「待っている」遙かなる山の呼び声 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
待っている
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嵐の晩、偶然にも産気づいた牛のお産を手伝った男。それだけで命の尊さを感じとったのだろう。帰り道、息子に「父さん、いないんか?」と尋ねるあたり、孤独を紛らわせようとしていたのかもしれない。冒頭10分だけでそのままストーリーが完成してしまうくらいの重みのある演技。やっぱり健さんは渋い。
再度男がやってきたときも一線を引いて、レイプとか強盗の心配もあるはずなのに、息子武士をメッセンジャーとして意思の疎通を図るのだ。
倍賞千恵子に言い寄ってくるハナ肇の存在も面白い。レイプしそこなって報復しても健さんにやられてしまう。警部というイメージが残っているので捕まえにきたんかと思っちまった。それに新婚旅行中に寄った従兄弟の武田鉄矢や、人工授精師の渥美清など『幸せの黄色いハンカチ』を思い出す人物ばかり。場所だって北海道だ。このあたりは当時、二番煎じだと批判の対象となっていたように思う。
「人を殺したんです」という言葉がこんなにも涙を誘うとは思わなかった。もちろんラストの列車の中での倍賞・ハナの「待っている」という演出が上手くて涙が止まらなくなるのですが、後半は画面が霞んでしまうほど・・・目が痛い。
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