劇場公開日 1967年8月3日

日本のいちばん長い日(1967)のレビュー・感想・評価

全51件中、1~20件目を表示

5.0儚い日本陸軍の最後の足掻き 真夏の夜の夢

2024年9月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

萌える

過去数回鑑賞

監督は『肉弾』『殺人狂時代』『座頭市と用心棒』『ダイナマイトどんどん』『ジャズ大名』『助太刀屋助六』の岡本喜八
脚本は『羅生門』『生きる(1952)』『蜘蛛巣城』『隠し砦の三悪人』『私は貝になりたい(1959)』
『切腹』『白い巨塔(1966)』『日本沈没(1973)』『砂の器』『八甲田山』の橋本忍

粗筋
終戦の御聖断
ポツダム宣言受諾
しかし一部あくまでも本土決戦に拘り終戦を拒否する近衛師団の若い軍人グループが決起を促しクーデター計画を開始した

なにかと言えば比較し批判するとお叱りを頂くがこれはどうみても比較するなと言う方が到底無理な話
2015年のリメイク版に比べると全体的にだいぶ熱さが伝わってくる
あちらはいい意味でも悪い意味でもクール
こっちは出演者の多くが戦争体験者
リメイク版の多くは戦後生まれ
そもそもこっちの監督は予備士官学校の生徒として空襲を体験し軍部を恨んだものだがあっちの原田某監督は戦後生まれで「日本はロシアを批判する資格はない」という的外れなニュアンスの発言をTVで発言したらしい典型的団塊パヨク
その違いは大きいのかもしれない
あっちを星一つの評価したレビュアーもいたが改めて岡本喜八版を鑑賞するとその気持ちわからないでもなく星3の自分を恥じたい気持ちだが今更数を減らすつもりはない

あっちは役所広司堤真一松坂桃李山崎努
いずれにせよ名優だが岡本喜八版の主な出演者に比べると見劣りしてしまう
三船敏郎加藤武黒沢年男笠智衆
その他に志村喬山村聡藤田進高橋悦史佐藤允天本英世などなど錚々たる顔と顔

特に黒沢年男の芝居が鬼気迫り狂気に満ちたその表情はとにかく凄い
暫く前からバラエティー崩れしており歌手のイメージも強く俳優としてはあまりピンとこなくなってはいるが彼もまた三船志村クラスに負けない名優といえる

怪奇俳優天本英世もあんな大きな声が出るんだな

男臭い汗臭い映画だ
漢の映画だドラマだ人生だ
女性俳優といえば日の丸の手旗を降り特攻機を見送るモンペのエキストラくらい
終盤に登場した鈴木首相私邸で働く女中役新珠三千代が記憶に残るくらい
あっちはNHKに松坂桃李の嫁の歯茎がいたし阿南の家族を描くことによって有名女性俳優が出演した
でもNHKはあっちが歯茎でこっちは昭和の大スター加山雄三だもんな
それだけでも格が違う

クーデーターを起こした近衛師団の連中の思想に共感はできないが大きな流れに贖う姿は天邪鬼の自分としては好感が持てた
彼らは狂ってるとか愚かだと評価する者も多いが正義感に駆られて罪の意識なく誹謗中傷を繰り返し徹底的に追い込み中には自殺者まで出してしまいネット民の方がよっぽど酷いじゃないか
彼らは自決したがネット民は居場所を突き止められ罪を問われたら「言論の自由だ」「違法というなら取り消す」「名前を明かさないでくれ」と泣き言をいうばかり
情けない

星5星4とあっちを高く評価した者はおそらくこっちを観たことがないんだろう
そうでなければありえない
もしそうならば頭を切り開いて中身を見てみたいものだ

今作で昭和天皇を演じたのは現・松本幸四郎の祖父
声だけで顔は出さない
堂々と本木雅弘が出演したリメイク版とは大きな違い
当時は畏れ多く特別な配慮でノンクレジット
僕は皇室制度廃止論者なのでそういう対応には多少怪訝な気分にはなるのだがまあ星5の評価は揺るぎない

