火の鳥(1978)のレビュー・感想・評価
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0160 ミシュルルグランなぜ?
1978年公開 黎明編(と未来編しかじっくり読んでいないが)は 好きなエピソード。 そこに手塚治虫のアニメックスを投入して市川崑が演出する。 出演者はまあ、超オールスター というごった煮作品。 若山富三郎はよかったなあ。 大原麗子、由美かおるもイイ! 田中健を最後だけに使うなどまあ贅沢。 しかしギャグは浮いてしまうので要らんし。 原作のスケールはあまりにも壮大でワタシとしては うまくはめたと思うが、この作品に市川崑は結構エネルギーを 費やしたみたいで「女王蜂」は相当な量を松林宗恵に押し付ける。 本作のテーマ曲より安室奈美恵の方が有名なのは悔しい。 70点
チャレンジ精神だけはリスペクトする。
原作シリーズは、私にとって人生の教科書と言っても、言い過ぎではない作品。勇気も、愚かさも、慈愛も 人間や世界のはかなさ・悠久さ etc すべてそこから学んだ。 だけど、映画は…。 役者はすごい。 尾美さん、主役デビュー作。キラキラ☆ デビューにして主役!!!というセンセーショナルな印象。 劇団ひまわり所属だったらしいけれど、失礼ながら一般的には有名ではなかったから。 キャストはこれでもかというほど、豪華絢爛。主役級の方がゴロゴロ。 どの方をエンドロールの最初にしても角が立ちそうなので、尾美さんを”主役”という事にしたんじゃと思いたくなるほど、すごい。 正直「誰が主役か?」と悩むほど、あの人もこの人も主役に見える脚本と演出で、かつ存在感がありまくりなので、周りに「食われた」感も無きにしも非ず。 元々原作が、”国の盛衰”をベースに、”火の鳥”を中心に、幾つもの筋が複雑に縒り合される壮大なドラマ。NHKの大河ドラマのように誰かにフューチャーした伝記物語ではなく、それぞれの登場人物・エピソードにそれぞれ重みづけがある作品。 そんな中でも、これだけの役者と同様、存在感を残す少年。やっぱりすごい役者だなあ。 最近もいろいろな場面でご活躍されている。でも、彼の繊細さを活かした主役としての作品も、また見たいなあ、なんて改めて思う。多分、私が見逃しているだけなんだと思うけれど。 映画自体は、原作をリスペクトしようとしたのが読み取れる。 ドラマパートは、登場人物の演技とか、人間の業・時代の残酷さ等、さすが。 でも、変なギャグアニメまで”真似”しなくったって。手塚作品で、ひょうたんつぎとか、シリアスな話の途中に挟み込まれる間は、手塚先生独特のコマ割りのなかでこそ活きるもの。元々、ギャグのテンポにそぐわない重厚な脚本・演技の中で、あれが活きると誰が考えたのだろうか? シリアスに演じるからこそギャグとして活きる演出もある(『おみおくりの作法』とか、サイモン・ペック氏やフランキー堺氏とかetc…)。でも、それは全体の間とか演出という基盤を伴っているからこそ笑えるのだ。とってつけの”ギャグ”ではない。 特撮だって、CGがない時代とは言え、世界に誇る怪獣物を世に送り出していた日本。もう少し、やりようがあったのではなかろうか。猪とか。 そして、原作のコマ・絵をそのまま表現しようとした、荒唐無稽なアクション。役者は頑張っているのだが…。 努力の方向性が違っているのでは? 本当だったら、帯ドラマでやらないと消化できない物語・テーマ。それを2時間の映画に収めようと言うのだから無理がある。 それでも、要所要所を要領よくまとめたなあと思う反面、だからこそ、もう少しどうにかならなかったのかと残念。 いくら大滝さんとか俳優陣が頑張っても、コシノさんの衣装もステキなんだけれど、学芸会に見えてしまう。 敬愛する手塚先生は漫画の神様。 映画を愛して、漫画のコマ割りに映画的な要素を取り入れた人。それで、漫画が単なる子どもの読み物・息抜き的な軽いものではなくて、人生を語りうるほどの芸術作品になったとまで、評される方。 なのに、なんでこうなる。 手塚先生自ら「アニメーション総指揮」って、あったけれど…。全部、市川監督に任せればよかったのに…。 主要な筋の脚本だけとか、演技だけとか、衣装だけとか、部分部分を見ると良い仕事している。 だのに、全体だと…。 目立つ部分に有名な方を集めて、良い仕事していただいて、普段フューチャーされないような部分を思いっきり手抜きして、反対に奇抜さ狙って、そこで力尽きちゃったような作品。 もったいない。 やっぱり映画って総合芸術。料理と同じで、賞レースにからまないような部分こそ丁寧に作らないと、よい作品にはならないんだなと改めて思う。 漫画のテーマに忠実に、命のはかなさ、命をつないでいく神秘を、人間の欲を絡めて、再編集してほしかった。
決して黒歴史の映画ではないと思います
