BEST GUYのレビュー・感想・評価
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日本版『トップガン』
航空自衛隊のヤンチャなパイロット(織田裕二)が愛とか青春とか色々あって空自最強を目指すが…
『トップガン』を意識しているようだが、見所は自衛隊協力による実物戦闘機や施設の映像だけ。
ドラマのリアリティレベルは『あぶない刑事』、特撮は『宇宙刑事』並で映画作品としては特に褒めるとこはない。
初っ端、身分証明書を紛失して基地に入れてもらえない織田裕二が素手で有刺鉄線の柵を乗り越えて不法侵入した時点で「これはダメな映画だ」と思った。(しかも後でヒロインも同じ行為をする)
あと、千歳基地の周辺に外国人も集まるオシャレな酒場があるとかホントかな?
黒歴史だなんて、とんでもない! 「ベストガイ ゴクウ」をIMAX で製作して欲しいくらいです!
軍事マニアです
トップガンマーベリックの度肝を抜く映像を観て、本作を観たくなりました
どうも本作は評価が低くて黒歴史的扱いをされているようです
とんでもない!
もったいない限りです
凄い映像が撮れています
1986年の本家「トップガン」にそう引けをとらないレベルの美しく迫力のある戦闘機の空中映像を堪能できます
撮影は阪本善尚
凄いです
もちろん本作は、その「トップガン」のチルドレン映画です
世界的な大ヒット映画なら世界中で、同じような映画が撮られるのは当たり前です
ラブロマンスものやサスペンスものなら、ちょっと気付かないで観て、これおもしろい!と感激したあとでよく考えると「あれと同じじゃん!」なんてこと誰だって経験あると思います
本作だって同じです
ところが、世界中を見渡して「トップガン」のそれをやってのけた作品が他にありますか?
どこにそんなことできる国がありますか?
本作はそれなのです
そんな凄いことをやってのけた作品なのです
近いのは、フランスの2005年の映画「ナイト・オブ・ザ・スカイ」くらいでしょう
「TAXi」のジェラール・ピレス監督の作品です
大変素晴らしい映像のオンパレードです
それの戦闘機は、フランス映画なのでミラージュ2000というフランスの戦闘機です
「トップガン」の戦闘機は米海軍の当時の主力戦闘機F-14 トムキャットです
本作の戦闘機はF-15 イーグルです
これは米空軍の主力戦闘機で、日本の航空自衛隊には1980年に導入が始まっています
トムキャットとイーグルは、戦闘機界では世界的なスーパースターです
車で例えればフェラーリとポルシェみたいな憧れの戦闘機
でもあまりに高額で数を揃えられないので、殆どの国はそこそこ高性能で価格がお安いF-16 ファルコンを選択したのです
ミラージュはそれよりさらにお得ですよって戦闘機の位置付けです
日本の航空自衛隊は、そんなイーグルを200機も揃えて、しかもライセンス生産といって国内で生産したのです
そんな国は日本しかありません
つまり「トップガン」みたいな映画を撮りたくても、米国を除けば日本でしか撮れないのです
ですから、トム・クルーズ並みの世界的スーパースターを主演に迎えたような映画であるとお思い下さい
それをやったのが本作と言うわけです
主役が戦闘機ですから、自ずとストーリー展開は限られてしまいます
自由度があまりない訳です
しかも、観客は「トップガン」みたいなものを求めているのですから、オマージュぽいシーンをちりばめないと満足してくれません
といってまるまるやるとパクリと言われるし、下手すると盗作だ、法外な権利料を払えなんて訴えられかねないのです
なので、本作はそんな制約のなかで上手くまとめてあると思います
村川透監督は「トップガン」とは比べものにならないような低予算でよく頑張ったと思います
舞台は北海道の千歳基地です
1990年の公開ですから、バブルの最高潮の時代です
