「坊や哲」物語としての満足度はイマイチだった。
しかし、昭和のテレビドラマで馴染み深い役者たちの演技や、モノクロ画像で再現された終戦直後の風景や風俗は良く出来ていて楽しめた。
言葉と行為の不協和音
坊や哲の無邪気な感じが一番たちが悪いね
ドサ健とマリコが人間らしい 離れられずにいる二人 ほんの少し憧れた
出目徳は勝ちすぎたかな 紙袋が破れてゴミ池に転がる最後 バイニンとして生きた
爆裂に面白い。 ドサ健役の鹿賀丈史がめちゃカッコよくて。出目徳がと...
爆裂に面白い。
ドサ健役の鹿賀丈史がめちゃカッコよくて。出目徳がとんでもなく良いキャラしてる。
最後にドサ健が借りてきた霊柩車も激アツ。
全体的に名言多め。
博奕に取りつかれた生きざま
金を失くし、からだ(健康)を失くし、心(人間性)を失くす。
そんな男女と、そんな男から離れられない女の物語。
ラスト。
「えっ?」からの「ええええええ」。そして、「あぁ…」。
女衒の達の、出目徳への言葉。突き抜けた潔さ。”沼”に引きづり込まれ、ハマるということはこういうことか。
登場人物全員、無様この上ないのに、なぜか格好よく見える…。
役者の競演 それだけでも鳥肌ものです。
台詞の掛け合いもいい。
真似をしたくなる台詞のオンパレード。
演出と演技の妙の技。
エッセイストでもある監督も入った共同執筆。
原作も良いのだろうけれど、
たくさんの映画をご覧になって愛して論評なさって来た知見の集大成。
そして映像。
細部への作り込み。
イラストレーターである監督が、あえてモノクロで撮ったこの映画。
監督からの提案。ご自身がモノクロ映画で育ち、白黒の画調こそ映画の基本ともいえる美しさを持ち、この映画の時代を表現するのにふさわしいからという(この映画のパンフレットから)。
音楽も併せて、この戦後を実際に知っていらっしゃる方ならではの、世界観。
まだ、空襲の爪痕が色濃く残る街ー上野ーが舞台。
雑多なエネルギーと、命・人生をも投げ出して興じるパワー。
魑魅魍魎の世界に足を踏み入れてしまったかの感覚。
そんな中で描かれる、狂おしいほどの情念、執念、緊迫感。そして人としての甘さ、むごさ、残酷さ。そして人を想う気持ち。
全財産どころか、命までも奪い合う勝負の世界。裏切りなんて当たり前。なのに、同じものに取りつかれ、女衒の達のように引きずり込まれ、抜け出せなくなり、他のものが見えなくなっているという同族の絆があるような錯覚もありという怪奇な世界。
いつの間にか、鑑賞している私ものめり込む。麻雀なんてドンジャラレベルでしか知らないのに。
役満なんて知らないけれど、映画の中での緊迫感等で、それがどれほどすごいものか、追体験して、一緒にため息をつき、この一瞬の為になら、家も愛する人も、何もかも賭けてしまえという気持ちになってくる(危ない危ない(^_^;))。
音楽も抑え気味、演技も抑える引き算のような映画。
モノクロの画面にも関わらず、戦後すぐのすさんだ雰囲気とともに、役者の艶が匂い立ち、情念が燃え上がる。
出演されている方々は定評ある役者さんばかり。
その中に混じって一番若い真田さんもひけをとっていないところが、真田さんファンとしては何とも嬉しい。
キャラの濃い面々に混じって、唯一の気の抜きどころ。キャラの濃い出目徳さんやドサ健、女衒の達、上州虎、オックスクラブのママのようにすでに名うてのギャンブラーと違って、まだ初心者だから、坊や哲が勝負の世界に取り込まれている姿に、わが身を寄せて、のめり込む(否否、現実世界では怖くて近寄れないけど)。
とはいえ、やはり、脇の、高品さんや名古屋さん、加賀さん、加藤さん、鹿賀さん、大竹さんあっての映画であろう。
鹿賀さんや加藤さんは舞台で名を馳せた方。その片鱗を見せつつも、舞台臭くなく、高品さん、名古屋さん、大竹さんともうまく絡んで、相手を引き立てつつ、ご自分の力も発揮している。
ため息が出る。
映画のパンフレットに載っている原作者のコメントによると、
一生懸命、作者が他のジャンルに置き換えられないように創り上げている小説を映画にした映画。
