HANA-BIのレビュー・感想・評価
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潔
無駄口は一切ない作品でした。
台詞で全てを説明しようとする映画が多い中、その表現力が高い評価を得ていることに納得しました。
命を落とした部下の妻子や、障害を抱えた上に妻子にも逃げられ、自殺を図った同僚を気遣う優しさ。
子供も亡くし、余命幾ばくもない妻への並々ならぬ深い愛情。
それらは、言葉はなくとも西の行動に表れていました。
一方でヤクザには容赦なく暴力を振るいます。。
凶暴な敵意と、不器用なほどの厚情という、大きな振り幅を見せる西が格好良いです。
闇金に借金しており、何をするかと思えば本当に警官姿で銀行強盗をして返済。
どうしようもない不幸が次から次へと覆い被さる中で、シュールな?笑いがちょいちょい入ってくるのはコントの発想なのでしょう。(全然笑えないのですが。)
不思議な絵も独創的でした。
ほとんど言葉を交わすことなく最期の旅をする西夫婦の、以心伝心の関係が素敵でした。
「ありがとう、ごめんね」の言葉が沁みます。
美しく咲いて散る短命の花々や、着地と同時に消えるまばゆい粉雪か、真っ赤な血潮で飾る侍のような自決か、一瞬輝く花火のように夜空へ消えたい、そんな鮮やかな死生観を描いているようでした。日が沈む方角から西という名字なのでしょうか...?
追悼大杉漣さん
大杉漣さんが亡くなって、見たいなと思ってたタイミングで地上波。
10代の頃一度見たのだけど、その時はハッキリ言って、この良さが分からなかった。静かで暗いと言うイメージだった。
その時は「その男凶暴につき」から「ソナチネ」「キッズリターン」…とずらっと
見て最後に満を辞して見たのだけど、急に暗っ!と言う感じでガッカリした記憶だけど、それを今見直して理由が分かった。
恐ろしいほどに無駄な説明、カットがない。口で説明しない、絵で見せる。ストーリーを進めながら過去を語ると言う手法について行けなかったと思う。今観ると映画だけど静止画的と言うか、それこそ大杉漣が作中で描く絵のようなカットの連続だと思った。無駄な事をしない潔さもカッコ良く、西と言うキャラクターも粗暴で静かな男だけど、全面に愛が溢れてたように思う。
夫人にだけ見せる仕草や言動も愛らしかった。
ラスト、凧が揚がらないんだよな…浮上しないんだ一向に…
北野武監督の一つの集大成のような映画だと思いました。
辛さを分かってあげてほしい
小学生の時、テレビの放送で見て全くわけわからなかったが、最近DVDで見直す機会があった。
いわゆる泣き所とかはない。しかし見終わった後に噛み締めていると、つっと涙が出てくる、そんな映画だ。
内容の話をします。
主人公は重い病を抱える奥さんを持っています。そしてその病院代で莫大な借金をヤミで借りています。
あるとき奥さんの見舞いにと言わて、張り込みの現場を離れたら、そのすきに同僚が犯人に銃撃される。ひとりは下半身不随になり、その同僚も最後は奥さんも見舞いに来なくなるなどします。
主人公は自分の大切にしていたものが次々に壊れていくなかで、そのつらさを一人で抱え込みます。
最終的には銀行強盗で借金をチャラにして、刑事も辞めて治る見込みのない奥さんと二人だけの車の旅に出ます。金をせびりに来るやくざを振り切りながら。
いきつくところまで来てしまった主人公と奥さんは、青い海を眺めながら自殺――そこで映画は終わります。
主人公はほとんどしゃべりません。でも、その身に起きている事態は普通の人が抱えきれるものではないですし、実際壊れていきます。
映画のジャケットには「その時、抱きとめてくれる人はいますか」と書かれていますが、この声にならなかった思いを観客側でくみ取れた時にこそ、この映画の神髄が見えてきます。
日本映画史に絶対残さなければならない1本です。
死の匂いのする
ソナチネの時も思ったのですが、像が、音が、間が、全てが死以外の選択肢をなくしていき後はどこでどうやっていつ死ぬか、ということ以外考えられなくなってくる。
そんな映画でした。
アウトレイジとは逆にたっぷりと独特の間があってたけし映画だなぁという感じがします。
暴力団表現もいろんな見せ方が、直接的みせてない、でも怖いという感じで、上手いし、発想がすごいと思います。
主人公やそのつまりのセリフが物凄く少ないのに、感情が物凄く伝わってくる、よくあるセリフで前部説明してくれる映画とは間逆の映画です。