配役
内閣総理大臣の鈴木貫太郎に笠智衆
外務大臣の東郷茂徳に宮口精二
海軍大臣の米内光政に山村聡
陸軍大臣の阿南惟幾に三船敏郎
厚生大臣の岡田忠彦に小杉義男
情報局総裁の下村宏に志村喬
農商務大臣の石黒忠篤に香川良介
大蔵大臣の広瀬豊作に北沢彪
司法大臣の松阪広政に村上冬樹
軍需大臣の豊田貞次郎に飯田覚三
大臣に山田圭介
大臣に田中志幸
内閣書記官長の迫水久常に加藤武
内閣嘱託の木原通雄に川辺久造
内閣官房総務課長の佐藤信次郎に北村和夫
内閣理事官の佐野小門太に上田忠好
総理秘書官の鈴木一に笠徹
海軍軍医の小林に武内亨
首相官邸警護の巡査に小川安三
外務次官に松本俊一に戸浦六宏
電信課長の大江晃に堤康久
情報局総裁秘書官の川本信正に江原達怡
宮内大臣の石渡荘太郎に竜岡晋
総務局長の加藤進に神山繁
庶務課長の筧素彦に浜村純
総務課員の佐野恵作に佐田豊
陸軍次官(中将)の若松只一に小瀬格
軍務局長(中将)の吉積正雄に大友伸
軍事課長(大佐)の荒尾興功に玉川伊佐男
軍務課員(中佐)の井田正孝に高橋悦史
軍事課員(中佐)の椎崎二郎に中丸忠雄
軍事課員(中佐)の竹下正彦に井上孝雄
軍事課員(少佐)畑中健二に黒沢年男
陸軍大臣副官(中佐)の小林四男治に田中浩
参謀総長(大将)の梅津美治郎に吉頂寺晃
第一総軍司令官(元帥)の杉山元に岩谷壮
第二総軍司令官(元帥)の畑俊六に今福正雄
参謀兼司令官副官(中佐)の白石通教に勝部演之
東部軍司令官(大将)の田中静壱に石山健二郎
参謀長(少将)の高嶋辰彦に森幹太
高級参謀(大佐)の不破博に土屋嘉男
参謀(大佐)の稲留勝彦に宮部昭夫
参謀(中佐)の板垣徹に伊吹徹
参謀(少佐)の神野敏夫に関田裕
司令官副官(少佐)の塚本清に滝恵一
近衛師団第一師団長(中将)の森赳に島田正吾
近衛師団参謀長(大佐)の水谷一生に若宮忠三郎
歩兵第一連隊長(大佐)の渡辺多粮に田島義文
歩兵第二連隊長(大佐)の芳賀豊次郎に藤田進
参謀(少佐)の古賀秀正に佐藤允
参謀(少佐)の石原貞吉に久保明
大隊長に久野征四郎
宮城衛兵司令所の伍長に山本廉
徳川侍従を殴る師団兵に荒木保夫
師団兵に桐野洋雄
師団兵に中山豊
陸海混成第27飛行集団飛行団長(大佐)の野中俊雄に伊藤雄之助
陸海混成第27飛行集団基地副長の児玉に長谷川弘
少年飛行兵に大沢健三郎
横浜警備隊隊長(大尉)の佐々木武雄に天本英世
航空士官学校の黒田(大尉)に中谷一郎
東京放送会館警備の憲兵(中尉)に井川比佐志
軍令部
軍司令部総長(大将)豊田副武に山田晴生
軍司令部副長(中将)大西瀧治郎に二本柳寛
海軍省軍務局長(中将)の保科善四郎に高田稔
厚木基地第三〇二海軍航空隊司令(大佐)の小園安名に田崎潤
厚木基地第三〇二海軍航空隊副長(中佐)の菅原英雄に平田昭彦
厚木基地第三〇二海軍航空隊飛行整備科長に堺左千夫
内大臣の木戸幸一に中村伸郎
枢密院議長の平沼騏一郎に明石潮
侍従武官長(大将)の蓮沼蕃に北竜二
侍従武官(中将)の中村俊久に野村明司
侍従武官(中佐)の清家武夫に藤木悠
侍従長の藤田尚徳に青野平義
侍従の徳川義寛に小林桂樹
侍従の三井安弥に浜田寅彦
侍従の入江相政に袋正
侍従の戸田康英に児玉清
侍従の岡部長章に関口銀三
日本放送協会会長の大橋八郎に森野五郎
国内局長の矢部謙次郎に加東大介
技術局長の荒川大太郎に石田茂樹
報道部長の高橋武治に須田準之助
放送員の館野守男に加山雄三
放送員の和田信賢に小泉博
技師の長友俊一に草川直也
技師に今井和雄
技師に加藤茂雄
鈴木首相私邸女中の原百合子に新珠三千代
政治部記者に三井弘次
佐々木大尉の後輩で横浜工高生(横浜必勝学生連盟)に阿知波信
ビラを拾う街の男に夏木順平
ビラを拾う街の浮浪児の兄に頭師佳孝
ビラを拾う街の浮浪児の弟に雷門ケン坊
枢密院会議の重臣に秋月正夫
枢密院会議の重臣に野村清一郎
ナレーターに仲代達矢
昭和天皇に八代目松本幸四郎

