「勘違い」火垂るの墓(1988) ワイナオ@フロワク@映画おじさんの風呂が沸くまでさんの映画レビュー(感想・評価)
勘違い
自分の中では夏が来るとこの作品がテレビで再放送されたり、リメイクされたりして、その都度押し付けがましく、戦争はダメだよ!しちゃいけないんだ!日本はかつて愚かな戦争をしてたんだよー!とテレビ局が圧力をかけてくるのがいやで、子供の時に何となく観た初見から全く観なくなってしまっていたので、もはや完全なネタ映画になってました。節子かわいそう!っとか言って。
でも最近映画を多く観るようになったんで違う視点で見れるかなと思い、見直したんですが、驚愕しました!
世間での評価と映画の内容が全く違う!
なんだ、この清太というどうしようもないアニキは!
何もかも戦争のせいにして、働きもせず、おばさんが助けてくれようとしている時も拒み、挙げ句の果てには部屋で本を読んで笑っているのを怒られて逆恨みしてる!
なんだ、このアニキは!
節子を不幸にしたのは戦争ではない、このアニキだ!
このアニキがしっかりと働き、周りの人と協力して生きて行けば妹も苦労をすることなく生きていけたのに、時代に順応しようともせず、幼い妹を巻き込んだ。
盗みを働くために、敵の爆撃機に、もっとやれー!もっとやれー!と声高に叫ぶところなんざ、鬼畜としか思えん!
これでは名場面と言われたラストの意味合いも変わってしまう。
見直したせいでますます夏が来る度にテレビでの扱いに腹が立つようになってしまった。
意味ないやんけ!
いやいやいや、高畑勲監督作品ということでその表現力には感服しきりだったんでそういう満足度はありました。とくに、節子!あの動きは凄い!実在の子どもよりも子どもっぽい、は言い過ぎ? 宮崎駿御大とのアニメーター争奪バトルもあったと聞きますし、相当なスタッフがいたんだろうと思いますが、監督の手腕なければそれも生きないでしょうし、もうブラボー!!
公開当時に同時上映のとなりのトトロを期待して行った人たちが軒並み火垂るの墓に涙した、という伝説があるように、傑作ではあるのですが、単なる反戦映画のように扱われることには残念です。
今年の夏もまた、腹が立つんだろうなぁ。