「言葉ではなく雰囲気で心情を伝える演出力」HANA-BI Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉ではなく雰囲気で心情を伝える演出力
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:70点|演出:80点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
この作品は、感傷的に人の心に迫ってくる。子供を失い、部下を失い、同僚の人生を狂わせ、職も失い、それなのに余命いくばくも無い妻がいる。あまりに多くのものを失って、せめて妻の最後を平穏に迎えさせたい。凶暴さを秘めた孤独で寡黙な男の最後の願いを、静かに刹那的に描いた。
登場人物が多くを語らない中で、気持ちだけはしっかりと伝わってくる演出が上手い。『ソナチネ』に似た、静かなのに張り詰めた雰囲気がある。それは寂しさ・脆さ・儚さが隣接している雰囲気である。当時、絵画に凝っていた北野監督の、自分の心の奥底を覗き込んで自身を探索するかのような姿勢が作品に表れているようにも思える。
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