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野川新栄

勝手に死ぬな

2024年8月25日
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鑑賞方法:映画館

【日本のいちばん長い日】 岡本喜八 生誕百周年記念プロジェクト - その7

 丁度79年前の8月14日、国民の知らぬ間に進んでいた敗戦の詔勅と玉音放送を巡る軍人と政治家の断末魔を描いた記念碑的名作です。小学校3~4年生で公開時に父親に連れられて観て以来の鑑賞となりました。おそらく、父親は「分かっても分からなくても息子に観せておきたい」と思ったのではないでしょうか。子供心にも、切羽詰まった熱気が満ちているのは感じられ、特に、日本刀で人を切ると噴水の様に血が噴き出す描写に驚き、帰ってからもそれが怖くて怖くて仕方なかったのをよく覚えています。モノクロ映像がその熱気を更に高め、薄紙一枚を差し挿む隙も無い程、全編緊張感に満ちた157分でした。脚本も監督も俳優も漲る熱量が半端ありません。

 それにしても、と思います。既に日本がポツダム宣言を受諾する事を知りながら、特攻隊の出撃を命じた司令官が居たのです。戦後、その人は一体どんな言い訳をしたのでしょう。聞きたいな。そして、敗戦と共に割腹自殺して行った人々。責任を感じるのならば、「何があったのか」「どこで間違ったのか」「何故間違ったのか」「どうすればよかったのか」を後世の人間に伝える義務があった筈です。それなのに逃げるなんて卑怯だよな。

 そして、本作中で二度、何の説明もなく倉田百三の『出家とその弟子』の岩波文庫が映し出されるシーンが2度ありました。僕も高校生の頃読みましたが、戦時下にあってあの本がどう読まれていたのか何か言葉が欲しかったです。

 そして、本イベントの呼び物、上映後トーク、今回は春日太一さんによるタップリのお話でした。本作をも「戦争の中で置き去りにされた人々」と見る視点にはなるほど。そして、春日さんの最新刊で、本作の脚本をも担当した橋本忍さんの評伝「鬼の筆」にサインを頂き、大満足。