原作で、登場人物のイメージのヒントになった方に、高品さんは人相から喋り方までそっくりだそう。
加藤さんもモデルにした方に似ているそう。
ドサ健に松田氏が予定されていたとはWikiで知ったが、原作者は作品執筆時に鹿賀さんがいたら(知っていたら)、原作がもっと書きやすかったろうと言うほど。
名古屋さん・加賀さん・大竹さんに関しても喜んでいらっしゃる。
真田さんに関しても「目が良い」、そして強烈なキャラクターに囲まれた辛抱役としての坊や哲の内攻している感じがうまく出ていたと思うとのコメント。
と、原作者からも及第点をもらっている。
背景に終戦直後の風景は出てくるが、基本この7人で回っている映画。
描かれている世間が狭いのだが、寝ても覚めても麻雀・博奕のことしか考えられない面々の生きざまがよく表れていて、うまい切り取り方だなあと思う。
監督が描かれるイラストのように、一見するとシンプルに切り取った映画。
なのに、中身はこんなにも濃い。
作り込まれているのにやりすぎない。
なんて映画だ。
(原作未読)
どこかで、原作者阿佐田哲也のペンネームは「朝だ、徹夜」のもじりだと聞いた。
そこまで、原作者ご自身も含め、人をのめり込ませてしまう麻雀・博奕。
私にとっては異世界体験。
映画の中だからこそ、安心して、何度も、扉を開けてしまう。
博打に賭ける人生
ドサ健は最低ヤローな割に演じる鹿賀丈史の人間性か、愛嬌のある憎めないキャラ。
そんな鹿賀丈史の声や喋り方が麒麟の川島にソックリ過ぎた笑いどころ!?
ギャンブルを一切やらない自分としては、麻雀が出来たら楽しそうだなぁ、と、全てを賭けてやる根性は持ち合わせてないけれど。
博打を通して人生這い上がるのとは違うし淡々と静かに進む物語ではあるが、初々しい真田広之に妖艶な加賀まりこ、可愛らしい大竹しのぶとキャスト陣だけでも魅了されてしまう。
この世界観がたまらん
よくもまあうまく、戦後の混乱期を映像化しているなあと思った。モノクロであるところもたまらない。
真田広之は、殺伐として世界の中で、1人飄々といい味出してます。鹿賀丈史は結局女をかけるんかい。彼の落ちていく様子もおもしろい。
「えっもう終わり」と思えるほど、あっという間の時間でした。
雀卓なる結界に並ぶ麻雀牌の整然。
焼野原の混沌に対置される雀卓なる結界に並ぶ麻雀牌の整然、演者の手捌きの美しさ。
コンプライアンスのコの字も無い世で裸一貫奔放に真剣に生きる男女。
世界映画史に残る死に様、高品格の不気味で何処か愛らしい悪辣など演者全員の代表作。
大好きだ。また見る。
追悼、#和田誠
【”勝ち続けると人間性を無くす・・” 戦後の混乱の中、博打打ち達の苛烈な生き方を描く。キャスティングの妙も素晴らしき作品。】
ー阿佐田哲也の傑作麻雀小説「麻雀放浪記 青春篇」を、イラストレーターだった、故和田誠さんが可なり原作に忠実にモノクロで映像化した作品。
”出目徳” ”ドサ健” ”上州虎” ”女衒の達”という小説で強烈なアクを発しているキャラクター達のキャスティングの妙に唸らされた作品。-
■今作の魅力
1.戦後の上野を映し出したモノクローム映像の良さ。及び美術の凄さ。
-戦後の荒廃した雰囲気を、見事に映像化している。冒頭の上野バタ屋部落でのチンチロ博打のシーンから、一気に物語に引きずり込まれる。-
2.キャスティングの妙(学生時代、小説を読み込んだ男の勝手な意見。)
”出目徳” :高品格・・もう、無茶苦茶合っている その1。
”ドサ健” :鹿賀丈史・・もう、無茶苦茶合っている その2。
”上州虎” :名古屋章・・無茶苦茶合っている
”女衒の達”:加藤健一・・合っている。
”坊や哲” :真田広之・・うーん・・
3.牌の手積みのシーンを含めた麻雀シーン
・タバコの煙の中、盲牌の後、卓上に叩きつけられる牌。
・”ロン!””それだ・・”という声の後、見せられる上がり手役を横目で見る卓を囲むメンバーの顔付。手で牌をかき回すシーン。
