劇場公開日 1952年2月29日

「今はなき日本。失われた日本。」本日休診 リュウジさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今はなき日本。失われた日本。

2025年1月30日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

原作の小説を読んでから鑑賞。

もともと戦後が舞台の小説や映画が好きだ。その時代にしかない世相の面白さとどん底でしかなかった時代にそれでも生きようとした人々の心根が見えてくるから。

「本日休診」の舞台は蒲田にある産婦人科病院。
休診の札を上げても病人・妊婦はやってくるし、来る人はみんな貧しい。
それでも十数年たって出産代を払いにきたり、
自分も貧しいのに貧しい他人の面倒をみようとする。

医者は「お金がないなら治療代はあとでいいから」と言い、
病人は「それはだめです。払えないから退院します」と言い、
社会システムは完全ではないけど、
互いに気を配りあうことで何とかなった時代。

昔の流行歌を思い出した。
ボロは着てても心は錦――。

今はなき日本の概念。

リュウジ