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La Strada

4.0終戦の日に観て79年前を想う

2024年8月17日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

1945年7月26日のポツダム宣言に明確な回答を行わなかった事から、これを無視したと連合国に受け取られ、広島と長崎に原爆を落とされ、中立だったはずのソ連まで参戦してきて、それでも本土決戦を主張する陸軍の大反対の中、8月14日正午、ポツダム宣言受諾決定した。それから、翌日15日正午の昭和天皇による玉音放送までの激動の24時間を描いた話。

広島・長崎への原爆投下で日本はもう勝てない事が決定的で、昭和20年8月14日、御前会議によりポツダム宣言の受諾が決定したのだが、陸軍が大反対。上司を殺してあんなに抵抗してたとは、少し驚きだった。もし玉音放送のレコードが発見されて壊されてたら8月15日の終戦は無かったかも、とまで思えるほどの迫力だった、
阿南陸軍大臣役の三船敏郎の苦悩、笠智衆のひょうひょうとした首相、50年以上前の若い加山雄三など超豪華で素晴らしい演技だった。もう1人、黒沢年男の熱血将校も素晴らしかった。
本作をたまたまだけど、終戦の日に鑑賞できたのも感慨深かった。

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りあの

4.0良くも悪くも、、、

2024年8月14日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

4kリマスター版を映画館で鑑賞
最初から最後まで黒沢年雄演じる畑中少佐の
鬱陶しくなるほどの熱意

ドラマによくある「いらんことしい」の何者でもないのだが、実際に自分がそこにその立場でいたとして、物分かり良く従えるかと言うと難しいと感じた。

今の日本を知っているから「何やってんだろ」と思うけど、連合国に占領されたらどうなるかがわからないとずっと教わってきたんだから無理はない。

会議の一節を決めるのに何時間もかかると言うのは日本っぽいと思うが、良くも悪くもあの人の一声で決まってしまうのも日本だなと痛感する。

やめてくれて良かった。

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亞LEX

4.0今の政治家ども!せめてこれ観ろ!!

2024年1月9日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

負けを認めて戦争を終われせる。
そんな今の感覚で考えればごく当たり前の事を決めるのに
なんでこんなに拘るのか!?

負けを認めて戦争を止めるとどうなるのか?
あえて今の人に一番わかり易い表現をすると
「風の谷のナウシカ」の中で
トルメキアが攻めて来て風の谷の住人に銃を向け
土地や物品や自由を奪って行く〜

あんな事が起こると思っているから止めるに止められ無い。
実際あんな生ぬるいもんじゃ無いけど〜

つまりは戦争は始めたら最後、降参しても
地獄しか待っていないって事ですね。

この映画の中で、
すでに死んでいった者たちに申し訳ないから
戦争を止めずに最後の一兵まで本土決戦するべきだと
言い張る兵士たち!

何だか今の官僚が
「一度始めた事業を止めると
前任者を否定する事になるから止められ無い」
みたいな論理で間違った事業を止めないのと
全くおんなじじゃないか!!

死んでいった者達に申し訳ないと本気で思うのなら
残された人たちを守るのがお前らのやるべき事ではないのか!

前任者が間違ったと思うのなら
正しい方向に修正するのが、後輩のやるべき事じゃないのか!

観ていて怒りがこみ上げた!

「生きる方が大変なのだ!」と言い残して自決した阿南陸相。
軍部を暴走を抑えてスムーズに終戦を迎えるための
一種の人身御供であり、
三船敏郎が演じているのでカッコ良く見えてしまうが
確かに死ぬ方が、狡いかもしれない。

で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては

2015年の原田監督版も映画館で観てますが
これはやはり別物としなければ
原田監督に分が悪すぎるでしょう。

何といってもこの映画は
昭和の名優がまだまだ現役バリバリの時代に作られてます。
つまりは実際に戦争を知っている人達や
その空気の残る時代に育った人達がやってる訳で
そこは緊迫感が違う。天皇への思いも違う。

そこはしょうがない。

逆に言えば、
敗戦日である昭和二十年八月十五日までの空気感を
リアルに感じられると思います。

超有名な映画ですが、そこそこ長いので
午前10時の映画祭の様な機会に映画館で観なければ
これだけ様々な鑑賞手段の増えた時代でも
なかなか手の出ない作品だけに
「午前10時の映画祭」運営の皆様に感謝です。
本当に面白かった!!

