必殺4 恨みはらしますのレビュー・感想・評価
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深作欣二監督こそは40年前に時代劇の持続可能性について取り組んだただ一人の監督だったのです
必殺4 恨みはらします
ショーグンのゴールデングローブ主演男優賞受賞で今をときめく真田広之さんの27歳の出演作品です
人気テレビシリーズの劇場版第4弾
時代劇の黄金期は1960年代でした
映画業界が斜陽化して真っ先に衰退したのは予算のかかる時代劇でした
映画業界を衰退に追いやったテレビは時代劇のテレビシリーズが人気コンテンツとなり、1970年代から1980年代にかけて盛んに製作されましたが次第にマンネリ化して色々と新見のある企画が求められ、また突飛な企画程人気がでました
それでも結局予算のかかる時代劇はテレビでも次第に作られなくなっていきいまや絶滅危惧コンテンツなのはご承知の通り
本作は1987年製作ということでバブル景気華やかりし時代に製されています
今日の目からみると随分と予算が潤沢にあったんだと感嘆するような映像が撮れています
かといって無駄に巨大セットを作ったとか、大勢のエキストラを動員したとかではなく、普通に作ってこの豪華さ!と感じられるのです
裏を返すと如何に現代の時代劇が経費削減されてしまっているのかが良くわかると思います
VFX の無い時代ですから全部セット美術です、照明効果だってそうです
この水準で時代劇を現代にこれからも製作していくためには、予算規模はさらに大きく膨らんでいくばかりでしょう
正直もう無理かもしれません
つまり時代劇のコンテンツとしての持続可能性は映画からテレビ、テレビから配信と市場規模の裾野の大きさのあるところにしかもう残されていないのは明らかで、その意味でもショーグンの成功は歴史の必然であったと思います
配信とショーグンの成功によって時代劇ファンの裾野は世界に拡大されましたが、
それだけでは時代劇に持続可能性があるとは言えません
本格時代劇が日本ですら衰退したように時代劇のファンは少ないのです
すなわち殺シリーズのように時代劇の楽しさをどのようにうちだすのかそれこそが今求められていることだと思いました
本作の監督は深作欣二監督です
代表作柳生一族の陰謀もまた、本格時代劇と現代的感覚のせめぎ合いで傑作となりました
本作は決して傑作とは言えませんが、しかし時代劇が持続可能性のあるコンテンツに成長する為のヒントがあるように思えました
深作欣二監督こそは40年前に時代劇の持続可能性について取り組んだただ一人の監督だったのです
深作ワールド
劇場版第4弾。
前回に引き続き飾り職人の秀が登場し、しれぇーと普通に仲間の中にいるが秀は当時のTVレギュラーではなくお玉との共演はこの1作のみ。
物語は、南町奉行所に女かと見紛うほどのけばけばしい男が新奉行として着任、そして主水が足蹴なく通っている飲み屋おふくがあるおけら長屋で起こった暴れ馬騒動に疑問を抱いた主水が…
深作ファミリーと呼ばれる千葉真一さんはじめJACのメンバー、岸田今日子さん、蟹江敬三さん、倍賞美津子さん、堤大二郎さん、室田日出男さん、そして前回に引き続き成田三樹夫さんなど豪華ゲスト。
中でも、終盤千葉真一さん演じる仕事人わらべ屋文七と蟹江敬三さん演じる九蔵が強風が吹きすさぶ中、半壊するおけら長屋で壮絶な戦いを繰り広げるシーン、
そして、真田広之さんが気持ち良さそうに演じる初の悪役ぶりが見応え十分。
旗本愚連隊
一見さんにオススメするならコレ
これぞ映画版という豪華な布陣。ゲスト仕事人に千葉真一、なんと悪役に...
クライマックスでの藤田の表情が見事でした。
悪逆非道の新任奉行に、仕事人が戦いを挑む物語。
テレビシリーズの面々に、千葉真一や真田広之が共演するアクション時代劇です。
真田広之の悪役ぶりが秀逸です。特にクライマックスの薙刀での殺陣は惚れ々々するものでした。また、それを驚愕の面持ちで見つめる藤田まことの表情も見事です。
邦画では冗長になり易い中盤も、主水のキャラクターとしての魅力もあり、それ程気にならず。楽しめるエンターテインメント作品でした。
ただ、ラストは遊びすぎ、インディージョーンズへのオマージュだったようですけど、あれをクライマックスでやってはダメでしょう。もしかすると、JACに気を使ったのでしょうか?「勿体ない」という言葉しか出てきませんでした。
ケレンは少なめ
深作仕事人…仁義なき敵に怒りの必殺!
必殺シリーズ劇場版第4作。
必殺シリーズテレビ放送15周年記念作品。
DVDで鑑賞。
必殺シリーズは、幼い頃から祖父母と一緒に再放送を観ていたせいか、好きな時代劇のひとつです。クライマックスに繰り広げられる多彩な仕事シーンに夢中でした。
劇場版があることを知ったのはつい最近で、俄然興味が湧きました。何作かある中から本作を真っ先に手に取りました。全く迷いませんでした。だって迷う要素が無い…
まず監督が深作欣二。これだけで面白さが保証されていると言っても全く過言では無い!―しかも深作組の常連がこぞって出演していると云う豪華さにもシビれました。
当時社会問題となっていた悪質な地上げを取り上げている点は、とても「必殺仕事人」らしいなぁ、と…。時事問題に切り込む姿勢は今も全く変わっていません…
おけら長屋を巡る陰謀劇と美しき新南町奉行・右京亮の秘密に迫るミステリーは結構陰惨でスリリングでしたが、テレビシリーズとあまり代わり映えせずな感でした。
しかしアクションシーンはジャパンアクションクラブが監修しているだけあって、テレビシリーズに比べて格段にダイナミックで、めちゃくちゃ迫力がありました。
千葉真一のアクションが一流なのはもちろんのこと(風の吹き荒ぶおけら長屋での決戦は手に汗握る壮絶さでした)、クライマックスの右京亮一味と主水たちの戦いもいつもと違った激しさで、主水の髪が乱れに乱れているのが印象的でした。
必殺らしさを失わずにスケールアップした本作のクォリティーはとても素晴らしく、これぞ劇場版と云う感じでした。
※追記(2022/07/20)
2回目の鑑賞を終えて―
右京亮ですが、劇場版シリーズでいちばん若い黒幕にして、最もやり口がエグいしえげつないしで鳥肌もの。動機には同情の余地があるにしても幼さが垣間見え、純粋故の残酷さを秘めているのが恐ろしい…。クライマックスの豹変ぶりも怖いのなんのって…。真田広之の演技が上手過ぎると思いました。
※鑑賞記録
2022/07/20:Blu-ray
※修正(2022/07/13)
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