劇場公開日 1960年10月19日

「おやかたさま・・・」笛吹川 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0おやかたさま・・・

2020年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 白黒映像をベースに空の青、土の茶など、部分的に色をつけた風変わりなフィルム。その他にも赤や青などの原色で染められたパートカラーの効果はかなり実験的。

 おとう半平の息子にあたる半蔵は手柄を立てるが、やがて戦死。半平の娘ミツの息子定平も「おまんは大きくなっても戦に行くな」という祖父の口癖の甲斐なく戦に行く。村中の若者が全て戦死するが、代が替わっても皆戦争だ。おじいの生まれ変わりと言われた女の恨みによって信玄が病死したと噂もされた。

 延々と続く戦。誰が誰の息子で・・・などと考えるのが面倒になるくらい戦は続く。お屋形様に先祖代々お世話になっている主張する惣蔵と、最後の合戦で「うらみを果たしたぞ」という台詞。長く戦い続ける愚かさと、犠牲になるのはいつも一般庶民であること、そして木下監督らしい反戦メッセージがぐさりと胸を突き刺してくる・・・

kossy