バーもあんなアメリカンなお店も都内や大阪には数多く有りました
千歳基地の近くにもあってもそうおかしくないと思います
お話は世界中の戦闘機乗りの憧れのイーグルに日本の戦闘機パイロットは乗って、猛訓練を毎日繰り広げていたという物語です
それだけで、日本を侵略するのは無理っぽいという十分な抑止力になっていると思いました
各国の戦闘機パイロットの腕前は、やはり訓練の量に比例すると言います
つまり年間の平均総飛行時間に直結します
空自の戦闘機パイロットは150時間程度だそうです
米空軍は200時間だそうです
近年のロシアは15時間、北朝鮮は20時間だそうなので、それでは飛ぶのが精一杯でしょう
中国は180時間、韓国は130時間と聞きます
中国の飛行時間をみると侮れないものがあります
本作公開は1990年、ソ連崩壊の1年前でした
当時はそんな事は誰も予想もできず、ソ連がいつ侵攻してくるか、劇中のようなスクランブル発進がいつ本物の戦争になるかわからない時代であったのです
千歳基地は北海道ですから、最前線の基地であったわけです
日本の最前線だけでなく、世界規模の冷戦の最前線であったのです
ちょうど「トップガン」が公開された年の次の夏の1987年のことだったと思います
今のように綺麗になる前の昔の千歳空港で2機のイーグルがすぐ目の前の凄い低空をそれも背中を垂直にたてて飛び去っていったのを目撃したことを思い出します
今から思うとあれはなんだったんでしょう?
今は、沖縄の那覇基地が最前線に変わって毎日のようにスクランブル発進の日々が続いているそうです
本作公開の2年後くらいに那覇空港でもイーグルを見かけました
夕暮れ時の薄暗い中、羽田向かうジャンボ機が滑走路手前で止まりました
何かと窓を覗くと、2機のイーグルが赤いアフターバナーの尾を曳いてスクランブル発進していったのです
2022年の夏
中国は台湾を取り囲んで実弾訓練を繰り広げています
自衛隊のイーグルがスクランブル発進していくニュースもありました
有事は当時よりももっと近くに来ているようです
F-15 イーグルは初飛行が1972年の夏です
今年が、ちょうど50年目で米国では記念式典が7月にあったそうです
それから幾多もの実戦にイーグルは数え切れないほど出撃してきましたが、実戦でただの1機も撃墜されていません
それほどの名機です
無敵なのです
とはいえ自衛隊も導入して42年経っています
流石に古くなってきました
色々とアップグレードしてあるのでまだまだ戦えると思います
しかし全体の半数ほどの100機は初期に導入した機体なので古過ぎて、近代化改修するにも全部ばらして改造する費用が係りすぎ、それなら新型のステルス戦闘機のF-35 を増やした方が良いとなったようです
機体寿命もそろそろです
防衛省は英国と共同で新型ステルス戦闘機を開発するそうです
それがイーグルの後継機になるのです
本作の空中機動のシーンは秀逸です
「トップガン」を上回っている映像が多数あります
そんなアホな!というシーンは殆どなく軍事マニアも納得です
翼端から白いスモークのようなものを引いてイーグルが飛び交いますが、あれはブルーインパルスみたいに格好いいからとかの演出ではありません
主翼が大気を猛速度で切り裂いて低圧になったから、大気中に含まれる水蒸気があのように飛行機雲をひくのです
専門用語ではベイパーといいます
ソ連の爆撃機Tu-16バジャーは動きが殆ど無いので合成のチープさは少ないのですが、空中戦をするスホーイSu-27 は模型を合成しているのでチープ感があります
しかしこの模型は、キチンと実機のフォルムや迷彩塗装などを再建してあり、なんだよこれは、トホホというものではなく軍事マニアとしてはまあ仕方ないかと許せるものでした
本作は「ゴジラ対ビオランテ」の1年後の公開作品です
