「パンダが!あの小せえパンダが!」白蛇伝 弁明発射記録さんの映画レビュー(感想・評価)
パンダが!あの小せえパンダが!
この映画をはじめてちゃんと観るタイミングが2025年になってしまったことが申し訳ないくらい。しかし劇場で観れて良かった。これは未来に残すマスターピース。
正直、まさかここまでぐりぐり動かすとは思わなかった。
前半が登場人物も少なく真横からのアングルも多く「やっぱりこの当時は動かすだけで大変だよね」と思ったがそれは序の口。後半にかけてどんどん派手なアクションを畳み掛けてきた。
国産初のカラーアニメ映画は絶対すごいものにしてやるぞという気迫を感じる。
あと3年で公開から70周年だろ。信じられないな。
まずそもそも予想以上に登場キャラが多い。
青年のしゅうせん、白蛇が変身したぱいにゃんの2人が中心であるが、魚のしゃおちん、ほっかい和尚にパンダ、レッサーパンダ、ここまで序盤に出て後半からさらに増える。
後半のぱいにゃん対和尚の空中戦、ぱいにゃんが龍王の元に行きしゅうせんを生き返らせて欲しいと願う展開はドラゴンボール感あった。そもそも中華な世界観だし東映がこの映画から後の未来でドラゴンボールを作るのは運命だったんじゃないかとすら思う。
小せえパンダがケンカ強くて豚野郎をボコす展開も意外性があり面白かった。
龍の飾りが空を飛んだのも面白かったしそれに乗ってしゃおちんが宝物を盗んでしまいしゅうせんが逮捕されるきっかけを作る流れも不条理で良かった。
花火が上がる場面があり、花火が開いて火が落ちて消えていく作画の「落ちて消えていく」描写が丁寧で感心した。昔のアニメで花火表現はいくつか観た記憶があるが消える際の動きをあそこまで描いてるのはあまり観た記憶がない。
終盤の嵐でうねる海も当時は半端なく大変な作業だったと思う。
冒頭の切り絵で過去の出来事、「しゅうせんが子供の頃白蛇に会った場面」を表現するのはチャレンジ精神にあふれていて良かった。
今作がこれほどまでに頑張ったからこそその後の日本アニメの発展がある。すげえよ、当時のアニメスタッフ!