劇場公開日 1968年9月14日

緋牡丹博徒のレビュー・感想・評価

全11件を表示

3.0様式美

2025年6月8日
PCから投稿

1958年(昭和33年)をピークに映画の観客動員数は右肩下がり、1970年にはピーク時の約1/5にまで落ち込み、日本映画界は斜陽産業化しました。

1968年(昭和43年)、日本は国民総生産(GNP)が西ドイツを抜き、アメリカに次いで世界2位になり、ベトナム戦争は激化し、東大では紛争が勃発し、テレビの普及が進みました。

当時のサラリーマンたちは胸の奥にくすぶる敗戦の痛みを抱えながら、利潤第一主義の会社にこき使われ、日々理不尽に耐えつつ仕事に精を出し、さらに家庭に縛られ自由はありませんでした。

そんな映画産業とサラリーマンたちの苦境を救うために現れたのが、緋牡丹お竜こと藤純子です。変な熊本弁を操る美しきヒロインの誕生です。お竜の口上に始まりお竜の口上に終わる本作のスタイリッシュな演出も見事。

時は明治中頃。日清日露と戦勝の余韻に浸る日本。まだ敗戦の痛みを知らない幸福な時代設定です。役柄は女博徒。賭場の真ん中で、むさ苦しく小汚いおっさんたちに囲まれたお竜の姿は神々しいばかり。彼女の生きる博徒の世界は、しきたりや作法に厳しい世界です。賭場のシーンには本物のヤクザがまじり、作法指導を行っていたそうです。仁義の切り方一つで人品骨柄、経験値まで判断されます。彼らの価値観は「子は親に絶対服従」「なにしろ義理人情」「仁義第一」。和装、蛇の目傘、火鉢など、画面の中の情緒あふれる生活風俗も含め、戦後民主主義社会が捨ててきたものばかりです。映画のラスト、お竜は多勢に無勢で殴り込みをかけ、利潤第一主義の悪徳一家を壊滅させます。緋牡丹博徒シリーズには戦後社会であえぐサラリーマンたちの夢が詰まっています。そして寅次郎にも言えることですが、お竜も家庭を持つことが許されず、シリーズの最終作まで流浪の生活を強いられます。民衆の夢を背負わされた者たちの宿命でした。

本作公開時の藤純子は弱冠23歳ですが、助演の高倉健や若山富三郎、待田京介、清川虹子らを従え堂々の女博徒ぶりを披露します。1963年、18歳で映画デビューを果たし、それから6年間で55本の映画に出演、56本目の出演作が本作です。

でも、確立された様式美の世界はやがてマンネリを生み、そこから様式美をぶち壊すパワーを持った「仁義なき戦い」が誕生します。

【年表】
終戦直後の昭和20年12月、大阪からの疎開先である和歌山で産まれる。本名、俊藤純子。父は後の東映任侠映画のプロデューサー、俊藤浩滋。

昭和37年(1962)、17歳、高校2年生。よみうりテレビ歌謡番組のカバーガールを務める。当時は大阪の芸能プロダクションに所属。

昭和38年(1963)、18歳。父の勤務先である東映京都撮影所に行った際に映画監督マキノ雅弘にスカウトされ、藤純子と芸名をもらい、「八州遊侠伝 男の盃」で映画デビュー。マキノ雅弘は藤純子を自宅に住まわせ、女優のイロハを一から叩き込んだ。

昭和39年(1964)。岡田茂が東映京都所長に就任、人気が低迷していた時代劇制作をやめ、俊藤浩滋とのプロデューサーコンビによる任侠路線映画(鶴田浩二「博徒シリーズ」、高倉健「日本侠客伝シリーズ」)制作を開始する。

昭和42年(1967)、22歳。出演55本目の『尼寺㊙物語』で映画初主演。

昭和43年(1968)、23歳。「緋牡丹博徒」の主役に抜擢。

昭和47年(1972)、27歳。『純子引退記念映画 関東緋桜一家』で監督マキノ雅弘、主演の藤純子が映画界を引退。

昭和48年(1973)。『仁義なき戦い』が大ヒット。任侠映画は終焉を迎える。

【語録】
岡田茂:「不良性感度の強いもの、濃いいもんを作って欲しいんや。テレビの中に絶対出てこんもんや。博打場、鉄火場、いつもドスを懐に忍ばせているような世界や」

俊藤浩滋:「やれいうんなら、ほんなもんすぐでけるで。責任は取らへんど」

マキノ雅弘:「俊藤の牛耳り方があまり感心できなかった。プロデューサーの範囲を越えて、企業家みたいな気になっちゃったんだな。金を出すのは会社なのに、人のフンドシで小遣いやって『兄弟の盃しよう』とか『お前、俺の若い者になれ』というやり方だからね。俊藤より前にいた奴がみんな子分みたいになっちゃって、他のプロデューサーもみんなあいつに頭が上がらなくなったんだ。しまいには『今度はマキノを使おうか』てなもんでしたな。プロデューサーが監督より偉いなんてことないのに、あいつはそう思い込んじゃった。やくざ映画ブームをつくったといっても、殺されたら仇討ちに行くという同じパターンのものばかりだ。『忠臣蔵』の小物みたいなものしか作ってなくて、題名が違っていただけだから。やくざの世界を勧善懲悪に置き換えたという点が新しかっただけでしょ。ワシらでさえ撮って行き詰ったんだから。マンネリになったらおしまいだということを知らなかったんじゃないかな。同じ方向を向いてた岡田茂とも、やくざ映画が下火のころには意見が合わなくなって、岡田が社長になるとき俊藤は対立する立場だった。岡田にしても東映でポルノを始めた元祖だからね。ハッキリいえば二人とも、映画人としてはゲテモノなんです」

