劇場公開日 1977年10月8日

「ストウハ!」人間の証明 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ストウハ!

2021年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

 『犬神家の一族』に次ぐ角川春樹事務所製作第2弾作品。森村誠一氏がホテルマンとして角川春樹が復員兵としてカメオ出演していることや、「観てから読むか、読んでから観るか」のキャッチコピーが評判となった。読んでから観たのは失敗だったかも・・・

 森村誠一作品を初めて読んだのもこの小説。八杉恭子の過去と2人の息子。隠したいあまりに肉親(映画では岡田茉莉子が麦わら帽子と表現してた)を失ってしまうこと。さらには息子(岩城滉一)が交通事故で人を殺してしまった罪。犯人側の切ない人間関係もさることながら、棟居(松田優作)と父親が進駐軍に弄り殺されてしまった事実に絡む輻輳する人間関係。八杉恭子もジョニー・ヘイワードの父もケン・シュフタンもその現場にいたのだ。

 戦争を憎む佐藤純彌監督らしく、進駐軍による暴行のフラッシュバックが何度も繰り返される。公開されて30年経っても思い出してしまうほど効果的に使われていた。そして、棟居がケンを撃とうとするシーン。あとは長門裕之の情けない顔・・・

 久しぶりに観て改めて考えてみると、“人間の証明”とは誰の人間性を証明しようとしていたのか・・・なぜだか八杉恭子や息子そしてケンだけではないような気がしてならない。特にデザイン大賞授賞式で客が拍手喝采するなど、悲しいことなのだから静かに見守るべきだろうなどと細かなところまでチェックしてしまった・・・

公開当時映画館でも鑑賞

kossy