「今の時代にこそ世界中に突き付けたいくらいだけど、キワモノ映画扱いされて封印状態」ノストラダムスの大予言 アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)
今の時代にこそ世界中に突き付けたいくらいだけど、キワモノ映画扱いされて封印状態
この映画の公開から今年で丁度半世紀。
国内ではTV放送以降、殆ど封印状態で、ソフト化も海外版だけなので鑑賞の機会は極めて困難となっている作品である。
兎角、センセーショナルだった描写のシーンの印象のため、キワもの映画とされており、その故に『封印作品』にされて現在に至る、殆ど幻、伝説な状態となっている。
特に作品タイトルの「ノストラダムス」ネタ自体が1999年という、旬の時期を通り過ぎて過去のものになっており、作品原作者扱いの五島氏の如何わし度合いも手伝い、既に興味の対象からも外れてしまっている感はある。
客を呼ぶために、東宝お家芸の特撮による後半のデザスターシーンは勿論、核戦争へと突入していく様と共に、前述の「放射能汚染による狂人化〜食人」、「ミュータント化した破滅後人類の描写」等についてがネックとなってしまい、公開早々に抗議を受けて一部削除などの混乱もあった。
しかし、仮にも当時「文部省推薦」作品であったという事は驚きではあるものの、丹波氏や山村聰氏の熱演(熱弁)から伝えんとしている内容は、数あるパニック、デザスター系作品のなかでも極めて重く、濃いメッセージに感じ、そうした部分から受ける印象ではそうした扱いも理解できるように思えた。
近未来“SF”の形をとって警告、啓示を込めた作品と。
改めて思うに、これらも含めて全編に盛り込まれている文明批判的なセリフ、むしろこちらの方が「封印の真の理由なんではないのか?」と疑いたくなってしまうのである。
それ程、この作品以降の映画やTV番組、マスコミまでもが、政治や企業に気兼ねし、忖度の姿勢を基本とするように変貌しており、「毒気」を抜かれてしまっているから。
一応挙げてみると、
公害による世界規模の環境汚染
食品添加物まみれ(豆腐にも〜が入っている)で病気に
我が国の食料自給率の件により国際規模災害時への懸念
海洋汚染による海洋生物の減少、死滅
世界各地での放射能汚染による(人体への影響)異常
原発の危うさ気弱さと、核廃棄物の終末処理の件
オゾン層の破壊による有害紫外線
一触即発の、局地戦での核使用から始まる世界的核戦争(滅亡)への突入
全て、その後実際に起こり得たり、現在に於いて更に懸念が高まっている事象ばかり。
現政権や、あらゆる方面でスポンサーである企業が民衆に強い関心や懸念を抱かせることを避けたい事のオンパレードという事。
前述のように、映画公開から半世紀、既に50年が経過するというのに全く人類の凝りなさ、愚かさは当時から何ら変わっていないどころか、増す一方のよう。
理念や目的の見えて来ない、ただ経済ありきに暴走するだけの『欲望の資本主義経済』による資源開発、都市開発、聞こえだけは良い性急なデジタル化であることへの封印、「臭いもに蓋をする」行為と無縁では無いように思えるが……
良かれ悪しかれ、「映画は時代を映す鏡」との思いを深める。
参考までに、英語題名については『Catastrophe 1999』の表記があるが、実際に海外で公開された際のタイトルは『THE LAST DAYS OF PLANET EARTH』が一般的であるようで、まんまの『PROPHECIES OF NOSTRADAMUS』という別題もあるようだが他作との混同もあるので使われるケースはあまりない様子。
ネットとかでこれらでググると、予告編とか冨田氏のOSTなどにはたどり着けたりするものの、現時点に於いては本編に辿り着くことはまず無い(少なくともこれらでは.....)。