美女放浪記
劇場公開日:1977年3月19日
解説
女性版“寅さん”をねらった、研ナオコ主演作で、現代の若者の潜在心理の中にある「自殺志願」というモチーフを明るく滑稽なものにして描く。脚本・監督は「やさぐれ刑事」の渡辺祐介、撮影は「北の宿から」の小杉正雄がそれぞれ担当。
1977年製作/93分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1977年3月19日
ストーリー
吹雪の東北地方。とある小さな駅に若い女が降り立った。そして、彼女は雪の中に穴を掘り、遺書を残し、そこに横たわった。女の名は生駒ひらめ。愛する男・熊坂純平との恋に破れ、死のうと決心していたのであった。しかしなんとそこには、先客がいて、彼女は自分の死を忘れ、男を蘇生させるのであった。男は、太郎といい、ガンと思い込んでの自殺未遂であった。太郎の家へ連れて行くと、命の恩人と家族からもてなしを受けるひらめ。しかし、ひらめが来たおかげで、太郎の家は日常生活が混乱し、ひらめはこの家を出て行くことにする。一方、東京のひらめの自宅では、母一人が心配し、姉妹達はいっこうにその気配がない。そして、母・むつと自然和尚、老板前の仁吉が相談。純平は驚き、ひらめを探し出すため、旅へ出る。ひらめはその頃、地酒の造りの屋で、自殺の事や純平の事も忘れてしまったように働いていた。そして、そこの一人息子・正一に胸をときめかしていた。しかし、正一は大の女嫌い。正介老人というこの家の主人にひらめは求婚され、がっくり。またまた、自殺の決心をし、酒蔵の樽の中へとび込む。しかし、樽がこわれ、彼女は自殺の機会を失ってしまう。ひらめを追っている純平は、仲々見つからず、がっかりして、とある古い宿へとまった。純平とひらめの女友達がその夜、しょげている彼をはげますためにドンチャン騒ぎを始める。偶然、その宿にいたひらめは、今度こそはほんとうに死のうと最後の遺書を書いていたが、純平達の騒ぎのため、仲々筆が進まず、女中に言って、騒ぎを中止するようにたのむ。そして、純平とひらめは再会。喜こぶ純平。烈しく非難するひらめ、ひらめは宿を飛びだす。そしてひらめは駅に行き、数錠の薬をのみ、ちょうど停車中の列車に乗り込み眠ってしまう。ところが彼女が目をさますとその列車は、なんと上野駅に着いていて、彼女の放浪は振り出しに戻ってしまった。