@もう一度観るなら?
「一回は映画館で観とか無いとね〜」

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星のナターシャnova

3.0戦後77年

2022年10月23日
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鑑賞方法:DVD/BD

戦中戦後の映画はいろいろ見ていても、その多くは原爆投下から玉音放送で終戦というくだりでみることが多く、その間の「長い1日」については知りませんでした。今まさにウクライナで戦争が起こり、犠牲者が増え続けていても、止めることが容易ではないし、誰が何を目論んでいるのか真相はよくわかりません。ポツダム宣言の受諾が原爆投下の前であればと、過ぎてから思うことですが、その時点ではできなかった一面が今作でも描かれています。原爆は、本土決戦による甚大な被害を最小限に防いだハッピー爆弾とも言われ、複雑で滑稽な気分にさえなりますが、同じようなことが今、ウクライナで再現されているようで、77年前の教訓がどこかへ霧散してしまったかのような空しさを感じてしまいます。

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赤ヒゲ

3.0岡本喜八監督は

Mさん
2022年10月10日
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同時期に「肉弾」という作品を撮っています。ぜひ、機会を見つけて見てみてください。

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M

4.0歴史的な1日を淡々と見せるが、それが実に面白く興味深い

2022年7月25日
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Kazu Ann

4.5日本にもあった国内テロ

2021年11月4日
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鑑賞方法:DVD/BD

昭和の俳優が勢揃いして熱演が臨場感をかき立て、常にストーリーに引き込まれる展開。見終わった後に残るのは疲労感(笑)。
生真面目で純粋な若者に対して、多角的な情報を与えないまま目標を与えると猪突猛進する。
この突破力が日清、日露戦争やWW2開戦当初の日本軍の強さだったろうし、欧米統治下にあったアジア諸国にも評価されたのだと思うが、歯止めがきかなくなるのが世の常。
戦後でも浅間山荘事件やオウムのように、主に左寄りの世界で世間を騒がせる暴走が起きているため、世論が若干右寄りに傾きかけているように思うが、自分の主義・信条・信念の前に左/右などは関係ないことを、あらためて思い知らされた。
戦後教育の中で、大日本帝国憲法から日本国憲法に変わり「主権万民」を誇らしげに語る教師から教えを請うたが、着地点が見出せない議論を締めくくることなど、万民にできるのだろうかと思った。
昨今言われる「分断」は、一権力者の暴政が引き起こしたものではなく、SNSによって、双方の主張が「見える化」されたことによるものが大きいと思っている。
歴史を見る限り分断は先鋭化していく。そう遠くない将来、日本もアジア諸国と変わらない内戦状態になる危険性は低くない。この作品を通じて、立憲君主制の形について、議論が深まればと思っている。

デジタルリマスター技術によって、映像、音声は極めて明瞭。個性派の俳優が競演することで醸し出される緊張感は、モノクロ映像によって引き立てられている。

国を憂う左右両翼の若者にお勧め。

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バガチン

4.067年版

2021年2月17日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 この期に及んで本土決戦を潔しとする軍部。敗戦という言葉さえ知らなかった日本だけに素直に受け入れることはできなかったのであろう。国民が知り得なかった史実が終戦前日に壮大なドラマとして存在したのだなぁ、と改めて思う。

 前半部分はやや単調で、偉いさんたちがなんとか玉音放送にこぎつけるためのドラマ。陛下がマイクに向かってしゃべることや録音にするか生放送にするかだけでも議論が続く。長い一日が終わった・・・とクタクタになった政治家たち。しかし、そこからが近衛師団を中心とした馬鹿げた決起ドラマが始まるのだ。

