彼岸花のレビュー・感想・評価
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良いのめっけて♥
戦争が終わってオフ・ビートな昭和。特需景気が終わって神武景気。しかし、こんな落ち着いたブルジョアがいるわけが無い。
現在と様子の変わらない箱根でのブルジョア老夫婦の会話。夫は答える。
『戦争の頃?俺は嫌だね。物はないし、つまらない奴がえばっていた。』
この言葉だけで、この映画を評価する。そう言った訳だが、『えばっているのは自分だ』と、ワガママ爺さんいつ気付く!?
身の丈にあった生活感だけで充分さ。焦らず落ち着いて対処すれば、明るくなくとも人生は続くし未来はある。ってね。
結局 ガンコ爺さんは笑わずに終わった。と思うが、あの50作続いた映画で、演出家がそのキャラクターをリスペクトする。
『はい笑って』『バター♥』ってね。
ほのぼのとしていた
監督初めてのカラー映画だったそうですが、あまり映像にはハッとなりませんでした
個人的には晩春のほうがストーリーもシンプルでよかったです
晩春に比べると、えらく亭主関白な父親像でしたが、
これはこれでおもしろかった
未だ覚めず池塘春草の夢
小津安二郎作品
本当に素晴らしい。
父親万歳の時代。
母親は防空壕で家族で過ごせた事を懐かしく思う、と言う。
この素晴らしい昭和観は忘れずにいたい。
東京と京都弁のギャップ、父親心、娘心。
結婚は金かと思ったけど真鍮だった
けれど真鍮を金にするのが夫婦
色々な立場の人の心の機微を上手に撮ってあり本当に素晴らしい。
山本富士子、有馬稲子の美しさにもウットリでした。
結婚してみても良いかもと思える作品です。
脱ぎっぷりが最高
父権主義が、子供への愛情と時代の移り変わりの中で崩れていく様を、冷徹かつ温かいまなざしで見つめる。
最高の脱ぎっぷりを見せてくれるのは、残念ながら主演の有馬でもなく、特別出演の山本富士子でもない。毎度おなじみの、佐分利信である。勤め先から帰宅すると、洋服は畳の上に脱ぎ捨てられ、自分では片付けることなどない父権の象徴。これに正面から反発して、恋愛結婚を成就させようとする佐分利信と有馬稲子の不器用な父娘関係。
そこに、山本演じる京都の旅館の娘が現れて、子の幸せを願う気持ちを、父親に確認させることで、父権の旗を降ろすことに成功する。この山本が、非常に美しく、性的な魅力に富んでいる。この魅力は親世代にも伝わるもので、彼女との駆け引きをすることになる父親役の佐分利信は、存在そのもので、言外にその心情を観客に伝えることができる俳優だと思う。
しかし、何故他社の俳優である山本をこの作品に起用したのだろうか。その美貌だけが理由ではないはずだ。それまでの松竹作品には出ていない俳優を起用することで、外界からの来訪者という位置づけを観客の先入観に織り込ませたとしたら、大当たりのキャスティングではなかろうか。この作品における山本の役は、それほどまでに重要だということだ。
そういえば、佐多啓二の学生時代の知り合いで、佐分利の会社の若い社員、「東京マダムと大阪夫人」にも出ていた、高橋貞二。彼もまた、物語のアウトサイダーとしての役どころをその飄々とした雰囲気で、端役ながらきちんと勤め上げている。
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