緋牡丹盗賊

劇場公開日:

解説

角田喜久雄の原作を、「鞍馬天狗 大江戸異変」の竹井諒が企画し「海峡の鮫」の平尾善夫が製作に当っている。監督は「海峡の鮫」の安達伸生で、脚本は、「妻恋坂の決闘」の八尋不二が書いている。主な出演者は、「虚無僧屋敷」の嵐寛寿郎に、「鞍馬天狗 大江戸異変」で寛壽郎と共演の沢村晶子が再び出演「鬼あざみ」の本間謙太郎、「細雪(1950)」の花井蘭子などである。

1950年製作/81分/日本
配給:大映
劇場公開日:1950年12月9日

ストーリー

徳川五代将軍綱吉は世に犬公方と呼ばれ、犬を可愛がる余り、人間を犬よりも軽く見るような悪法を発令して良民を苦しめていたが、その頃江戸に緋牡丹盗賊という人物が現われ、この悪法に反抗して人々の人気を得ていた。浅草寺の鐘つき仁平の娘お柳は、流行の世阿彌人形のモデルにされた評判の小町娘だったが、ある夕暮鐘つき堂から、一人の男が黒頭巾の一団に殺されるのを目撃した。そしてその殺された男がその前に傍の井戸へ投げ込んだ包みを拾い上げてみると、それは油紙に包んだ一通の手紙であった。緋牡丹盗賊の佐太郎はこの手紙をお柳から手に入れようとするが、それは八丁堀同心前島彌五郎に妨げられ、彌五郎の弟数馬は、色仕掛けでお柳からその手紙を奪おうとして、将軍の落乱と言われるお京様に妨げられる。お柳の父仁平は、佐太郎をおびき寄せる囮として彌五郎に捕えられ、佐太郎の手で逃されるがついに黒頭巾の頭目犬川に殺された。彼の最後の言葉で、佐太郎が、犬川のため家を潰された緋牡丹屋佐兵衛の遺児であることがわかるが、その後に言おうとした言葉が謎となって残った。しかしやがてその謎が解かれる日が来た。佐兵衛の妻お波は犬川の詭計で無理に将軍家の寵愛を得させられ、その後逃げ出して、産んだ子供をもとの番頭仁平に托して死んだ。犬川は自分の落度を隠すため、門付けの子供を奪って将軍の前を取り繕った。そのため、お柳が実は落乱であり、お京は門付けの子供であったことが判明、その証拠となる手紙をめぐって、多数の人々がこのように傷つけ合っていたのであった。旧悪を暴露された犬川、将軍の落乱から一町娘に転落したお京。しかし傷心のお京を慰めてくれるのは、佐太郎の愛のささやきだった。

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