 素直に敗戦を認めるか、本土決戦にて潔く玉砕するか・・・録音が放送されれば全てが終わってしまうという軍部の足掻き。“国体の維持”という言葉がやたらと耳に残るが、下の者たちは何もわかってなかったんだろうな。まずは近衛師団長の首を斬り、命令系統を捏造した青年将校たち。宮内省に押し入り録音盤を探し、無いとわかると鈴木首相(笠)宅を襲撃。その間、陸軍大臣(三船敏郎)が切腹。NHKまで襲撃され、脅されるアナウンサーの加山雄三の表情も見事なもの。

 全体としては真面目すぎるくらい史実を追ったドラマであり、面白味には欠けるのだが、終戦の二日間に絞った内容は画期的だし、歴史を勉強するには最適。特に狂った軍国主義の亡者がいつの時代にも現れるということがよくわかる。兵士として参加した者1000万人(日本男児の4分の1)、そのうち戦死者200万人、一般国民の死者100万人。

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kossy

4.5大日本帝国のお葬式

2020年12月2日
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鑑賞方法:VOD

個人評価:4.5
日本人のアイデンティティが切り替わる日。現代の全ての日本人が見るべき作品である。最後の坂下門の間の芝生上で畑中が自決する場面。白黒映画だが、たしかに桜が散る儚い色を画面から見る事ができた。
2015年版のリメイクは天皇陛下の国民への愛が感じられる作風だったが、オリジナルとなる本作は、日本人がいかにして戦争に臨んだか、日本国を守るとはどういう事や、大和の軍人であるコトの意味などを掘り下げていると感じる。
この時代全ての軍人は、当たり前なのだろうが、三島由紀夫が心酔した美しい精神の中に生きている。
日本人があの日以来、失った日本国というアイデンティティがここにある。

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カメ

4.5貴重な歴史資料でもある。引き込まれました。

2020年10月11日
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貴重な歴史資料でもある。引き込まれました。

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tuna

4.5【”国体護持のために・・” 後半の”真夏の夜の夢”宮城事件の緊迫感と熱量が物凄い作品。強烈な反戦映画でもある。】

2020年8月16日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

悲しい

怖い

難しい

■数年振りに鑑賞し、特に感銘を受けた点

・阿南陸軍大臣を演じた”世界の”三船敏郎の凄さを再認識。
 陸軍大将としての威厳を身に纏い、眼光鋭き”漢”を演じる。
 御聖断を受け、潔く全てを受け入れる様。
 鈴木貫太郎首相(笠智衆:飄々とした演技である。)に対して、述べる言葉。それに対し、阿南が退席した後に鈴木が口にする言葉。

 そして、あの自決シーンである。
 腹に刃を突き立て、前のめりになりながら、介錯を拒み、最後は自ら頸動脈を掻っ切るシーン。

・昭和天皇を演じた八代目松本幸四郎。
 時代的に、引きの画や後ろ姿や手のみ写されている。
 だが、その平坦な声とともに、身に纏う威厳を正に背中で演じている。

・畑中陸軍少佐を演じた黒沢年男のどんどん狂気を帯びていく大きな目。
 森近衛師団長を殺め、徹底抗戦を最後まで主張する姿。
 宮城事件を画策するも失敗し、皇居を仰ぎみて銃で自決するシーンも苛烈である。

 ー今作は、8月にポツダム宣言が発令されてから、多くの軍人、政治家、宮内省関係者が自らに与えられた使命を全うしようと懸命に努力する姿を”物凄い熱量”で描いている。-

<下記のコメントは2015年に公開された原田監督ヴァージョンとほぼ同様である。作品の風合は随分違うが、観た後の想いは同じであるから・・。>

<近代の国家存亡の危機に直面した日本を夫々の立場、思想で与えられた役割を全うしようとする姿を”登場人物40名を優に超える”陣容で描き出した近代歴史大作。
 当時起こった事を”風化させない”意義ある作品であるとともに、現在の右傾化するこの国を統べる政治家の方々に観ていただきたいと切に願う作品でもある。>