映像で表現するというのはこういうことなんだろうと思いました。
シンゴジラとは真逆
「シンゴジラ」、「君の名は」といった最近の名作は「なぜこの選択をしたのか」という理屈や矛盾点が話題になりがちですが、この作品は真逆です。
「この人を殴った」、「この人を撃った」という結果を、ゆっくりと、それでいて最低限の情報で美しく見せています。
いわゆる芸術性の高い映画で、あまり好きなタイプではないんですが、抜きん出た美しさでした。
映像で語る
台詞が少なく独特のテンポですすむ、たけし映画らしい作品
ポンポン進んだり、止めてみたりこの感性は
真似できませんね。
黙ってるシーンや引きの映像にも訴えかけるものや哀愁があって素晴らしいです。
止め絵30秒とか1分とか普通怖くてできません
ラストシーンの妻の「ありがとう、ごめんね」は胸に突きささりました
わかってないと思ってた妻は全てわかっていたんだなぁ。
沈黙は金
タケシが度を越えた無口キャラで内容が掴みにくい。
そのせいかわからないが、ストーリーが腑に落ちない。
刑事が銀行強盗という正反対の道を選ぶ理由はよくわからないし、
妻が不治の病だから心中するというのもリアリティがなくしっくりこない。
あと見ず知らずの子どもの前で心中して、
わざわざ一生物のトラウマを植え付けることはないだろうに。
という具合にいくつかひっかかったが、
静かなキタノさんの世界観が全面に出ていて、見る価値あり。
言葉ではなく雰囲気で心情を伝える演出力
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:70点|演出:80点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
この作品は、感傷的に人の心に迫ってくる。子供を失い、部下を失い、同僚の人生を狂わせ、職も失い、それなのに余命いくばくも無い妻がいる。あまりに多くのものを失って、せめて妻の最後を平穏に迎えさせたい。凶暴さを秘めた孤独で寡黙な男の最後の願いを、静かに刹那的に描いた。
登場人物が多くを語らない中で、気持ちだけはしっかりと伝わってくる演出が上手い。『ソナチネ』に似た、静かなのに張り詰めた雰囲気がある。それは寂しさ・脆さ・儚さが隣接している雰囲気である。当時、絵画に凝っていた北野監督の、自分の心の奥底を覗き込んで自身を探索するかのような姿勢が作品に表れているようにも思える。
流石の余韻
余計な説明やセリフを省いて最小限で物事の純粋なところをえぐり出して僕らに見せてくれるのが北野監督なのかもしれないと初期作品群を見て思った。僕はまだ稚拙な映画の見方しかできないからまだ初期北野映画の良さに気付き切れてないところもあるんだろう。この『HANABI』もそうだ。完全に自分の中で消化し切れてない。『ソナチネ』が『3-4x10月』の発展版みたいなこと言った気がするけど、今回は『あの夏〜」のそれなのかもしれない。言葉にできない男が行動のみで余命幾ばくもない妻への愛を表現する様が非常に切ない。何と言ってもラストの後の余韻は流石の北野武という感じだ。これ後エンタメ寄りになっていくという北野作品も楽しみだなあ。
ビートたけしさんは、刑事役が、よく似合います。
この映画は、夫婦の愛を鮮やかに、又は、残酷に描いた作品です。私が、この映画で、良かったと思った所は、序盤の過去と現在を交えながら、物語を進展していく、演出と、大杉漣さん演じる刑事が、何もかも失い呆然と海を見つめるシーンは、海の壮大さと静粛さの中で、その刑事の悲しさが、よく描かれていく所です。この映画の見所は、何と言っても、ビートたけしさん演じる刑事とその妻との、逃亡を和やかに演出し、最後に、この映画の題名のように散ってしまうまでの物語を美しく、はかなく、描き出していた所だと、私は、思います。寺島進さんと大杉漣さんを初めとする北野武監督作品の常連俳優さん達の演技もよく、中でも、ビートたけしさんの演技が、よく、『その男凶暴につき』での、刑事役での、演技もよく、ビートたけしさんは、ヤクザの役よりも刑事の役のほうが、適役だと私は、思いました。
監督のセンスが光る…静寂の銀行強盗
映画の歴史で
銀行強盗のシーンなんて星の数ほどあるんだろうけど
こんな銀行強盗を思いつくとは
やはり芸人として生きてきた人間だからこそなんだろうな
こんな発想は誰にも真似できない
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