「【名匠、野村芳太郎監督が描く、不幸な生い立ちながら戦争従軍を食事が取れると喜び、天皇陛下を崇める愉快な男を渥美清さんが演じたシニカルユーモア作品。】」拝啓天皇陛下様 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【名匠、野村芳太郎監督が描く、不幸な生い立ちながら戦争従軍を食事が取れると喜び、天皇陛下を崇める愉快な男を渥美清さんが演じたシニカルユーモア作品。】
ー 今作を観ると、コメディアン渥美清さんの根本演技が既に出来上がっている事に驚く。渥美さんの出演作は「列車シリーズ」から配信で見ているが、この極、初期作品でも、渥美さんの演技のスタンスは変わらない。
身の上に悲哀を背負いながらも、それを見せずに周囲に笑いを振りまく姿である。
今作で言えば、戦後に初年兵時代から付き合いの或るムネさん(長門裕之)の家にヤマショウ(渥美清)が転がり込み、酒をかっ喰らう姿に最初は奥さん(左幸子)が、嫌悪感を示すも、直ぐにヤマショウの人柄に惚れて、見合いを勧めようとする姿が代表的だろう。
そして、今作のタイトルを原作からそのまま拝借したのは、野村芳太郎監督の或る思いからではなかったのではないかな、とも思った作品である。
渥美清さんは、家族の事を殆ど表には出さなかった事で有名であるが、そういう面もプロの役者さんだったのだなあ、と思うのである。
2025年になっても、幅広い年代の多くの日本人に愛される俳優さんって、そうはいないのではないかな、とも思うのである。ー
コメントする