<2015年8月 DVDにて鑑賞>

<2020年8月16日 別媒体にて鑑賞>

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NOBU

4.5完成度の高い大作

2020年6月12日
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鑑賞方法:VOD

67年岡本喜八監督。
まず淡々とドキュメンタリーを思わせるナレーション。錚々たる名優たちの顔。各人の思惑が交錯する状況説明。そうしてここでタイトル(開始21分!)

登場人物の多さ情報量の多さを感じさせない手際とテンポの良さ。それでいて急ぎ過ぎることはない。サスペンスフルで飽きることのない展開。国家や政府、儀式の在り方をも考えさせられる教示に富んだ内容でありながら、映画的面白さも十二分にある。

群像劇で役者がみな素晴らしい。三船敏郎の存在感は別格だが首相役の笠智衆がよかった。剛に対する柔という感じで。
重厚感ありながら長さは感じず、大作なのに隙がないという奇跡的な傑作。

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散歩男

4.0シンゴジラ経由で観賞

2020年5月27日
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鑑賞方法:VOD

前半政治劇、後半活劇のメリハリ。
テロップの出るタイミングの気持ち良さ。
シンゴジラはなるほど上手く参照している。
役者たちの顔、アクションで緊迫と緩和を上手くコントロールしている。
編集テンポと構図の妙で流れを作る庵野流と違うのは役者の力量の引き出し力か。

見事に違うのは観たあとの日本国への気持ちだ。
どちらも国難を乗り越えるものだが、どちらにせよ国民性といったものが色濃い。
どちらもわかるだけに、きついよなー

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あした

5.0世界最高の反戦映画にして、日本人の二つの姿を写す鏡

2019年11月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

疑いなく日本映画の最高峰の作品のひとつです
何から何まで見事としか言いようがありません

素晴らしい作品ながら、あまりにも重いテーマであり、なかなか何度も気軽に観ようとはならないかも知れません
しかし、これこそ世界最高の反戦映画だと思います
何年かごとに無性に観たくなることがあります

民族、国家として文字通り自滅する一歩手前から、日本はこのようにして救われたのです

そして本作は日本人の二つの姿を写す鏡でもあります

ひとつは、日本人は日本人らしく手続きをきちんとして幕を引こうとする姿

しかしその手続きに拘って時間を浪費した為に、もう死ななくても良い命が多数失われたのも確かです

もうひとつは、プライドというナルシズムの美学に陶酔して理性を失い自滅を求める姿

この二つの姿の二面性を日本人は持っているのです

これは八甲田山と同じです
生還した徳島隊、全滅した神田隊と同じです
大日本帝国は神田隊となり滅亡しました
その最後の長い日でも徳島隊と神田隊の二つのパターンになるのです

この史実を脚本で対立的な提示にした構造が見事です

会議、書類の手続き、スタッフ達の言動
真面目な国民性は今も変わりはありません
シンゴジラでオマージュされている通りです
大きな会社や組織なら取締役役会や経営会議など似たようなことが今日もどこかで繰り返されているでしょう
凄く既視感があります

一方、青年将校達の心情を共感し理解するという人は、今の日本にはいないでしょう

しかし実は日本人はこちらに美学を感じてしまう傾向があるのです

例えば会社の倒産、吸収合併、事業部門廃止、工場閉鎖などなどといった一大危機の時に、青年将校達が本作のようにあがき続ける姿が今も何処かの会社や組織で見ることができるはずです

その時、あなたが青年将校であるかも知れないのです
同じ激を飛ばしているかも知れません

真面目に働く一般社員、工員、協力会社の人々、取引先、そしてその家族の為に!
何よりリストラして去って行った社員達に顔向けできない!

