「見た目は地味だが、緊迫感のあるサスペンス」張込み(1958) 作品に向き合うゆき平さんの映画レビュー(感想・評価)
見た目は地味だが、緊迫感のあるサスペンス
この映画、派手なものを求めている人なら絶対に物足りない映画になるだろう。
しかし、これぞサスペンスな映画で今、見ても結構おもしろかった。
今作は、とにかくリアルを追求していて音楽もそんなになく、地味である。
しかし、これ張り込むだけのシーンなのに緊迫感を感じられる。劇場だったらその場にいるような臨場感を味わえる作品だと思う。
さらに張り込みだけで緊迫感があるのに尾行シーンでさらに上げさせられる。とにかくいつバレるのかのドキドキ感があって画面に釘付け。
クライマックスの追跡シーンでさらに映画は盛り上がっていき、最後の方で彼女の待ち続けた恋愛映画でもあることがわかり、ラストはどこか切なく終わる作品だった。
やはり野村監督は、こういう緊迫感を上げる作りがウマいな…。
最後の妻が泣くタイミングはリアリティを追求していたことがわかる見事な演出だった。あと、張り込みで見た妻の家の雰囲気で後々に会う犯人と今のつまらない家庭の対比も見事でした。
とにかく白黒作品ではあるが、今見てもおもしろいと言える傑作でした。
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