「パターン青、使徒です!(笑)」ブルークリスマス 加藤プリンさんの映画レビュー(感想・評価)
パターン青、使徒です!(笑)
で、撃っちゃっていいのか、、という話なんですが。
姿形が人間じゃないのが使徒で、人間なのがこの映画なのですね。
40年前の昭和の日本を振り返って、若い人にも履修してほしい、社会派SFですね。
亡くなられた俳優も大勢、昭和の名優たちの若き日の姿も懐かしく、
演技も演出もマトモでちゃんとしているため、ずっと観ていられる、
(当たり前のことなんだけどね、その当たり前がもうなかなか観られないのですよ、悲しい)
目の離せないスリリングな展開、画も演出も、全カットかっこいい!(凄いことですよ) という
凄まじい映画力に満ち溢れています。
台本もいいですよね。SF作品の粗を探したり、細かいツッコミは野暮ですからね。
どっぷりと、このダークでシニカルな作品世界に浸かりましょう。
これを超える作品はまだ出てきていないと思えるほど、唯一無二の作品だと思います。
40年後の目の肥えたはずの人間が観ても、満足できる映画があるという事は素晴らしいですよね。
(ここから映画評から逸れますが)
そこに描かれている社会も、街並みも、人間も、若者も、犯罪も、政治も、芸能も、群衆も、
驚くほど、なにも変わっていない事に驚かされます。
人間のやることが、たった40年で変わらないのだと再認識すると同時に、
こういう社会通俗的なテーマを普遍的といい、古びない名作映画という評価になるのでしょうが、
古代文明の壁画かなにかに「最近の若者ときたら・・」と当時の愚痴が刻まれているように
おそらく、人類は数千年、ほとんど進化していないのでしょう。
タイムマシンでどの時代を見に行っても、そんなに変わらない社会があって、人間模様があって、
あと数千万年も経たないと、何も変わらないのでしょう。
ただ、そろそろAIが追いつきつつあるみたいで、
チェスや将棋で勝った負けた言ってるうちに、絵画や音楽ができるようになったらしく、
この流れの先に、
映画も、テレビも、ラジオも、YouTubeも、小説も、スポーツも、ありとあらゆる娯楽は、
人間が作ったものよりも、遥かに面白いものが無限に量産されるようになり、
人々は狂ったようにその動画を3Dで延々と夢見続けるうち、一生を終えるようになるのでしょうね。
(阿片に溺れるよりは、健康的でしょうかね)
AIの作るものは、今はソースは人間ですが、
やがて、人間の発想しえないレベルのものが生み出され、
人間はもう、そのクオリティでないと満足できなくなると思います。
幼き頃、
単純作業は機械が、クリエイティブなことは人間が、、と未来予想図で描かれましたが、
現実は、おそらく逆ですね。
クリエイティブなものはAIが、機械にやらせるには経費が掛かりすぎて、
コスパの悪い汚れ作業を、人間が担当するようになるのでしょう。適材適所ですね。
ただ、それが不幸なディストピアかというと、決してそうではなくて、
世界は神に代わり、凄まじく優秀なAIが支配してくれて、
国家は取っ払われ、貨幣もなくなり、過不足なく、幸福に生きられるだけのものが提供される、
金も土地も水も富も資源もエネルギーも奪い合うことなく、
地球を食いつぶすこともない、持続可能な平和な世界が、
人間同士が、ああだこうだ言ったり言われたりしながら統治するより、
遥かにマシで、幸福な世界が訪れることを願います。