「キスシーンは違和感がある」鉄道員(ぽっぽや) Takehiroさんの映画レビュー(感想・評価)
キスシーンは違和感がある
『鉄道員(ぽっぽや)』(1999)
一人の愚直に仕事一筋に生きた男の死までと先立たれた生後2か月の娘と妻への回想を詩情
豊かに、北国の風情とともに描いている美しく悲しい束の間の映画だが、過疎化で廃線になってしまうほどの街の過程も同時に写されている。ただ残念なのは、検索しても幾つか出てくるが、
生後2か月で死んだ娘が成長した様子を3人でそれぞれ3姉妹ということで出て来るが、理由は
高倉健扮する駅長の父親が怖がるだろうから、父親が気づくまで姉妹ということにしたというが、
その2人めの当時12歳の子役に当時62歳の高倉健が駅長さんが好きだからということで、コーヒー牛乳を口移しで上げるシーンは、キスシーンと同様の行為だが、違和感ある失敗させてしまったシーンではなかったかと私も思う。妻と娘に先立たれると、老齢になってしまった男一人で子おおた孫が絶える。何代も何十代も続いてきたから人間生命が、自分が存在していることが途切れるということの大きさ。駅の仕事で抜け出せず、娘と妻の死に目に会えなかったことの男のコンプレックス。男の死の寸前に娘が成長して現れてくれたフィクションは、男のためのものだったのか。なぜ現れたのが娘だったか。回想で大竹しのぶが演じた妻も多く出てくるが。当時41歳だっただろうか。滅多に映画に出ないような志村けんが、うまい演技をしている。いかりや長介さんも渋くうまい演技だったが、舞台喜劇や若い頃の喜劇映画だけではない、シリアスな場面でもうまさを発揮できるバックボーンがドリフターズにはあったのだろうと思わせた。違和感あるキスシーンにしても、
幽霊と言ってしまっては簡単にすぎるが、フィクション性からあまり泣ける映画には感じなかったが、
真摯に生きた市井の男の一生を堂々と描いた。小林稔侍の演じる同僚との友情も感動的だったが、当時の日本アカデミー賞など数々の評価を得た映画との事だが、それゆえに3度も繰り返してしまうが、コーヒーの口移しシーンには違和感があり、そのシーンはないほうが良かっただろう。