巨匠、市川崑監督の1978年の作品 原作はいわずとしれた手塚治虫のライフワーク 彼の最高傑作だといういう人もいます 原作漫画は、1954年から1988年の34年に渡って様々な雑誌に断続的に連載さたものです 単行本としては角川文庫だと全13巻あります 1巻 黎明編 2巻 未来編 3巻 ヤマト・異形編 4巻 鳳凰編 5巻 復活・羽衣編 6巻 望郷編 7巻 乱世編(上) 8巻 乱世編(下) 9巻 宇宙・生命編 10巻 太陽編(上) 11巻 太陽編(中) 12巻 太陽編(下) 13巻 ギリシャ・ローマ編 未完のまま手塚治虫は1989年にお亡くなりになってしまいました 本作はその中の黎明編を実写で映画化されたものです 当初の構想は、本作に続いてアニメで宇宙編を制作するという計画だったそうです その計画は一度頓挫するものの、1980年に「火の鳥2772 愛のコスモゾーン」として完成しています 但しこれは原作漫画の映像化ではなく、手塚治虫自身が新しくこの作品の為に作った物語です 本作は、市川崑のキャリアの中では、黒歴史扱いされているようです 評価はとても低いものがあります しかし思い出してみて下さい 市川崑監督のキャリアの振り出しはアニメーター助手であったことを 本作には、手塚治虫の原作へのリスペクトが溢れています できるだけ原作漫画を実写で忠実に再現したいとの熱意が感じられます 大きく腫れ上がる鼻などはそうです しかしアニメとの融合シーンや生煮えのギャグシーンは確かに完成度が低いものです もっと時間が監督に与えられていたならまた違ったことになったと思います 市川崑監督はこの頃、1975年の「犬神家の一族」の大ヒットで横溝正史の金田一耕助シリーズの大作映画を連続して何本も撮っていたのです 本作は1978年8月12日の公開 1977年の8月27日公開の「獄門島」と、1978年2月11日の「女王蜂」に続いて制作されたのです そして、次の「病院坂の首縊りの家」は1979年5月26日公開だったのです こんなスケジュールでは、まともな映画なんて撮れるわけありません まして本作のようなスケールの大きい作品なのですから 市川崑監督自身、後年に見返して残念な出来の作品に思われたのも当然だと思います それでも、驚くようような迫力ある映像や、ハッとするようやカメラの構図も多々見られます 美術や衣装も良く練られ、経費もかけたものが多くありチープさはありません 手塚治虫という世界的に傑出した才能の作った普遍性のある物語です 21世紀になっても微塵も古臭さもなく、その卓越した内容は却って価値を高めて来ているほどです ハリウッドがコンテンツアイデアの枯渇に苦しんでいるのなら、「火の鳥」こそハリウッドが取り組むべきものだと思います 遥かなスケール観、スペクタクルな展開、貫く格調高いヒューマニズム ハリウッドにこそピッタリのコンテンツだと思います 本作はその為のショーケースになりうるものだと思います 市川崑監督は時間の無い中でも、本作に取り組んだのは、原作を全巻を映像化するための先鞭をつけたかったに違いありません 自分は最初の1作しか撮ることができずとも、あとはアニメになろうとも、それはいい このような世界に誇るコンテンツが日本にはあると言うことを、少しは国際的に知られるように名前が売れた自分が撮ることで世界に知らしめたい せめて日本の中だけでもアニメで全巻映像化がなされるように仕向けたい そういう願いであったのだと思います 劇場版「宇宙戦艦ヤマト」が公開されて空前のアニメブームが巻き起こるのは、本作のちょうど1年前の1977年8月のことでした そして日本のアニメはこの頃から全世界的に人気を博していったのです 「火の鳥」はなんとしても全巻映像化されなければならないと思います それが本作を貫くテーマであり、市川崑監督からのメッセージなのだと思います 決して黒歴史の映画ではないと思います この市川崑監督からのバトンを21世紀の私たちは受け取らねばならないと思います 是非映画関係者の皆様、アニメ関係者の皆様、何卒ご検討のほどお願いいたします
タイトルなし
人間の欲望とちっぽけだが尊い命をめぐる物語。メッセージ性があり原作へのリスペクトは感じられるが急に挟まれるコメディシーンやアニメの挿入が悪い意味で主張が激しく少し残念 ツッコミ所も多く異質な雰囲気を醸した映画だが「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」の様などこか憎めない珍作。 若山富三郎の猿田彦 草刈正雄の弓彦 風吹ジュンのオロ 仲代達矢のジンギなど役者陣が良かった。
市川昆の実験精神だけは誉めてあげたい映画。
①実写の中にアニメを取り入れるとかの手法はこれはこれで良いと思う(現代の映画では何ら目新しいものでは無くなって来ているし)。しかし、テーマがあまりにも広くて深いので上手く料理しないと、直ぐに焦げたり生煮えになったり不味くなり易い題材。残念ながらこの映画も成功したとは言えなかった。
数ある『火の鳥』映画化作品の中ではマシな方
市川崑監督作品の中でも珍品とも言われているが、「火の鳥」を全編アニメ化するよりは人間描写やメッセージが伝わってくる内容です。時折アニメ部分が挿入されますが、許容範囲内だし、それよりも女性陣の艶っぽさが男心をくすぐる。ヒナク役の大原麗子、ウズメ役の由美かおる、オロ役の風吹ジュン、そして熟女ファンならヒミコの高峰三枝子。人間の生と性なんてのもアニメとは違い、訴えてくるものがあった。 マツロの国、ヤマタイ国、クマソの国、そして騎馬民族の高天原族。平和である国が侵略戦争によって滅ぼされ、占いによって支配する暴君の封建的な世界と、復讐の連鎖による国家関係。原作にはかなり忠実だし、ファンならば違和感は感ずるものの良く練られていたと思う。 やっぱり市川崑作品のオープニングは明朝体のデカ文字。手塚プロもアニメパートで参加しているし、実写とアニメの融合という点では成功している。また、由美かおるの脱ぎ方は水戸黄門クラスで物足りないが、もっと見たいという方は『エスパイ』(1974)をご覧あれ!
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