・”坊や哲”がママ(加賀まりこ)から、ゲンロク積み等、いかさまを教えられるシーン。
・一度だけ、映される”坊や哲”のツバメ返し。
-今や、麻雀はほぼ、全自動卓であるが、昔は手積みだったんだよなあ・・。-
4.博打打ちたちと絡む女性たちの魅力的なこと
・”坊や哲”がママに男にしてもらうシーン。
その後、”坊や哲”がママに惹かれていく姿。(そりゃ、そうだ・・)
・”ドサ健”とまゆみ(大竹しのぶ)の共依存の関係性。
”だって、あんたがあたしに惚れてるから・・”
5.”出目徳”の隠語を呟く顔。
”今夜は月が出てるなあ。明日は、きっと天気だろう・・”
で、”2の2 天和”が出来あがる・・。
6.青天井麻雀の果ての、”出目徳” 卓上死のシーン・
・胸を掻きむしり、卓に突っ伏す”出目徳”。彼が握っていた牌は”九蓮宝燈”の上り牌だった・・。
・そして、”ドサ健”が”死んだら負けだぜ・・”と言って、”出目徳”から身包み剥がすシーン。
・”ドサ健””女衒の達””坊や哲”の三人が”出目徳”の家の近くまで運び、転げ落とした後に”皆で呟く言葉
”良い死に方だなあ・・”
<学生時代、朝から朝まで(アサダテツヤ・・)麻雀三昧で、阿佐田哲也さんの麻雀放浪記を始め、麻雀小説を読み耽り(あの牌字って、まだあるのかなあ・・)映画化の話を聞いた時も鼻で嗤って観に行かずに、後年TVで観て、深く後悔した作品。>
■蛇足
・阿佐田哲也と、色川武大とどちらが好きなのかと問われると、非常に困る。
取り敢えず、阿佐田哲也の”短編”であれば「東一局五十二本場」、色川武大であれば、「怪しい来客簿」と記載しておく。
-これ、誰が読むのかなあ・・。文学だし‥。怒られるかな・・。けれど、今映画作品の面白みを確実に反映した作品群であると思うのだが・・。-
負けた奴は裸になれ!!
阿佐田哲矢が流行していた頃の小説の映画化だった。そのため映画館で観たが、加賀まりこの演技が下手だという印象が残った。主人公やドサ健のニヒルさよりも出目徳(高品格)の勝負師としての虚しさを全面に表現した映画となった。そして、麻雀の面白さよりも勝負師のツキがどこで変わるのか、落ちていく人間の潔さが上手く表現されている。
原作を読んでいるために、誰を勝負のメインにするかという点で自分と違っていたことにびっくりした。。また、積み込みの腕、ツバメ返しの技が面白い。ラストの勝負のカメラワークも斬新だ。「負けた奴は裸になれ!」
モノクロだからこその味わい
1984年和田誠の監督デビュー作。
タイトルは知ってたが初見で原作も未読。麻雀は大学の友人と徹マンやってたぐらい。
いやぁ面白かった。80年代にこのテイストで撮るってのが凄い。バクチ打ちのろくでなしっぷりがモノクロ世界で生き生きと描かれる。
なんと言っても役者の顔がイイ!真田広之。鹿賀丈史、名古屋章、そして高品格!!加賀まりこ、大竹しのぶの女優陣も素晴らしい。
ラストもどうかしてる奴らのなんとも言えない姿が絶妙の余韻。初監督とは思えぬ見事な演出が冴え渡ってます。
原作の作品感を壊さない良い作品
全編モノクロの戦後の博打打ちを描いた
ご存知阿佐田哲也原作の映画化。
3回目の久しぶり観賞。
元々麻雀大好きで阿佐田哲也の作品も
昔貪るように読んでいただけに
映画化は嬉しいです。
初見じゃ無い分、昔よりセリフが
すんなりと感情移入。
若かりし真田広之や加賀まりこ、鹿賀武史の
役になりきり感が良いね。
まあ、麻雀やらないひとには今一かも
しれないけど博打打ちは居なくならない。
いままでもこれからも。
モノクロの良さ
名前だけは聞いたことがあったものの1度も見たことがなかった映画でした。Huluで配信されていたので見てみましたが、よかったです。
1984年公開でありながらあえてモノクロで撮影したことにより
雰囲気で出ており非常によかったです。
また演者さんたちのキャラも秀でており、
味わい深い登場人物ばかりで面白かったです。
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