まだCG もデジタル合成の技術がなかった時代ですから、あれでも頑張った方なのです
トップガンみたいに、別の機種の戦闘機を敵役にして出しても良かったかも知れません
でも特撮がチープでも、ソ連の国籍を示す赤い星をつけて、本物と同じ機種で映像の中に登場させたのは相当に気合いをいれたのだろうと思います
ヘッドアップディスプレイという、パイロットの目の前にあるガラス板に投影される各種の電影表示も、本物かそれを上手く再現してあり、興ざめするようなものではありません
本作ではミサイルの発射シーンはありません
空中戦の訓練シーンは勿論模擬戦ですから、レーダーをロックオンするだけです
ロックオンするとミサイルを発射すればほぼ確実に命中するというわけです
終盤にあるソ連の戦闘機との空中戦もロックオンするだけで終わります
相手の戦闘機はスホーイSu-27
ソ連のイーグルに相当する戦闘機で、今もロシア空軍の主力戦闘機としてウクライナの戦争でも多数出撃しています
空中では航空の世界は全部英語です
台詞は観客がわかりやすいように日本語を一部交えますが、雰囲気は十分に残してあります
よく聞こえてくる「タリホー!」とは、「敵機を視認!」という意味です
「エンゲージ」とは「我、交戦中」と言う意味です
実戦ならロックオンしたら、ミサイルを発射します
そのときは「フォックス ツー」とコールします
これが近距離用赤外線誘導ミサイルを発射したという意味になります
本作ではロックオンまでなのでこの台詞はありません
劇中で、タックネームというコードネームでパイロットがお互いに呼び合いますがこれも実際のことです
「トップガン」の真似ではありません
あと、戦闘機パイロットが濃いサングラスを掛けているのも、「トップガン」の真似ではありません
空中も滑走路も太陽光は恐ろしく強くてあれでないと眩しくて目が利かなくなるのです
民間の旅客機のパイロットもしている空の必需品です
本作では戦闘機パイロットだけでなく、基地の整備士も描かれています
小林昭二が演じた整備士長は、オヤッサンに相応しい役でした
日本のイーグルは、殆どがライセンス生産といって、設計は米国でも製造組み立ては日本国内生産なのです
部品が豊富に手近にあること、製造しているからどうしてこうするのかが、わかっていること
そして整備士の技量の高さから、航空自衛隊の戦闘機の稼働率は世界でもトップクラスなのです
ロシアなどはこれがデタラメで数が多くても実際に作戦行動できるのはずっと少ないことがウクライナ戦争で明らかになっています
つまり機体の整備でもトップガンが必要なのです
本作はそこまで目が行っているのです
最後に、本作で重要なモチーフになる
「バーティゴ」空間識失調
これは本当にある話です
2019年4月9日、青森県三沢基地の最新鋭のステルス戦闘機F-35 が太平洋に墜落しました
墜落機はF-35 の日本で組み立てた初号機だったのでいろいろな憶測が飛び交いましたが、事故原因の結論はこれでした
殉職されたパイロットは40代の3等空佐なのでベテランです
本作で言えば、古尾谷雅人が演じたゾンビに当たるような方だと思います
そして、今年2022年1月31日
石川県小松基地で、F-15DJ というイーグルの復座仕様機が離陸直後に日本海に墜落した原因もこれでした
殉職されたパイロットは前席が、50代の飛行隊司令1等空佐、後席が30代の1等空尉でした
この部隊はアグレッサー部隊と呼ばれる仮想敵役になって各地の基地の戦闘機パイロットを鍛える部隊です
正に本作で黒沢年男が演じた隊長と、イマジンみたいな若手だったのです
ゴクウが実在の自衛隊戦闘機パイロットなら、今頃はこのアグレッサー部隊の司令にきっとなっていたことでしょう
ご冥福をお祈り致します
黒歴史だなんて、とんでもない!
「ベストガイ ゴクウ」をIMAX で製作して欲しいくらいです!
