「16年前の『砂の器』」張込み(1958) La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
16年前の『砂の器』
原作:松本清張、脚本:橋本忍、監督:野村芳太郎という巨匠トライアングルは16年後の『砂の器』にも繋がる組み合わせです。殺人事件容疑者の昔の恋人の家の前で秘かに何日も張り込み続ける内、彼女の現在の辛い暮らしが浮かび上がるという物語。
ベテランと若手刑事の組み合わせ(原作では張り込みの刑事は一人なのに、脚本段階で橋本忍さんが二人にしたのだとか)、ミステリーより人間物語の重視、音楽の巧みな挿入(本作では黛敏郎が音楽担当。ジャジーなベース音や不協和音の生かし方などは現代的)などは『砂の器』との共通点を感じさせます。動きの少ない物語なのに緻密な造りに息もつけませんでした。
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