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jin-inu

3.5やはり高倉健はカッコイイ

2025年4月16日
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鑑賞方法:VOD

興奮

驚く

ドキドキ

YouTube 東映シアターオンラインにて鑑賞

ネタバレになるから書かないけど、ラストシーンのセリフにはキュンとしました。
やはり、高倉健さんはカッコイイ。

映倫番号 15469

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七色姫

3.0愛らしくてずっと観ていたい藤純子さわ

2025年3月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

カワイイ

兎に角、22歳の藤純子さんが可愛いらしい。
愛らしくて、ずっと観ていたいですね。

高倉健さんは、かなり良い客演で、私の中の健さんの役のイメージは、この映画が一番近いかな。
清川虹子さんは、きっぷがいい女博徒親分で格好良かったです。

お話しの内容はありきたりで、それほど大した映画ではないと私は思うのだけれど、藤純子さんと高倉健さん以外の役者は、かなりコミカルな演技で、それも楽しめました。

昔の善き映画です。

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ねこたま

4.0高倉健をみにいきました

2025年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

最近は高倉健が来ていると聞いたので、リバイバル上映を見に行きました。

特別出演でしたが、重要な役柄で高倉健の魅力を堪能できました。

昭和のお正月映画みたいな感じでスターそろい踏み。

富司純子は美しく、高倉健は男前。

ストーリーは単純で明解。

難しいことは横においておいて、スターの魅力に酔いしれればいいのである。

なんでも、迷ったときは、自分の中の高倉健に尋ねるというのが、若い人の流行りだとか…?

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うさぎさん

3.0昭和臭がいっぱいの明治時代劇で高倉健が大活躍

2022年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

総合:55点 ( ストーリー:50点|キャスト:70点|演出:55点|ビジュアル:65点|音楽:60点 )

 昭和時代制作らしい単純な話と大袈裟な演出と台詞回しとやたらと場面場面で流れる音楽で、当時の価値観での格好の良い人物像が悪を倒す姿を描く娯楽任侠時代劇作品。明治時代を舞台にした任侠物だが、よくやっていた江戸時代のテレビ時代劇と雰囲気は似ている。

 こういう昭和中頃の雰囲気の作品が自分は特に好きでもないので、特にはまりもせず。主題歌の歌は主演の藤純子が歌っているらしいが、酷いので他の人に歌わせたほうが良い。格闘場面はやられ役が戦うことなくやられる順番を待つという昔ながらの殺陣。

 高倉健は冒頭の字幕で特別出演と書いてあったので一場面のほんの数分間ちょい役で出るだけだと思っていたら、主役を喰う大活躍でびっくりした。健さんはこういう昭和の雰囲気の中で本当に映える俳優とは思う。特に自分の知らない若いころの高倉健なので余計に格好いい。もし高倉健が出ていなければけっこうつまらない作品だった。

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Cape God

3.5とにかく、藤 純子さんがきれいです。

2022年12月10日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

とにかく、藤 純子さんがきれいです。

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カネナカ

3.0熊虎親分がんばって!

2021年8月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2021年8月9日
映画 #緋牡丹博徒 (1968年)鑑賞

#藤純子 主演のヒットシリーズの第一作

藤純子の父親は映画のプロデューサーの #俊藤浩滋 と言って、もともとはその世界の方で、その経験からか東映の任侠映画に関わった。

藤さんの主演ですが、1番いい場面は #高倉健 さんがもっていった感じですね。

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とし

3.0冒頭とラストの口上に様式美を感じる。ただし寅さんを思い出してニヤリ...

2021年2月18日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

冒頭とラストの口上に様式美を感じる。ただし寅さんを思い出してニヤリとも。
藤純子昼のワイドショー司会からしか知らないから新鮮かつ美しくも凛々しい。
大河ドラマいだてん以来、久々に聞いた、とつきゃむねえ、ばってん。
道後の人がもっと伊予弁喋ってほしかった。

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桑畑五十郎

4.0久しぶりにシビれる映画

2020年6月10日
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一作目は初めて見た。
主題歌も知ってるし貫禄が出てからのシリーズは見たことがある。
オールスターキャストに混じっての初々しいお竜さん良かった。
しかし、しかし、高倉建である。
綺麗で純粋さすら感じる眼の奥から悲哀を滲ませる。立ち居振る舞いという言葉を体現する存在感。痺れました。

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HigeKobo

3.5藤純子がすべて

2020年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

九州の矢野組の娘、竜子(藤純子)は父を殺され、犯人を捜す旅に出る。
途中、旅の博徒、片桐(高倉健)と知り合う。
そして大阪に犯人はいたが、片桐の弟分だった。
藤純子の凛々しさがすべてで、高倉健とのロマンスは控えめだ。

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いやよセブン

3.5こんなシリーズがあったんですね。全然知りませんでした。冒頭の博打が...

2020年5月26日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

こんなシリーズがあったんですね。全然知りませんでした。冒頭の博打が何やってるかさっぱりわからん(笑)指、痛い!
藤純子の女ヤクザ、カッコいい、可愛い。しかめ面はちとぎこちない(笑)
第1作の強力助っ人は我らが健さん。この健さんが最後は全てを持って行ってしまう。もはや健さん映画、主役が誰かわからなくなってしまう(笑)
しかしおかげで任侠映画全盛期に新たな女スター誕生。わたしゃ「ごくせん」の方が好きですが(笑)

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はむひろみ
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