「【"もう、他人じゃないから。"幸福の黄色いハンカチ、和風シェーンバージョン。ラストの列車内のシーンでは思わず、嗚咽してしまう逸品である。】」遙かなる山の呼び声 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"もう、他人じゃないから。"幸福の黄色いハンカチ、和風シェーンバージョン。ラストの列車内のシーンでは思わず、嗚咽してしまう逸品である。】
■北海道・中標津。
風見民子(倍賞千恵子)は息子武志(吉岡秀隆)を育てながら一人で牧場を切り盛りしている。
ある冬の嵐の晩、一夜の宿を求めてひとりの男(高倉健)が訪ねて来る。
男は納屋に泊まり、牛のお産を手伝って、翌朝に出て行く。
そして夏、再び男が現れ、働かせてほしいと頼んでくる。
◆感想
・高倉健さんの、どこか影がありながらも男らしい振る舞いと、民子に対する一線を保つ姿勢を持つ男を演じる姿がとても良い。
・民子が最初は男を警戒しつつ、一生懸命に何かを忘れようとするが如く働き、武志が懐く馬を見事に乗りこなす姿に徐々に惹かれて行く様を演じる倍賞千恵子さんの姿も、当然良い。
・男は民子に言い寄る虻田(ハナ肇)と、その弟たちを軽くあしらうが、虻田はその事が切っ掛けで男を慕うようになっていく。
■だが、刑事の姿を見た男は、自ら民子に”辞めさせて下さい。”と言いだすのである。
<今作の白眉のシーンは、男が裁判所で懲役刑を言い渡され、列車で網走に護送される列車の隣の席に乗り込んできた民子と虻田のシーンである。
虻田が大きな声で”中標津で旦那を待っているんだろう!”と民子に言うシーンである。勿論、男に聞こえるように・・。
そして、男は俯きながら目尻に涙を浮かべ、同じく涙を流す女は刑事に断ってから男にハンカチを渡すのである。
思わず、嗚咽してしまったシーンである。
今作は、辛い生活をしていた男女が、偶然出会い、お互い惹かれつつ一度は別れるも、女の男への想いが心に響く逸品である。>
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