麻雀放浪記のレビュー・感想・評価
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モノクロだからこその味わい
1984年和田誠の監督デビュー作。
タイトルは知ってたが初見で原作も未読。麻雀は大学の友人と徹マンやってたぐらい。
いやぁ面白かった。80年代にこのテイストで撮るってのが凄い。バクチ打ちのろくでなしっぷりがモノクロ世界で生き生きと描かれる。
なんと言っても役者の顔がイイ!真田広之。鹿賀丈史、名古屋章、そして高品格!!加賀まりこ、大竹しのぶの女優陣も素晴らしい。
ラストもどうかしてる奴らのなんとも言えない姿が絶妙の余韻。初監督とは思えぬ見事な演出が冴え渡ってます。
戦後混乱期のクズな賭博師たちの激しい生き様
総合80点 ( ストーリー:75点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:60点|音楽:50点 )
戦後の混乱期に生きた一癖も二癖もあるクズの賭博師たちの生き様を描く。
彼らは純粋に賭博に打ち込み勝負をするのではない。むしろいかに相手を出し抜くか・騙すかに全力をあげる。勝負に失敗する度に生活が破綻するが、まっとうな生活はしようとはしないし、まっとうに生きている登場人物がそもそも登場すらしない。だけどその世界にどっぷりとはまってクズな生き方を貫いていく底辺の人々の様子が面白い。彼らはどうあってもこういう生き方を止められないし、その浮き沈みの激しさが刺激となっている。
登場人物も魅力的。特に癖の強いいかさま師の出目徳を演じた高品格が印象深い。ただし彼が中盤でドサ健相手に大勝負に勝って家まで手に入れたのに、それを協力者にあっさりと渡して自分は粗末なほったて小屋に住んでいたりするのがよくわからない。
ドサ健役の鹿賀丈史も人を食い物にするだけの典型的なクズで、だけどそのクズぶり故に存在感があった。
だけどこれだけのことをやっているのに、やられたほうが暴力や盗みといった実力行使で反撃に出ないのが不自然だった。特に主人公の真田広之がドサ健に何をされても何も仕返しもしないし縁切りもしないのは変だし、それゆえに主人公としての存在感が薄れて面白みがない。米兵が実力行使に出るのはいかさまなしでまともに勝負して負けたときなので、いつもまともなほうが損をするというだけで、いかさまに対する反撃がない。こういうのは不自然。
原作の作品感を壊さない良い作品
モノクロの良さ
素晴らしかった
モノクロ映画にしたことで戦後の荒れ果てた東京がとてもリアルでスケール感のある表現が見事だった。
ばくち打ちにはロクな人間がおらず、お互いを信用しないまま、それでもつかず離れずで付き合っているところが悲しく面白い。出目トクの遺体を土手の上から雑に転がして、それで親切にした気になっているところが非常に何かを語っているように感じた。お互い明日は我が身なのだろう。高めの役を積もって死ぬなら、むしろ本懐であったのかもしれない。
大竹しのぶの家が非常に雑にやりとりされていて、あの権利書も戦後さながらなら大した価値はなかったかもしれないが、最終的に権利書を持った人が勝ちであると思う。
お話も面白いし、表現もかっこいい。なにより登場人物が全員クズなところが特に素晴らしい。鹿賀丈史は本当に大竹しのぶを愛しているように描かれていたが、実際のところ自分の博打の方をはるかに優先しているからそれは表現の妙である。
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