「貴重な内灘闘争の映像」非行少女 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
貴重な内灘闘争の映像
内灘闘争の映像が残っていた。若枝と三郎の父親がいがみ合っていたのも米軍基地反対闘争の経過とともに意見が対立したためだった。
若枝と三郎との出会いは金沢の映画館。若枝が不良たちに囲まれていたところを助けてくれたのだ。浅野川電鉄で内灘へ。砂丘と空が寒々とした日本海を描き出して、暗いイメージなのがいい。
米軍の試射場跡での逢引は三郎が若枝に勉強を教える場でもあった。金沢の愚連隊竜二は若枝を犯そうとしたりする厄介者。若枝自身も金に困って学校に忍び込むが、公務員に見つかり諭されるも、ここでも犯されそうに・・・
三郎は東京で仕事に失敗し、今は職安通い。失業保険で若枝に金を与えようとしてたのだ。三郎の兄は議員候補(小池)。10年前の闘争では貧乏人を裏切った方の立場だ。若枝が学校へ忍び込んだことがばれて、彼女はおばの旅館、三郎は遠縁の養鶏所で働くことになって別れ別れになってしまったのだ。しかし若枝は芸者にされると知って三郎の元へ逃げてくる。三郎にとっては置手紙によって別れたものと思い込んでいたため一旦若枝を返すが、彼女は彷徨い母の死を体験し、行く当てもなくこっそり三郎の働く養鶏場にやってくる。そこで若枝の火の不始末により養鶏場は全焼。家裁を経て、更正施設恵愛学園と進む若枝。
「だら」「だらくさ」その他金沢弁がいっぱいながやぞ。懐かしい風景というより、今はもうない風景ばかり。唯一わかるのは内灘の試射場跡と浅電沿線の河北潟や浅野川。最後に別れの場所となってしまう金沢駅は特に懐かしい。昔の丸越百貨店にも胸打たれる。そうか、浜田光夫はここでブローチを買っていたんだな・・・
『キューポラのある街』でも貧しい家庭という設定であったが、主人公は吉永小百合と和泉雅子を対照的に描いている。すなわち、不幸な境遇だからといってグレることなく明るく働く少女とグレてしまった少女。どちらかといえば、本作のほうが実際に起こりうる少女の心理ではないだろうか。そして、高度成長期における都会と田舎の差も・・・その重要な役を若干15歳のお嬢様が演じるのでは雰囲気が伝わらないと、監督は和泉に風呂禁止、洗髪禁止、母親の付き添い禁止、演技にダメだしという徹底したイジメを加え、本人からも嫌われるよう仕向けたらしく、眼の奥から憎むようなほどの演技がとてもリアルなのだ。そのリアル志向は養鶏場火災にも表れ、実際に大量のニワトリが死んでしまったほどらしい。
三郎という青年の設定も興味深い。兄が町会議員なので、反感もあろうが自力で生きていくことを決意するテーマ。その相手が村民から冷たい目で見られていた若枝なのだ。非行に走らせるような周囲の悪も徹底していて、いかにその苦境から正しく抜けられるかも見所の一つ。その手助けとなる更正施設の教師たちも素晴らしかった。
ミラーズさん、初めまして🎵
内灘闘争は米軍基地に反対する民衆の闘い。
俺も詳しくないのですが、今もなお研究してる方が多いと聞きます。
最近の香港デモとか、熱いものがありますけど、今の沖縄の闘いも注目しています。
映画でしか知ることの出来ない歴史って貴重ですよね~