劇場公開日 1952年2月29日

「人情物語」本日休診 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0人情物語

2018年12月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ゆっくり昼寝しようとしていたら、婆やの息子・勇作(三國連太郎)に例の発作が起こり一騒動。軍隊で受けた精神的病で通行人に乱暴しようとしていたのだ。今度こそはと思っていたら、今度は警官が一人の娘・悠子(角)を連れてくる。持ち物を奪われた上、暴行されたというのだ。その診察も進まぬうちに、18年前の初めての患者・湯川三千代(田村秋子)が18年前の医療費を持ってやってくる。さらに指を詰めたいから麻酔をかけてくれというヤクザの加吉(鶴田)や船頭のお産など、目まぐるしいほど忙しい休診日となってしまった。

 貧乏人からは診療費はいつでもいいからと、赤ひげのような存在である大先生。悠子と湯川の息子・春三(佐田啓二)の恋物語になるかと思っていたら、ヤクザの加吉とお町(淡島千景)の悲恋のような感じだった。かなり純情な物語だろうとたかをくくっていたが、悠子はレイプされたわけだし、お町なんて金持ちの愛人になり流産するという展開。それでも暗い雰囲気はなく、飄々とした明るい先生やきちがいの勇作のおかげで笑わせてくれる人情物語。

 しかし、ストーリーは詰め込み過ぎだし、ディテールの欠如といった、まだ戦後映画の黎明期といった印象が残る。

kossy