劇場内みな泣いた
TOP GUN (米 1986) → BEST GUY (日 1990)…
観る前から覚悟していてたはいえ、正直しょぼさに泣いた。
映像、内容、どう贔屓しても☆2.0〜2.5/5.0位の映画だが、逆に言えば気鋭の織田裕二と空自の協力で悲惨な中身でもその程度には評価できた。実は“マトモな”空撮・基地シーンは結構すき。
もしこれが完全独自企画の邦画だったら寧ろもっと高く評点付けできたかもしれないが、なまじTOP GUN日本版として売り込んだから両方観た者には余計酷さばかり目立った。
まあでもTOP GUNに先んじて作っても、「スターウォーズ」が日本封切りされる前に急いで作った日本映画渾身かつ壮大な駄作「宇宙からのメッセージ」みたくなったかもしれないが。
2022年「TOP GUN: MAVERICK」大ヒット!
なのでもうこの際開き直って、
「BEST GUY: GOKU」制作決定!防衛省・航空自衛隊・在日米軍海兵隊全面協力!!をお願いしたい。
中身はどうでも良いが、搭乗機F-2で不審船撃沈、そのあとイーグルに乗ってJ-20撃墜、最後は霞ヶ浦で自機の零戦に彼女と乗ってフィナーレかな。ヒロインは… 沢口靖子とか?個人的には深田恭子にて。
どうせなら売れる作品にしたいなら、映画会社が三顧の礼をもって「シン・ベストガヰ」作ってもらったら良い。
”和製トップガン”は自衛隊実機の迫力と70年代青春ドラマ風脚本で観客のテンションも乱高下...
日本映画が『トップガン』をやろうとした、その意欲だけで60点はあげてもいいじゃないか!
・・・たとえせっかくの航空自衛隊実機の空撮がビデオ合成で台無しになってても。
・・・たとえストーリーが梶原一騎先生原作のスポコン青春漫画みたいだったとしても。
そしてトレンディドラマで人気が爆発して誰もが知る”オダユージ”になる前の織田裕二さんのふぉるもグラフィーとしても貴重であり、サングラスにしかめっ面のダンディーな古尾谷雅人さんと高コントラストの包容力ある黒沢年男さん、ええやんか。
ヒロインは財前直見さんだし、東幹久さんも出てるので、「お金がない!」の前哨戦としてもニヤニヤ。(・∀・)
織田裕二さんの汚点?
トップガンとは何が違うのか、すげーチープな作り。
織田裕二さんが気の毒になるくらい。
空自もかなり頑張ったのだとは思うけど、
お金を賭ける量が違うのか、賭ける質なのか?
イーグルがバーンっと映っているときは
良いのだが、それ以外は厳しかったなぁ。
日本で『トップガン』、作れません!
航空自衛隊の精鋭パイロット“BEST GUY”を目指す若者たちの成長、挫折、恋を描いた、ハイその通り、日本で作ってみました『トップガン』。1990年の作品。
まあそれにしても、何から何まで『トップガン』。
頑張って真似たようなカッコいい映像や編集、雰囲気や音楽。
無鉄砲だが訳アリの主人公。サングラスに革ジャンに白Tシャツにジーンズというスタイルまで。
そんな主人公とヒロインが出会うのはとても日本とは思えないようなバーで、お互い身分を明かさず。
上官との対立。ライバルの存在。“BEST GUY”だった兄の死の真相。
スランプに陥り、それを乗り越え、再起。ヒロインとも結ばれる。
よくぞここまでパクり…いやいや、日本版として作ったもんだ。
ここまで惜し気もなくやったら、寧ろ天晴れ!…という気にさえなってくる。
と言うか、あちらに怒られなかったのかな…?
モノホンのF-15自体はメチャクチャカッコよく、実写や特撮を駆使したドッグファイトもそれなりに迫力アリ。
でも時々、特撮や合成がお粗末だったり…。
織田裕二と財前直見のカップリングはトレンディドラマ風。
さすがに織田クンにトムクルは厳しかった…。
日本版『トップガン』を作ろう!…という頑張りや意気込みは認めるけど、残念ながらあちらに何もかも遠く及ばない劣化版…。
今年は34年ぶりに『トップガン』がFlying!
それに便乗してこちらもまた…なんてね。
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