「スピルバーグの対極作品」ブルークリスマス odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
スピルバーグの対極作品
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キャスト、スタッフとも超一流どころを連ねているが人間の奥底にある闇、悲惨な人類史のトラウマからか、とんでもないメッセージ性を込めた壮大な悲劇を創ってしまいました。
倉本聡さんの世界観はスピルバーグが「未知との遭遇」を創っていたのと真反対のペシミズムに満ちている、UFOの怪光線で血液が変色、青い血の人間が出現したら国家はどう対応するかが焦点、ゾンビ化や怪物化する宇宙戦争はお馴染みだが本作ではかえって優しさを増すだけの真人間という設定、それでも疑心暗鬼が生み出したのはナチスもどきの悪魔の所業だったという怖いフィクション。
解説にある通り特撮に秀でた東宝なのに一切なしの未知との遭遇。岡本演出も往年のハリウッド映画の手法を踏襲、時の流れを日めくりカレンダーや時計台で表したり、移動は地図上を飛行機が移動(昔は蒸気機関車が多かった)など懐かしい。
前半は公共放送局が舞台、丁度、倉本さんがNHKと喧嘩別れをした時期だから色々と邪推してしまう生々しさ、岡本さんも軍人ものが十八番だが今回はSFなのでナンセンスの類と踏んだのだろう、お約束のグロとエロも加味してネチネチと撮っていましたね。
意欲作であることは間違いないが人間不信の最たる産物、国家権力は愛をも踏みにじるという希望の見えない苦々しいプロットを延々2時間も見せられては息が詰まる。
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