このような青年将校達と同じ言説をあなたがしているかも知れないのです

数年前、不適正経理という言い換えで誤魔かした粉飾決算事件を起こし、倒産一歩手前まで行った超一流大企業がありました

その内部では、きっとこのような事態にあったのだと感じます

こうすることが良かれと信じて彼らは不正に手を染めていくのです
それが一番の裏切りであるにも関わらず

青年将校達がナルシズムに酔って狂気に踏み込んでいく様は、これもまた自分には既視感のあるものでした

日本人の心情に染み付いたものですから、これらはこれからも起こります

日本がいつかまた危機に陥ったとき、この二つのパターンがまた繰り返されるはずです

あなたは青年将校達のように自滅の美学を求めて足掻くのか、鈴木首相のように冷静に事態を収拾するのか

本作を観た経験が、いつの日にか活きて来るかも知れません
あなたの人生でもっとも長い一日です

そして、いつしか平和憲法を守れ!と声高に叫ぶ議員やマスコミの人々…
彼らが国体を守れと叫ぶ青年将校達に重なるように見える時代となってしまいました

狂気の様に捏造してまで自らが正しいと信じ、その美学を信奉している姿は青年将校達の亡霊が乗り移ったかのようです

それが逆に日本に戦争を呼び込もうとしている様にすら感じられるのです
序盤で述べられる、戦争を継続した時に展望される日本の悲惨な破滅が、21世紀にそこから再開されかねないのです

もしかしたら本当の日本の一番長い日はもう一度有るのかも知れません

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あき240

3.5批評めいた言葉を跳ね返す映画。

2019年8月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

批評めいた言葉を跳ね返す映画。

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Mr. Planty

5.0帝国の御葬式までの一日。

2019年7月3日
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鑑賞方法:映画館

午前10時の映画祭で、30年振りくらいに見た。昔とは印象が違う。

当時は「戦争がー陸軍がー天皇制がー」で終わり。ちなみに天皇制と言う制度は有りませんので「象徴天皇」が現憲法下での正しい呼び方です。それは置いといて。

「自分は正しい。間違っていないから、こんな手段もしょうがない。何をしても許される」。そんな若い陸軍将校が悲しくて滑稽で。手段は間違えちゃダメ。今は特に。

「開戦する前に未だ出来る事はあったよ」とか「ミッドウェー前に手仕舞いしてれば」とか「せめてヨーロッパ戦線参戦前に」とか。今は、後付けの感想がボロボロ出て来るけれど。

突き詰めて言うと「政治力」、対内外の。それ以外に戦争を回避する道は無い。感情論、心情に流されず。左の人も右の人も。火の粉を振り払う安全保障戦略の邪魔するのだけは止めてください、って言いたい。

今、見る価値はあると思う。

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bloodtrail

2.0戦争映画が脳裏に蘇る

2019年6月29日
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鑑賞方法:映画館

玉音放送を含めた終戦の映像を観ていると他の戦争映画が多々脳裏に蘇ってきた。ただこの作品自体はインパクトが薄く全く印象に残らない。終始眠気に襲われたzzz…
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2019-132

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隣組

4.5戦争を知る人たちの作った映画。”シンゴジラ”に通ずる日本的正義。

2019年6月28日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

もちろん当時の観客も戦争を体験していた。そこが今となっては重要かと思う。独立愚連隊や兵隊やくざも同じく。空気みたいなものが感じ取れるかどうか。
映画としての演出はあると思うが軍人はこう喋る、役人はこう振る舞うと言ったことが同時代人として記録されてるのではないか。切迫した状況の中、全員の同意をとり手続きに沿って進めてゆく役人/政治家/軍人たち。前例踏襲の官僚社会ともいえるが、独裁者の一声ですべてが動く社会ではない。和を以て貴しと成す。
”シンゴジラ”に通ずる日本的正義を見たような気がする。

勉強にもなります。

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HigeKobo